手数料ゼロ投信が人気 隠れコストにご用心

・当記事は07年7月の日経WagaMagaの記事を転載したものです。(問題があれば削除いたします)

購入時に販売手数料がかからない「ノーロード投資信託」が人気を集めている

購入時に販売手数料がかからない「ノーロード投資信託」(No-load Fund)が個人投資家から人気を集めている。扱う金融機関も増えてきた。本数ベースでほぼ半数をノーロードとする証券会社も現れている。余分なコストが省けるというのが、人気の理由。ただ、投信の収支を左右するのは販売手数料だけではない。「ノーロード」の裏に隠れたコストまできっちり織り込んで賢い投信選びを成功させたい。

 カブドットコム証券は7月2日から、取り扱いを既に始めている投資信託のうち、23種類33本を、購入手数料が無料のノーロードタイプに切り替え始めた。ノーロードになるのは、同社が取り扱う投信154種類234本(6月25日時点)のうち、67種類109本。本数ベースで5割に迫る。今回のノーロード化が済んだ時点では、同社のノーロード投信はインターネット専業証券会社としては最大級になる。

 新たに投信を扱う証券会社はノーロードを相当程度、ラインアップに盛り込む傾向にある。ジェット証券は6月から、投信の取り扱いを始めた。スタート時点で同社が取り扱う投信は19本で、そのうち8本はノーロードだ。


(カブドットコム証券はノーロードタイプを一気に増やした)

ノーロード投信はネット販売での伸びがめざましい。SBIイー・トレード証券、マネックス証券などインターネット専業証券4社が扱った「販売手数料ゼロ」投信の残高は急増。3月末時点で約1400億円と、前年同期のほぼ2倍に達したという(6月23日付け日本経済新聞)。

 ただ、投資家側が支払う、投信のコストは販売手数料だけではない。ノーロード投信の場合でも、信託報酬は別にかかるのが普通だ。購入時に支払う販売手数料は「商品説明の対価」という意味合いが強く、購入後にかかる信託報酬は「管理費用」と考えられる。

販売手数料は最初に支払うだけだが、信託報酬は運用期間中、ずっと払い続けなければならない。販売手数料がたとえゼロでも、信託報酬が高ければ、トータルのコストは非ノーロード型の投信よりもかさんでしまいかねない。「ノーロード」の言葉に惑わされずに、すべてのコストを把握した上で、購入を検討する必要がある。

 特別に複雑な運用手法を採用しているような投信では、信託報酬を高めに設定することがある。そうではないのに、信託報酬が同種の投信よりも高ければ、必ずしも負担する必要はないかも知れない。ノーロード投信だから、信託報酬を高く設定するというのは、妙な話だ。同種のファンドの平均的な信託報酬よりも高ければ、理由の説明を販売会社に求めるべきだろう。できれば、ノーロードでかつ信託報酬が低めの商品を探して選びたいところだ。


(投信を浸透させるための移動PRカーも登場した)

主な投信のコストは簡単に調べられる。最も手っ取り早いのは、投資信託協会のサイト)にアクセスすることだろう。トップページ中段にある「投信を調べる」欄で、「取扱販売会社と手数料」の項目をクリックすれば、「商品分類別」や「会社別」のファンド一覧表が選べる。一覧表には販売手数料、信託報酬などがちゃんと書いてある。

投信の販売手数料は販売会社が自由に決められる。だから、同じ投信でも、販売会社によって手数料率が異なる場合がありえる。つまり、A社が1%の手数料を設置している投信を、B社がノーロードで扱っているケースだってある。無駄に手数料を取られる羽目に陥らないように、自分が買おうと思っている投信が別の会社でノーロードで扱われていないか、あらかじめ確かめておきたい。

別の見方をすれば、支払う手数料に見合うサービスが何なのか、販売会社に確かめる必要がある。「手数料です」としか説明せず、コスト内訳の公開を拒んだり、「よそはよそ」といった態度をとる販売担当者に当たったら、購入を見合わせるのも手だ。販売会社はいくらでもある。顧客として当然の応対をしてくれる別の会社・担当者から買えばよい。


(投信の手数料情報はネット証券や業界団体のサイトで調べることができる)

信託報酬以外の隠れコストとしては、解約時の「迷惑料」として販売会社に支払う解約手数料、ファンドに残していく信託財産留保額などがありうる。今のような金利上昇局面では、この先、もっと魅力的な金融商品が登場する可能性もある。どのタイミングで解約すれば、どれぐらいのペナルティーが発生するのかも、販売担当者にあらかじめ尋ねておこう。

「買う前から、解約を想定して質問するのは気が引ける」と考える人もいるようだが、気後れするには及ばない。自動車や家を買うのと同じで、将来の売却・買い換えを織り込んでおくのは、決して恥ずかしいことでも、失礼でもない。

金融・投資の世界は刻一刻と状況が変化し、商品・サービスも形を変えていく。機を見て敏に有利な選択をするのは、賢い投資家の当たり前の身のこなしだ。その販売担当者や金融機関が、長く付き合うのに値するかどうかを見極める意味でも、あつかましいと思われそうな質問を飲み込んでしまってはいけない。

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