Jリート(J-REIT)投資と現物不動産投資の比較

J-リートの評価は困難、などとネガティブな記事を2008年に掲載していますが、それ以来、現物不動産の取得を模索してきました。

ところが現物不動産を取得するのは簡単ではない! 物件選びや銀行の融資の可否、家賃の見通し、将来的なリフォームなどなど、これは投資ではなくて「経営」だと思うに至ります。

管理人の知人に現物不動産投資に成功している人がいるのですが、根性と情熱は凄まじく、あそこまでやらねばリアルアセットでは成功しないな、と言うのが分かると同時に、本業を持っている人が片手間でやるほど甘いものではないというのが良く理解できました。

そんな中、気が乗らなかったJ-リートを調べてみたところ、思ったより悪くないぞ、と言うか、家賃収入を得るのであれば、J-リートも非常に有効な手段だと思うに至りましたので、そのあたりをここで書いてみたいと思います。

Jリート(J-REIT)投資の利回り水準

現物不動産投資(中古物件)をする際、一つの目安となるのが表面利回り10%以上です。東京などの大都市部ではそういった好条件はほとんど見つからなく、大体7,8%程度有れば良い方です。

しかし冒頭にも書いた通り、大変な思いをして物件を購入して利回り7%だった場合(各種手数料や税金をカウントすると実質利回りは6%程度)、自分が取った行動(リスクとも言いかえられる)に対し、リターンが適切なのかどうか、少々疑問が生じる事も確かです。

そんな中、2010年6月下旬現在、J-リートの利回りは非常に高値圏にあります(下記)。

苦労して現物不動産を取得しても表面利回りが7%だったとしたら、現物よりもはるかにリスクの低いJ-リートの利回り、上記では7%~9%の投資の方が有利であると言えます。

もしも5000万円を配当利回り7%のJ-リートに投資したとすると、年間の配当金、つまり家賃は350万円にもなります。月額29万1600円です。税金1割を引かれたとしても、26万2500円です。

J-リートの仕組みを利用してリスクを最小限にして、これだけの分配金をもらえるとしたら、なかなかの投資ではないかと思います。


 

レバレッジと節税対策が、現物不動産の有利な点

ただし、上記の様に5000万円のお金を用意しなければ、年間家賃350万円分のJ-リートは購入できません。

それに対し、現物不動産であれば、銀行からの借り入れを利用する事で、わずかな資金で大きな投資をする事が出来ます。レバレッジをかけて投資が出来る、と言う事ですね。

例えば500万円の頭金を持つ人が3000万円の物件を買ったら、レバレッジ6倍と言う事になります。少ない資金で、レバレッジを効かせて早いスピードで資産を手に入れるのが、現物不動産投資の有利な点です。

1軒目が軌道に乗れば、2軒目、3軒目と物件を増やして、毎月の家賃と総資産を、証券投資とは比べ物にならない早さで増やして行ける大きなメリットが有ります。

また、物件を取得した場合、毎年、減価償却費と言う経費を計上できますので、支払う税金を大幅に圧縮して、節税を図る事が出来ます

一方で家賃を手に入れ、もう一方でお金の出口となる税金を圧縮できるのですから、不動産投資は成功すればお金持ちになる最短ルートになります。

Jリート(J-REIT)投資現物不動産投資・完全比較表

とは言え、現物不動産投資は容易ではありません。取得にかかる手間や、不動産管理上のリスクを可能な限り排除した便利な仕組みが、J-リートと言えます。

ここでは、現物不動産との比較をする事で、J-リート投資のメリットやデメリットを、分かりやすくしてみましょう。

項目 現物不動産投資 J-リート投資
所得金額 数百万円~数千万円 銘柄によるが、10万円未満から100万円未満くらいまで幅広い
投資資金 銀行融資で手持ち資金の数倍を得られる すべて自己資金で投資
手数料 取得金額のおよそ1割程度 証券会社の売買手数料(数百円単位)
売買 売り買いには時間がかかる。購入できないケースが大半 即時売買可能。売りたい時にすぐに換金できる
投資対象 戸建て、区分所有、一棟買いなど 住宅、商業不動産、ホテルなど、銘柄による
利回り 都市部では数%、7%あれば御の字 2010年6月現在、9%台~5%程度まで(通常でも5,6%程度
税金 固定資産税、不動産事業税。ただし、減価償却を考えると、節税効果が非常に高い 軽減税率が適用中につき配当の10%
確定申告 確定申告が必要 特定口座(源泉徴収あり)にすると申告不要
分散投資 ほぼ不可 1銘柄で分散投資。銘柄を組み合わせれば異なる不動産、異なる地域に分散可能。
保有物件の価格 売却時でないと分かりにくい J-リート銘柄のHPで都度確認可能
元本割れ 新築ではほぼ確実に、中古でも大半が取得時よりも売却価格が安い(売却の意思が有る場合) 銘柄取得価格よりも値下がりすれば元本割れ。ただし、値上がりすればその分も利益になる。
破たんリスク 空き室、地震、事故、金利上昇で破たんリスクあり、投資としてはハイリスクである 株と同様、時には有り得る。ただし、上場しているので事前に問題の有無は有る程度分かる
企業の中身 分かりにくい。決算書を見て、自分で想像するしかない。 ホームページ上で詳細を確認できる。決算内容の説明会もあり、さらに動画でも確認できる。
  

