毎月分配型投信の選び方

定期分配型投資信託は、本当にお得ですか!?、でも書いた通り、本来的には毎月分配型投信は資産形成に不向きな商品ですが、毎月一定額のお金を受け取れる分かりやすさが好評で、本来の利用者層であるリタイヤ組のみならず、あらゆる年代から支持を受けています

SBI証券の2010年6月6/11~6/17の投信販売額上位10ファンド)

上の表を見ると分かる通り、売れ筋トップ10のうち、7つが毎月分配型投信です。ここでは、それら毎月分配型投信の適切な選び方について、考えてみます。


注記:本ページですが、投資に関して詳しい人から見ると、「ん??」と引っかかる部分があるかと思います。具体的には「分配金がどこから来ているのか」の部分と、「基準価額が安いものを選んではならない」の部分だと思います。

細かく記述すると、とてつもなく長い説明を要することから、(管理人から見て)最低限、投資の初心者が理解しておきたいポイント、と言う範囲の記述収めておりますので、その点ご了解ください。

                                        (2014年11月5日更新)



将来のお金か、今のお金か?

後悔しない毎月分配型投資信託の選び方


毎月分配型投信には、複利効果が全く働きません。複利効果はあのアインシュタインををして「人類最大の発見」と言わしめた、非常に素晴らしい資産形成の仕組みですが、毎月分配型投信ではこれを切り捨てる事になります。

本来ならば複利効果を働かせて、中長期的に資産を増やすところをそれを切り捨てて、将来のお金を今、引き出すファンドが「毎月分配型投信」なのです。

つまり、


 ・中長期的に財産形成をしていきたい人 ⇒ 年1回決算、あるいは無分配のファンド
 ・毎月一定のお金を入手して、生活費の補てんをしたい人 ⇒ 毎月分配型投信


と言うのが、まず覚えていただきたいファンドの選び方の基本です。

そこからすると、若い世代の人が毎月分配型ファンドを購入する投資行動は、もしもそれが将来の資産形成のためだとすると「人類最大の発見」をみすみす逃す、たいへんもったいない行動だという事になります。

逆に、退職したリタイア層がこれを利用する事は、十分理解できます。

しかしながら、では適切な毎月分配型投信を選んでいるかと言うと、大いに怪しいと言わざるをえません。銀行などの金融機関に勧められるまま大した比較もせずに選ぶと、あなたの財産を確実に蝕む事になります。



 


分配金の利回りに目を奪われてはならない

では、どうやって毎月分配型投信を選んだら良いのか?・・・何もご存じない方は、分配金の利回りの高さで判断するかもしれませんね。分配金の絶対額で判断する人もおられるでしょう。しかし、それは正しくありません。

実は、分配金には重大なカラクリがあります。それをまず、理解する必要があります。


カラクリ:分配金利回りは自分のお金を引き出しているだけ

分配金利回りが10%とか20%を超える投資信託もたくさんありますが、変だと思いませんか? そんなに美味しい話があるのなら、世界中の人が日本に殺到しますよ、本来。

実は分配金って、投資信託の運用者のさじ加減で、勝手に増やしたり減らしたりできるんです。投資信託の販売を増やして手数料収入を多額に手にしたかったら、分配金を大盤振舞いすれば、何も知らない(あなたのような)お客は簡単に集められるのです

え?20%もの利回りの分配金は、きちんと口座に振り込まれているはずだって?? そのお金は、実はあなたの元本の取り崩しである事が大半だと覚えておいてください。

つまり、分配金のうち、大半の部分は利益でも何でもなく、あなたのお金を知らないうちにあなたの口座に返金しているだけなのです、高額な信託報酬を支払ってから!!

