ハイブリッド証券の複雑な中身をわかっていますか?

ハイブリッド証券(Hybrid Securities)とは、一般的には「債券と株式の中間的な性格を持つ証券」と定義されています。ただ、中身を考えると正確な表現ではありません。

ハイブリッドカー


「ハイブリッド」と聞くと、ハイブリッド車(エンジンとモータの両方を備えたプリウス等のHVカー)を思い浮かべる方もおられると思いますが、ハイブリッド証券はそのようなスマートな特性はありません。

実際は、ハイブリッド証券特有のリスクを取るため、利回りが良い分、株式に近いリスクのある普通社債です。

ハイブリッド証券を投資対象とするファンドも、コストが高く、なぜか毎月分配型のものが多いです。毎月分配型ファンドに魅力に感じるレベルの方がハイブリッド証券の中身やリスクを理解するわけもなく、販売側がハイブリッド証券ファンドを作る理由が良くわかります。

ハイブリッド証券のリターンとリスク説明
(アセットマネジメントONE ハイブリッド証券ファンド 円コースの交付目論書より引用)


販売側のサイトには上記の表現を良く見かけますが、正確ではありません。まさに、表面的な利回りと、毎月の分配金に目がくらむ情報弱者ホイホイの金融商品と言えます。

株式に近いリスクがあるのであれば最初から期待リターンの高い株式に投資すればよく、中身が不透明なハイブリッド証券に投資する魅力はありません。


 


ハイブリッド証券の種類、メリット、デメリットのまとめ

ハイブリッド証券には、債券に近い性質の劣後債や永久債、株式に近い優先出資証券、優先株式、CoCo債があります。以下に簡単にメリット、デメリットをまとめました。

ハイブリッド証券 メリット デメリット 
劣後債 弁済順位が低い分、普通社債より利回りが高い。満期がない「永久劣後債」はさらに利回り大。 普通社債より弁済順位が低く、発行体の債務不履行(デフォルト)時の元本はまず戻らない可能性大。
永久債  満期がない(無期限)な分、普通社債より利回りが高い。 繰上償還可能性があるなどリスクが大きい。 
優先出資証券 劣後債よりさらに弁済順位が低い(普通株式よりは弁済順位が高い)分、利回りが高い。 償還期限が定められていない、長期であるなど流動性が低く、発行体の財務悪化による繰上償還可能性もあり。 償還時に株式に変換されるものもある。
優先株式 議決権がない分、配当利回りが高い株式。 流動性低。金融危機時の下落大。発行元の業績悪化による償還時期の変更や配当の見送り可能性あり。
CoCo債  発行体の自己資本比率低下で元本低下やゼロになる仕組みがある分、利回りが高い。 発行体である金融機関の自己資本比率が予め定められた水準を下回った場合、元本の一部または全部が削減されたりある強制的に株式に転換されるなどの仕組みがある。


ハイブリッド証券は、上記にあるように信用リスクの他、ハイブリッド証券特有の流動性リスクや繰上償還リスク、配当、金利受取り見送りリスクがあるため、普通社債より利回りが高い分、リスクも株式に近い大きさのある社債に近いです。


社債とハイブリッド証券の利回りとリスクイメージ
(アセットマネジメントONE ハイブリッド証券ファンド 円コースの交付目論書より引用)


高利回りと聞くと一見魅力的に感じますが、単に「肝心の利回りは、発行体の信用リスクによって台無しになる可能性があり、流動性も低いことから売却も困難な分、利回りを高くしないと売れない金融商品」です。

空前の低金利時代ということもあり、ハイイールド債券同様に、高利回りな「ハイブリッド証券ファンド」に惹かれる方もおられると思います。

ただ、ハイブリッド証券は株式とほぼ同様の大きな値動きをするリスクの高い資産クラスです。

ハイブリッド証券ファンドの信託報酬も高く、一般的に債券クラスがアセットアロケーションの中のリスクを抑えるための資産であることを考えると、投資対象として不適と言えます。


ハイブリッド証券の利回りの高さは複雑なリスクの裏返し

以下が先進国国債(除く日本)、投資適格社債、ハイブリッド証券、CoCo債の各指数の利回りです。(2015年10月末時点) 

・先進国国債(除く日本): シティ世界国債インデックス(除く日本)
・投資適格社債: バークレイズ・グローバル総合・社債インデックス
・ハイブリッド証券: バークレイズ・グローバル優先証券インデックス
・CoCo債: BofAメリルリンチContingent Capitalインデックス
ハイブリッド証券等主要証券別の利回りと信用格付け
(東京海上アセットマネジメント 東京海上Roggeグローバルハイブリッド証券プラス(為替ヘッジなし)(愛称:プラッシー)より引用)


国債よりも発行体の信用リスクを取る投資適格社債の方が利回りが高く、ハイブリッド証券はさらに前述の複雑なリスクを取る分、利回りも高くなります。

発行体の状況により、金利や配当の未払い、強制的な償還があるハイブリッド債券は、単純に利回り差がリターン差になるわけではないことに注意が必要です。


ハイブリッド債券のリスクは株式同様の大きさで、株式と似た値動き

ハイブリッド債券は、下図のように株式との相関が高く、景気が良い時は株式と同様に上がり、景気後退時は値下がりします。青線の世界国債の値動きに比べ、赤線のハイブリッド債券は、黄線の世界株式とほぼ同様の大きな値動きをしていることがわかります。

<各指数はいずれも米ドルベース>
・世界国債: シティ世界国債インデックス(除く日本)
・世界株式: MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)
・ハイブリッド証券: バークレイズ・グローバル優先証券インデックス


世界株式、世界債券、ハイブリッド証券の過去の値動き、リターン比較
グローバル・ハイブリッド証券ファンド(為替ノーヘッジ型)の交付目論見書より引用)


ハイブリッド証券は、実体は株式とほぼ同じような大きさのリスクです。であれば、期待リターンは株式より低く、わざわざ信託報酬もかさみがちなハイブリッド証券に投資する必要性がありません。

金融機関のカモとならないよう、ハイブリッド証券の特性を理解した上で、手を出さないように注意しましょう。「やめておけばよかった」と、後で後悔しないようにしてください。

ハイブリッド証券


ハイブリッド債券ファンド一覧

ノーロードで購入できるハイブリッド債券ファンドには以下があります。ただその性質上、リスクの大きさに見合う期待リターンではなく、信託報酬も高いです。

いずれも購入する必要はないと考えます。

ファンドの名称 信託報酬(税抜)
インデックスファンドUSハイブリッド優先証券(毎月分配型) 0.70%
グローバル・ハイブリッド証券ファンド(為替ノーヘッジ型) 1.78%
グローバル・ハイブリッド証券ファンド(為替ヘッジ型) 1.78%

(2016年5月29日更新)


 


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