エマージング・ソブリン・オープンは、良くもないが悪すぎもしない

エマージング・ソブリン・オープンは、新興国が発行する米ドル建のソブリン債券を中心に投資し、ベンチマークとするJPモルガン・エマージングマーケッツ・ボンド・インデックス・グローバル・ディバーシファイド(JPモルガンEMBI・グローバル・ディバーシファイド)を上回るリターンをめざす新興国債券アクティブファンドです。

ソブリン債とは、各国政府や政府機関が発行する債券の総称で、自国通貨建て、外国通貨建てがあります。また、世界銀行やアジア開発銀行など国際機関が発行する債券も含みます。

現状は以下の通り全5本のラインナップとなっており、やはり毎月分配型タイプの2ファンドで純資産の3分の2を占めており、いかに毎月分配型投資信託の人気が高いのかが分かります。

エマージング・ソブリン・オープン

ファンド名称 設定日 純資産
エマージング・ソブリン・オープン(毎月決算型) 2003年8月8日 247億円
エマージング・ソブリン・オープン(1年決算型) 2003年8月8日 132億円
エマージング・ソブリン・オープン(毎月決算型)為替ヘッジあり 2009年3月18日 217億円
エマージング・ソブリン・オープン(資産成長型)〈愛称:エマソブN〉 2013年11月6日 9億円
エマージング・ソブリン・オープン(資産成長型)為替ヘッジあり〈愛称:エマヘッジN〉 2013年11月6日 4億円


(2019年4月13日更新)・・・本ページの情報の更新を希望される方は、Q&Aページより管理人までお知らせください。すぐに対応したいと思います。



 


エマージング・ソブリン・オープンの基本的情報

このファンドの基本情報

項目 内容
購入単位 証券会社により異なりますが、楽天証券SBI証券など主要ネット証券では100円より購入可能。
信託報酬 年率1.57%(税抜)
信託財産留保額 0.5%
運用期間 無期限
決算 毎月5日(年1回決算型や資産成長型は8月5日)
運用会社 三菱UFJ国際投信

各タイプとも、「エマージング・ソブリン・オープン・マザーファンド」に、ファミリーファンド方式で投資しています。

エマージング・ソブリン・オープンのファンド運用方式


このファンドのポートフォリオなど

2019年3月29日時点で、投資先債券の格付け別、地域別の構成比率は以下の通りです。2014年時点では、BBB格以上の投資適格債に約7割を投資していましたが、直近ではその比率が5割以下に下がり、投資不適格債券の割合が増えています。

エマージング・ソブリン・オープンのポートフォリオ



エマージング・ソブリン・オープン、管理人の感想と評価

どのタイプもベンチマークを一貫して下回る残念な運用

まず第一に指摘しなくてはならないのは、設定来のリターンがベンチマークを下回っている残念なアクティブファンドだという点です

以下が、毎月決算型の設定来の、分配金の税金を考慮していないリターンとベンチマークの推移です。一貫してベンチマークを下回るリターンでした。

エマージング・ソブリン・オープンのベンチマークと基準価額の推移


しかも、この赤色のリターンは毎月分配の分配金を出す際の税金がかからないとした場合です。実際のリターンは税金分、さらに悪化しています。

リターンがベンチマークに大きく劣る現象は、毎月分配型だけでなく、1年決算型や資産成長型についても同様であり、全てのタイプで投資する意味は無いと言えます。

債券ファンドとして年1.57%(税抜)の信託報酬もバカ高く、高いお金を取りながらベンチマークよりも成績が悪いようでは投資価値は全くありません。

・・・と言いたいところですが、後述するように、インデックスファンドよりは高リターンである点で、判断が悩ましいところがあります。


「資産成長型」とは一体どんなタイプか?

エマージング・ソブリン・オープンは、毎月決算型と1年決算型で一定の成功を収めたからなのか知りませんが、2013年には「資産成長型」とその為替ヘッジありタイプの2種類が追加設定されています。

資産成長型とは、より過大なリスクを取ってでも大きなリターンを追求するタイプなのかと思ったら、実はそういう意味ではなく、単に「分配金を一切出さない」タイプです。

例えば、1年決算型では毎年1回、1万口あたり10円の分配金を出すのに対して、資産成長型はそれがゼロになっています。つまり、分配金を出さない分、基準価額が下がらないという意味で、資産成長型と称しているようです。