実際に、販売側(下記は楽天投信投資顧問株式会社の販売用資料)では、次のように言っていますよね。

分配金が支払われるイメージ

本来は、増えた資産から分配金が出るべきで、それならば問題ないんですけど、ほとんどの投資信託は、自分のお金を勝手に取り崩す、「特別分配金」です。利益でも何でもありません。


証拠:分配金がどこから来ているのかお見せしましょう

ちょうど2014年時点で大人気の、楽天USリート・トリプルエンジン (レアル)毎月分配型の分配金の実態がどうなっているか、お見せしましょう。

投資信託を購入する前に、小難しい運用報告書を目を皿のようにして見れば、下記のような部分を発見できるはずです。

楽天USリート・トリプルエンジン (レアル)毎月分配型の分配原資の内訳


直近第48期の分配金は170円です。それに対して当期の収益、つまりアメリカのリートの配当金収入で賄えた分は124円にとどまるという事です。全体の70%程度ですね。

残り45円分がどこから支払われたのか、実は運用報告書を読んでも、ほとんど分からないのが実態です。リートの配当金以外、リートそのものの売却益ならば問題ありませんが、可能性として最も大きいのは、あなた自身のお金の取り崩しです。

なお、分配金が本来の配当の範囲内にどの程度収まっているのかを判断するのは、(管理人のような)投資マニア以外はほとんど不可能でしょう。

その場合は唯一、SBI証券が提供しているサービス、「健全率と余裕月数で選定した分配金一覧」をご覧になって頂き、分配金の健全性が100以上のものを選んで下さい

健全率と余裕月数で選定した分配金一覧


世の中に存在する投資信託、約4000本の中から、マトモに見える投資信託が、これで数十本に絞られる事になります。(無分配のファンドを除く)



基準価額の安いものを選んではならない

次に、前項と関連する項目です。基準価額の安いものは選ばない、という事です。申し上げた通り、分配金が出ると、基準価額が下がります。

でも基本的に、配当の範囲内で分配しているファンドだったら、中長期的には基準価額が下がるはずがないですよね。健全な運営なんだから。

相場が暴落して、投資対象そのものが値下がりしても基準価額は下がりますが、その際は分配金を減額して、身の丈を越した過剰分配をしないようにすれば、基準価額の下落は一定の範囲に抑えられるはずです。

ですので、基準価額が安すぎる、具体的にはスタート時点の1万円を大きく割り込んで、6000円だとか4000円の投資信託があったとしたら、それは不健全な運営をしている可能性が大だという事です

(ちなみにこの選択基準を適用すると、この時点で大半の毎月分配型投資信託は、除外される事になります。。。)

下記の図は、前述した楽天USリート・トリプルエンジン (レアル)毎月分配型の分配後の基準価額の推移です。過剰分配が無ければ、本来はこのように下がるはずはありません。

楽天USリート・トリプルエンジン (レアル)毎月分配型の基準価額の推移


それと、前項と関連しますが、例え今現在の分配金が健全だとしても、過去に客集めのために分配金利回りを高く見せていたようなファンドの場合、過剰分配で今現在の基準価額は相当安くなっていることが考えられます。

そのような「悪事」をはたらいた投資信託など信用なりませんから、基準価額1万円前後を大きく割り込むファンドは、除外すべきなのです。

なお、今が健全な運営でも、いつ何時、豹変するか分かりません。

したがって、いきなり分配金が増額されだしたら、それは利回りを良く見せかけて客集めをするための操作である可能性が大ですから、勝手にあなた自身の元本を勝手に取り崩されないように、ただちに解約して資金を別のファンドに振り向けることを考えるべきでしょうね。

みなさん、基準価額が安い方がお得だと思っているかもしれませんが、株式投資と違います。基準価額が長期に渡って安い投資信託は、運用の腕が悪いか、不健全な分配をしているかのどちらかです。安物買いの銭失いになりますから、十分注意してください。

みずほ銀行でさえ、基準価額は安いほうが良いと言っている残念な事例



運用対象に、毒物が入っていない投資信託を選ぼう

最後に、貴重なあなたのお金を、変な投資対象に投じてはならない、という話しです。2つの毒物が紛れ込んでいないか、注意しましょう。


毒物①:ハイイールド債券やMLPに要注意

以前から、ハイイールド債券に投資する投資信託が、大人気です。例えばこれ、フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド

恐らく多くの人が、ハイイールド債券と言うのは、単なる高利回り債券だとしか認識していないと思います。確かに高利回りなのですけど、その分、相当高いリスクを背負いこんでいると、よく考えてくださいね。

本来債券と言うのは、株式で取っているリスクを緩和するような、安全資産のはずです。しかしハイイールド債券と言うのは、株式並みのリスクが有って、とても不安全な資産です

下記、フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの格付け別組み入れ状況を見てみましょう。BBB格の債券3.3%以外で大半が構成されていますね。



で、ここで質問なのですが、BB格以下の債券は、「投資不適格」とされているのをご存知でしたでしょうか?

分かりやすく表現すると、フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドに投資をするというのは、借金を踏み倒す可能性が高い友人に、ホイホイとお金を貸しているようなものなのです

投資不適格債券への投資は、本来は投資のプロフェッショナルが行うものです。元本が返ってこない事も厭わないようなプロ中のプロがやるトレードですよ。

そんな難しいトレードに人気が集中している怖さを、認識しましょう。今のように相場が絶好調の時には何の問題も無いように見えますが、もしも相場の暴落が起こったら、あなたの想定していないような大幅な価格の下落がありますので、十分注意してください

上記の投資信託以外にも、一部にハイイールド債券が含まれている投資信託が、多数存在します。そういうところに投資する際は、ぜひ資金の一部にとどめていただいて、高利回りだからと言って、全財産を突っ込まないようにしてください。しょせん、毒物は毒物でしかありません。

なお、ここ最近登場したMLP投資も同様です。想定外のリスクが潜んでいる可能性も強いので、投資は差し控えたいところです。


毒物②:複雑怪奇な仕組みかどうかに要注意

投資対象に付随して、理解不能な様々な収益の仕組みが組み込まれていないか、注意してください。具体的には、好配当グローバルREITプレミアム・ファンド通貨セレクトコース(愛称:トリプルストラテジー)などのような投資信託です。名前聞いただけで嫌ですね(笑)

この投資信託、世界のリート、オプション取引、為替取引の3つをごちゃ混ぜにした複雑きわまる内容となっていて、トータルで年率16%超の配当リターンを狙うと言っています。




ここで質問。オプションのプレミアム収入って何ですか? 為替取引って何ですか? ・・・もしも理解できないようならば、このような投資信託は買ってはなりません。

(と言うか、知っていたらなおさら買う気が失せると思います)

超はしょって書きますと、オプション取引や為替取引は、あなたが考えているよりも超絶にハイリスクな投資対象です。正確には投資ではなくて投機、つまりギャンブルになります。

単純に世界のリートにだけ投資していりゃあ良いものを、わざわざギャンブルまで組み込むとどうなるのか?




おーっと!あなたはラッキーだ!!一山当てましたね!2014年9月末時点では、年利19%超のリターンを獲得しています。祝杯を上げるべきですかね。

えーっと、何が言いたいのかと申しますと(笑)、本来の投資対象であるグローバルリートの配当金は、ほとんど安定しています。それに対してオプション取引や為替取引はギャンブルですから、今みたいに分かりやすい相場が永久に続かない限り、ハイリターンが裏目に出た場合はそっくりそのまま大きな損失につながる可能性が大だ、という事なのです。

ヤバい、相場が急変した!急いで逃げろ!」というような機動的な対応が取れる人以外は、本来やってはならない投資なのですよ

ですので管理人としては、長い時間ゆったりと分配金が獲得できるような投資信託は良いと思いますが、今回ご紹介したような「毒物」が混ざって、ある日突然発症して即入院となるようなファンドについては、よく考えていただくほうが賢明だ思いますね。



分配型投信を複数利用して資産の分散をしよう!