繰り返しになりますが、レバレッジと節税対策と言う、2つの極めて大きなメリットが有るからこそ、現物不動産投資が注目される事になるんですね。

労力とリスクをかけてでもその2つのメリットを取りに行く!と言う人でなければ、J-リートが無難だし、大きな間違いも犯しにくいと思います。

現物不動産投資から見たJリート(J-REIT)投資のメリット

当初、Jリート(J-REIT)投資は中身が分かりにくくて問題だと感じていましたが、現物不動産投資を志向した後にたどり着くと、難しい事は有りませんでした。J-リートのメリットを次に記します。

自分で探すより魅力的な物件が多数

現物不動産を探した事が有る人なら、競争優位性の有りそうな物件を探すのが、どれほど大変で、ノウハウも必要なのか、想像がつくと思います。

一方、J-リートの抱える物件は、個人では手の届かない一流(超一流とまでは言わないが)の物件が非常に多いという事が、J-リート・ホームページの物件ポートフォリオから分かります。

マンションだけでなく、商業施設、物流施設、ホテルなど、通常、個人投資家が投資不可能な物件も非常に多いのが魅力的です。

さらに、各物件の取得価格や時価、稼働率の推移などもHPから確認できます。優良なりリートであれば、物件の稼働率は95%以上あるのがザラですので、空き室の不安なく、大家として分配金(家賃)を受け取れます。

時に、J-リートはスポンサーである不動産開発会社と利益相反の関係にあり、J-リートはスポンサー側の売れ残り物件を押しつけられているとの指摘もありますが、その懸念があればスポンサーが不動産会社ではないJ-リートを選べば良いでしょう。

銘柄が限られているので、投資判断が非常につきやすい

現物不動産投は星の数ほどある物件の中から、自分に適したものを選ばねばならず、それゆえに多大な労力がかかりますが、J-リート投資は約40銘柄の中から絞り込むだけなので、非常にやりやすいです

  ・配当利回り
  ・投資口価格(株価)の推移
  ・分配金の推移から予測する物件競争力の確認
  ・銘柄のスポンサーのチェック(問題ありそうなスポンサーは排除)
  ・借入金の状況から財務体質の問題の有無をチェック(レバレッジなど)
  ・投資物件のカテゴリーや、地区をチェック

などなどのアクションですぐに優劣は分かりますので、ただちに投資を実行する事が出来ます。

投資に失敗して破綻する危険性が非常に少ない

現物不動産投資は、銀行融資を利用して物件を取得します。このため、過剰なレバレッジで借り入れをした場合、立地条件の変化や、天災や事件等による空き室率の上昇、あるいは金利の上昇などに伴って、入ってくる家賃以上の返済の負担が生じる事が、結構あります。

管理人も東京に戸建物件を一棟保有しており、現状は銀行ローンが月額13万円なのに対し、家賃は18万5000円入ってきますので、返済は問題ありません。

ところが、もしも借主が退去して次の入居者が決まらなかった場合は、銀行ローンの13万円は完全に「自腹を切って」支払う事になり、仮に管理人が月収20万円のサラリーマンだったとしたら、経営破たんで一巻の終わりとなる事が想像つきます。(1年分くらいのキャッシュが無ければ)

つまり、現物不動産投資は、問題が発生するとシャレにならない事態に至る、非常に大きなリスクが潜んでいると言えます。

これに対しJ-リートへの投資であれば、仮に投資した先の株価(投資口価格)が3割下がったとしても、分配金は従来同様貰えますし、売却しなければ損失は確定しません。

J-リートの倒産で資金を失う恐れもありますが、これはJ-リート銘柄を広く分散しておけば、もしもそのような事態になったとしても人生が破たんする様な事はおよそ考えられません


 

Jリート(J-REIT)と日経平均株価との連動性(相関性)

Jリート(J-REIT)は当初、日経平均などの株価とはかなり異なった値動きをしていました。しかし、サブプライムショック以降、金融危機を経て現在に至るまで、相当に株式との連動性を強めているようです。

長期的に見るとどうなのか、東証J-リート指数ETF、及びJ-リートの代表的銘柄である日本ビルファンド投資法人と、日経225を比べてみました。

●東証J-リート指数ETFと日経225の比較

●日本ビルファンド投資法人と日経225の比較

東証J-リート指数との比較は2年未満しか比較できませんが、日本ビルファンド投資法人は5年間の比較です。株価の下落基調の時はほとんど値動きが一緒ですが、それ以外の相場の時は相関関係が薄れるようです。

J-リート投資を進めてより多くの分配金を得ようと思うと、どうしても投資金額が大きくなってしまいます。そうすると、従来から保有している投資資産と合算して、日本国内への投資割合が過大になってしまいます。

日本の株式と連動性の大きいアセットクラスがJ-リートですし、これでは世界分散投資によるリスク低減の効果も薄くなります。

このため、J-リート投資の直前に現物株保有分をすべて売却して調整を図ったほか、今後もTOPIX連動型上場投資信託を売却し、日本への投資割合をコントロールしていく予定です。

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以上がJ-リート投資と現物不動産投資の違いですが、現物不動産投資は市場のゆがみがとても大きいため、労力やリスクを取った見返りであるリターンも、成功すれば(ただしく投資を行えれば)非常に大きいものになります。

どちらを選ぶのかは、各人の様々な様々な状況によって、大きく変わる事でしょう



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