Jリート(J-REIT)投信の評価は困難!

●2010年6月追記

J-リートについての最新の感想は、Jリート(J-REIT)投資と現物不動産投資の比較のページをご覧ください。

Jリート(J-REIT)投信の値下がりが続いています。例えば、「野村不動産オフィスファンド投資法人 投資証券(東証の上場コード:8959)の過去2年のチャートを見ると下記の通りとなっています。(2008年1月24日現在)

サブプライムローン問題以前にピークアウトし、その後は世界的な株安に連動して、株価は急降下しています。

これからはインフレの時代だ、などと喧伝され、庶民でも手の届く価格で不動産に投資できるメリットは大きいものの、本当にJリート(J-REIT)は私たちに適した金融商品なのでしょうか?


 

Jリート(J-REIT)が登場した背景とその後

Jリート(J-REIT)は2000年に法律が改正され、今までは株や債券を組み入れた投信のみだったものが、不動産も組み入れられるようになりました。

2001年に2銘柄からスタートし、2007年のピーク時には7兆円に迫る時価総額を記録しています。

2000年と言うとかなり前の事ですね。実はこの時の日本はITバブルが崩壊し、デフレの深刻化と共に経済的には最悪期で、株価の急落と共に企業の資産価値も下落、特に不動産などは売るに売れない状況になっていました。

これを打開する術として登場したのがJリート(J-REIT)です。世界的に注目を浴びていた不動産の証券化を日本でも導入、などと謳われましたが、現実問題としては売れなくなった不動産を証券化してひとまとめにして、興味を示した買い手に売りつける、と言う側面がありました。

ところがその後、小泉改革と共に日本市場が見直され、ちょうど不動産価格がこれ以上下がらない所まで落ちていた事もあり、外資を含めて不動産を物色、Jリート(J-REIT)への投資も含めて都市部での地価が一気に上がっていく事になりました。



ではJリート(J-REIT)は「買い」なのか?
Jリート(J-REIT)の問題点

冒頭に記述した通り、Jリート(J-REIT)は既にピークアウトしており、既述の野村のファンドのみならず、ほとんど全ての投信の価格は急下降しています。では下がる所まで下がったら(それはいつなのかは全く予測できませんが)、「買い」と言えるのでしょうか?

管理人は一度だけ、Jリート(J-REIT)投信を購入した事があります。が、1割の損失が出たところでロスカット、わずかな「授業料」を払うだけで済みました。

そのときに感じたのが、

 ・Jリート(J-REIT)の中身は、いくら見ても素人には判断つかない!

という、重要な点です。

ご存知の通り、「良く分からないものに投資してはならない」は鉄則です。そこからすると、Jリート(J-REIT)程よく分からないものはなかなかありません。

例えば冒頭に紹介した「野村不動産オフィスファンド投資法人 投資証券」ですが、いくら上場しているといえ、他の上場銘柄、例えば「トヨタ自動車」のように、どのような中身の商売をしている会社か、全く想像が付きません。

社名が分からなくても、会社四季報で業容をチェックする方法もあります。しかし、Jリート(J-REIT)は四季報に載っていません。

まあこの点については証券会社の提供するデータを見れば何とかなりますが、問題は

 ・どこの、どんな不動産を証券化しているのか?
 ・その不動産は個別に問題があるのか無いのか?
 ・将来的な展望は期待できるのか?

と言う点が、全く分かりません。Jリート(J-REIT)登場の背景を知れば、「売れ残り不動産を曖昧にしてファンドに仕立て上げている」という疑念さえ生じてきます。

この疑念は、Jリート(J-REIT)を運営している会社の多くが、実は自社で個別に不動産事業を手がけていると言う事からも予測できます。となると、企業と言うもの、収益性の良い不動産、つまり儲かるものは自社が直接手がけ、あまり期待できないものには蓋をして(つまりファンドにして)、Jリート(J-REIT)に形を変えて売りつける、と言う事がまかり通っても、少しもおかしくありません

このようなものに投資すること自体、無知で危険極まりないと言えるかもしれませんね。内容が分からなくて疑心暗鬼に陥ると言うのは、昨今のサブプライムローン問題と本質的に似ています。

さらに、Jリート(J-REIT)はアメリカのリート(REIT)をお手本に作られていますので、法人税が優遇される代わりに、ファンドの利益の90%を投資家に還元(配当)しなくてはならない仕組みになっています。

上場されたJリート(J-REIT)を直接購入した際には消費者にとって有利ですが、バランス型の投資信託などに組み入れられている場合は、分配されると、都度そこに税金がかかりますから、複利効果を弱める働きになってしまうと言った問題点があります。

また、もしも日銀が金融政策を変更し、金利を上げた場合には不動産の利回りが悪化しますので、ファンドの下落圧力につながります。優良不動産であれば問題はありませんが、問題物件がもしも多数、ファンドに入っていたならば、そのファンドが立ち行かなくなる可能性もあると思います。

(ここで再び、ファンドの中身、つまり問題のある不動産が有るのか無いのか、素人には判断がつかないという問題点につながってきます)




Jリート(J-REIT)に関する管理人のスタンス

上記に記したようなデメリットを考え、管理人はJリート(J-REIT)を組み入れた投資信託を購入していません。

現在管理人の保有している投信の中心はセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドです。長期的に見て、アクティブファンドよりも良好な成績を納められる可能性の強いインデックス運用のファンドだと言う点が注目されますが、実はリート(REIT)が組み入れられていない、と言う点を評価したからでもあります。

最近のバランス型ファンドの大半はJリート(J-REIT)や海外のリート(REIT)を、決して低くない率で、組み入れています。

これらのバランス型ファンドは、世界的な不動産価格の急降下によって、必要以上に基準価額が下がっているのが現実です。(逆に、上がる時には上がるのかもしれませんが、これは期待リターンに対するリスクを高める事につながるため、本来バランス型とすることでリスクを低減しようとしているのと、相反する事につなります)

これらの理由により、現在はJリート(J-REIT)投信は保有していません。ただし、Jリート(J-REIT)投信が透明性を増し、私などが説明書を読んで、妥当だと判断を付けられるようになれば、なおかつ世界的な不動産価格の下落が行き着く所まで行ったら(そんなことが分かれば誰も苦労しませんが)、投資の対象にしても、良いとは思います。

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