以上の注意事項をよく守った上で毎月分配型投信を絞り込んだら、購入時には、できれば、5本程度に資金を分散させて、すべてに均等に投資するのが良いと思います

このページにも書いている通り、いくつかの資産を組み合わせて保有すると、リスクをより低減させつつも、同様の期待リターンを得られる効果が有ります(分散効果)。

ですが、選んだファンドが全て海外株式だった、とか、海外債券が3本で残りがJ-REITと海外REITだった、などはNGです。

似たような資産クラス(カテゴリー)の投信が残ってしまったら、同一カテゴリーからは1つのファンドのみ選んで、残りは別のカテゴリーから選び直してください。

投資した市場に、もしも何らかのトラブルが発生した場合、保有している資産は全て水面下に沈む事になります

老後などに少しでも安定的に分配金を得ようと思ったら、どれか1つの資産が傷ついても他の資産でカバーできる状態にするのが賢明でしょう。



手数料の安いところで購入しよう!

最終的に購入するファンドを選んだら(できれば3つ~5つ程度分散させたい)、そのファンドを取り扱っている証券会社にて購入します。

ただし、当サイトでは口を酸っぱくして言い続けますが、銀行や証券会社の窓口では購入しないようにしましょう。必ず、買い付けの際に高額の手数料を取られます。

 投資信託のコスト



まず、買い付け手数料はノーロードにしなくてはならない

同じファンドでも、金融機関によって買い付けの手数料が異なりますので、必ず、最も安いところから買うようにしてください

同じ100万円を投資するにしても、手数料ゼロ(ノーロード)の金融機関であれば、信託報酬をカウントした総投資額は99万円くらいですが、手数料を取られてしまうと投資額が97万円。何もしていないのに2万円分も損している事になります

1000万円投資したら、この差は20万円ですよ。この20万円は、・・・・金融機関がニッコリ笑って受け取ります。



信託報酬は1%以内のものを選ぼう

信託報酬については、1%を切るものでないと、資産運用などできません。これも金額で示しても良いのですが、ここではもうちょっと分かりやすく。

世の中に出回っている毎月分配型投資信託の大半は、信託報酬1.5%超の高コストです。高いのか安いのかピンとこない人には、10年で15%の元本が持っていかれるレベルだ、と覚えておいてください。2%のコストなら、たった10年で2割もやられるのです。

投資元本に対して、わずか10年で15%とか20%もコストによって「元本割れ」する商品が、果たしてマトモと言えるでしょうか?

多額のコストをかけてもほとんどの毎月分配型投資信託の運用成績は、インデックスファンドに劣ります。これは金融機関があなたには絶対に教えない都合の悪い事実です。

どうして負けるのかというと、コストが高すぎて自分の運用成績の足を引っ張るからなのです。つまり、低コストのものを選べば選ぶほど、運用成績は向上してあなたから奪われる投資元本が少なくなるというわけです。

ですが果たして、この要求を満たすような毎月分配型投資信託が有るのかどうか、あなたご自身の手で調べてみてください。



どの証券会社を選べばよいのか?

毎月分配型投資信託の品ぞろえが豊富で、かつ、ノーロードで購入できるとしたら、SBI証券楽天証券あたりが良いでしょうね。

 SBI証券


なお、SBI証券の場合は、投資信託・定期売却サービスを実施している唯一の証券会社です。これを使えば、低コストのインデックスファンドを、毎月分配型投資信託のように定期的に換金できます

例えば、世界中の株と債券に分散投資できる世界経済インデックスファンドを買い付けて、定期売却サービスを使って配当利益の範囲内で換金すれば、もはや難解極まりない毎月分配型投資信託選びなどをする必要がありません



通常、手数料が取られるファンドを無料で買い付けるには

なお、本来ノーロードではない毎月分配型投資信託をどうしてもノーロードで購入したい場合は、フィデリティ証券の投資信託キャンペーンを利用してください。

通常、比較的高い手数料を取られるファンドが、手数料無料で買い付け出来ますので、こういった機会は絶対に逃さないようにしましょう。


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