エマージング・ソブリン・オープンの資産成長型について


以下の通り、過去3年のリターンを見ても、資産成長型と1年決算型はほとんど同一商品と言って良いでしょう。

エマージング・ソブリン・オープン1年決算型と資産成長型のリターン比較


毎月決算型の為替ヘッジありタイプと、資産成長型の為替ヘッジありタイプを比べると、若干のリターン差が認められますが、それでもほとんど値動きは同一に近いです。毎月分配型のリターンが低いのは、分配金を出す分、何か運用に非効率な面が生じるからでしょうか。

エマージング・ソブリン・オープン毎月決算型(ヘッジあり)と資産成長型(ヘッジあり)とのリターン比較


毎月分配型は、分配金の出し方が不適正

エマージング・ソブリン・オープン(毎月決算型)の、分配金の出し方も、チェックしておく必要があります。以下、運用報告書に記載の、分配原資の内訳です。

ご覧の通り、赤枠が本ファンドの投資先からの毎月の収益であり、それに対して青線があなたに支払われる分配金です。6ヵ月合計で、156円の収益に対して270円の支払いを行った訳で、全体の58%程度しかカバーできていない、すなわちタコ足分配である事が分かります

エマージング・ソブリン・オープン毎月決算型の分配原資の内訳


過剰な分配金を出し続けると、投資元本を大幅に割って基準価額が下落し続ける事になります。このような元本払戻金だらけの分配金の出し方はゲスの極みですから、こういった投資信託は決して買ってはなりません。


インデックスファンドよりはリターンが出ている

ところで、運用成績がベンチマークを下回ったり、分配金の出し方に問題があったり、更にはコストが非常に高いので、「それだったら同一ベンチマークのインデックスファンドのほうが良かろう」と考えます。しかし、現実には、インデックスファンドの成績が劣ります。

エマージング・ソブリン・オープンと新興国債券インデックスファンドとのリターン比較


リターンは長期で見ても、赤枠の部分の通り、エマージング・ソブリン・オープンのほうが明確に高いリターンとなっており、更には青枠の通り、値動きの大きさ(リスク)を表す標準偏差の数値も低く出ています。

過去10年間で、インデックスファンドよりも低リスクで高いリターンとなっていた事を表しており、これがどいういう意味かというと、エマージング・ソブリン・オープンはベンチマークには劣るものの、インデックスファンドよりは良い成績だという事です。

アクティブファンドらしく、都度都度、ポートフォリオに大きな変更を加えているのが、良い方向に働いたという事でしょう。高い金を受け取りながらもベンチマークに到達できない点は情けないものの、インデックスファンド以上なのですから、一定の役割を果たしているとは言えそうです。

従って、純粋に代替え商品として、上の図で示したようなインデックスファンド、例えばSMT 新興国債券インデックスオープン(信託報酬0.6%)を単純に利用して良いかどうかは判断に迷うところです。

エマージング諸国は高金利である分、為替で調整されて、期待されるリターンは先進国債券や日本の債券と似たり寄ったりであるとも言われるのですが、少なくとも過去10年で見ると、明らかに新興国債券のリターンが良好であり、これをどう判断するのかは難しいですね。

エマージング・ソブリン・オープンと、新興国債券、先進国債券、日本債券とのリターン比較


もし、過去のリターンを重視してエマージング・ソブリン・オープンをどうしても利用したいという場合は、余計な分配金が出ないエマージング・ソブリン・オープン(資産成長型)〈愛称:エマソブN〉を使うと良いでしょう。

毎月の分配金が欲しい人は、資産成長型をSBI証券で購入したうえで、投資信託定期売却サービスを使うと良いでしょう。これであれば、リターンの範囲内でご自身の任意の数値で定額取り崩しで来ますから、タコ足分配を回避する事が出来ます。

アクティブファンドは過去の成績が良くても、将来も同様で有るとは限りませんから、徹底的にコストにこだわってインデックスファンドを利用して毎月の分配金を確保してみようという場合は、iFree 新興国債券インデックス(信託報酬0.22%)を活用できます。

為替ヘッジありタイプを利用して、為替リスクをほぼ無くして運用したいという場合も、エマージング・ソブリン・オープン(資産成長型)為替ヘッジあり〈愛称:エマヘッジN〉の活用を検討すると良いでしょう。



エマージング・ソブリン・オープンの購入先

エマージング・ソブリン・オープンをノーロードで購入できる銀行・証券会社は下記の通りです。

フィデリティ証券SBI証券楽天証券マネックス証券カブドットコム証券SMBC日興証券ジャパンネット銀行ソニー銀行


あわせて、 管理人神推しの証券口座のページ を証券会社選びにお役立て下さい。
管理人的には、ポイント利用でコストを徹底的に削減する効果のある、SBI証券楽天証券の利用がベストだと思います。(どちらでもお好みのところを利用ください。)


 


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