定期分配型投資信託は、本当にお得ですか!?

グローバル・ソブリン・オープンの毎月決算型ファンドが、売れに売れています。純資産残高5兆円と言う、恐るべき巨艦ファンドに成長していますが、このファンド(略称グロソブ)に代表される、「定期分配型投資信託」は、本当にお得なのでしょうか?



なぜ定期分配型投信が売れるのか?

前述したグロソブに投資している方は、どのような人たちなのか? そこに一つの答えがあります。グロソブに投資している人は、

 ・年齢50歳以上が平均
 ・1人あたりの平均購入金額は400~500万円


のようです。つまり、退職金などで一定金額を確保した高齢の方が、毎月お小遣い感覚で分配金を受け取りたい、と言うニーズがあるからです。

仮にグロソブに500万円投資していると、毎月の分配金は25000円程度もらえます。ちょっとしたお小遣いになりますし、第二の年金の感覚で、受け取る事になります。

退職金などで一時的に大金を手にし、その運用に悩んだ時に手っ取り早く投資でき、後は放っておけば毎月一定のお金を受け取れる。そして、ささやかな贅沢や趣味などに使うことができる適度な金額、と言うのが良いのでしょうね。



本当は買わされているのでは?

先に、ニーズに合致しているから売れているような書き方をしていますが、実際の所、投資のアマチュアに対して、売り手側がうまい具合にメリットを宣伝して、上手く乗せられてしまっている、と考えたほうが良いかもしれませんね。

と言うのも、真に投資信託で資産を増やそうと考える人は、この「毎月分配型投信」には投資しません。50代60代と言っても、まだ20年30年は生きられる世の中です。

とすれば、50代以降の方も、投資信託の実力が最大限発揮できる、「長期投資」のスタンスで、分配金無しで運用すべきではないでしょうか。

一時的に現金が必要になれば、その分の口数だけ解約して、現金化すれば良いだけのこと。

それを「お小遣い感覚」、「あなたならではの自分年金」みたいなキャッチフレーズで惑わされ、わざわざ不利な「毎月分配型投信」を購入するのは、本当にもったいない事です。



 


定期分配型投信の問題点

複利効果が出ない

長期保有が前提の投資信託では、複利効果は基本中の基本です。運用収益も元本に組み入れれば、複利効果で雪だるま式に資産が増える、それが投資信託のはずです。

分配金というのは、どこからか降って涌いて来たのではなく、投資家自信のお金を取り崩して、お金に換えているだけなんですね。つまり自分で自分の預金を引き出しているようなものです。



個人年金としては物足りない

500万円投資して、毎月25000円弱のお金をもらったとして、この程度の金額が「年金代わり」になるのでしょうか? 正直な所、冷静に考えると、大変物足りない金額だと思います。

1000万投資すれば毎月5万円もらえますから、なんとなく年金っぽくなってきますが、こうなると、保有している資金の一体何割を運用資金に回しているかの、アセットアロケーションの問題が頭をもたげてきます。

為替リスクや、07年9月現在発生しているような、世界全体が信用収縮し始めている時期に、資産の大半を、複利効果の期待できない投資につぎ込んでいるとしたら、かなり疑問ですね。



売却損が出る恐れがある

常に資産を取り崩す事で分配している投信では、基準価額が右肩上がりになりにくく、多くの投信の基準価額は、横ばいか、良くて僅かに上昇する程度になります。

現在進行している、米国のサブプライムローン問題をきっかけとした世界同時株安や、円高基調が続くと、普段でも横ばいの投資信託の基準価額は、どんどん下落してゆく事になると思います。

そうなると、ファンドを最終的に売却した際、「売却損」がかなり出る可能性があります。毎月それなりに分配金をもらっていたけれども、ファンドの売却損と天秤にかけたら、結局はほとんど儲けは無かった、もしくは損失が出てしまった、と言うケースがあると思います。



分配ごとに、税金を取られる

毎月お金を分配されて嬉しいかもしれませんが、実は分配ごとに、10%もの税金を天引きされています。管理人としては、これは相当馬鹿らしい事だと思ってしまいます。しかも、08年4月からは、税率が20%に引き上げられます。自分の資産を取り崩して手にした挙句、そこから2割も国に持ってかれちゃうんですよ!

消費税を1%上げるだけで大変な騒ぎになるのに、毎月10%もの税金を支払うのが平気であるなんて、とても驚きです。



なぜか、信託報酬が高め

高くはないと言う意見もありますが、管理人としては高いと思っています。前述のグロソブにしても、1.31%と、それなりに高いです(しかも解約時0.5%取られるのも高い)。

5兆円ファンドなんですから、会社として、かなりの利益を上げているはずです。我々消費者(投資家)に還元してくれても良いと思うのですが。



ただし、メリットもあり

問題点の多い「定期分配型投信」ですが、唯一のメリットは、ローリターンである変わりに、ローリスクと言えなくもない点です。

世界同時株安のような、株の下落が長期間続いた場合、基準価額が上昇しやすい再投資型の投資信託は、下落幅も同じように大きくなりがちです。

それに対し、定期分配型投信では、一見、再投資型よりも基準価額が値下がりしているように見えて、実は分配金を加えると、若干再投資型よりも、下落幅が抑えられることになります。

これは、定期分配型のデメリットを裏返しにしたような事になりますが、まあ、メリットと表現しても良いかと思います。

ただし、基準価額が大きく下落している中でファンドを売却すると、結局は分配金分を加えても、大きく損失を出す事もありますので、なんとも言えませんが。


いずれにせよ、「定期分配型投信」は、(例えノーロードで購入できたとしても)、比較的高めの信託報酬を支払って、毎月10%、来年からは20%もの税金をご丁寧にも国に差し上げて、そして自分の資産を取り崩した形で分配を受け取るのですから、やはり本当にもったいない投資手法だと思います。



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