さわかみファンド・・・この10年間頑張っていると、いちおう再評価

さわかみファンドは、東証一部上場企業を中心に、東証二部やJASDAQ銘柄にも投資する日本株式アクティブファンドです。1999年8月24日に運用が開始された運用期間が長いファンドで、けっこう人気が高いです。

投資信託による資産運用を考える方であれば、一度は名前を聞く事があるかもしれない老舗の直販ファンドで、さわかみ投信は「長期投資」を声高に主張しています。

 さわかみファンド
 (WEBネットマネーより拝借。上手いなこの画像・笑)


経済の大きなうねりをとらえて先取り投資することを運用の基本とし、その時点でもっとも割安と考えられる投資対象に資産を集中配分します。そのなかでも市場価値が割安と考えられる銘柄に選別投資し、割安が解消するまで持続保有する「バイ・アンド・ホールド型」の長期投資を基本とします。

というのがさわかみファンドの運用方針ですが、本当にそんなことができるのか。2010年くらいにさわかみファンドをチェックした時は「単なる日経平均連動型の規模の大きなインデックスファンド」程度の認識しか、持ちませんでした。

日本株式ファンドとして信託報酬1.00%(税引)は今では高く、ベンチマークも参考指数も設定されていないアクティブファンドであることも問題で、それが管理人にネガティブな印象を与えています。

しかしながら、2017年正月のとある吉日、改めてさわかみファンドの運用成績をチェックしてみたところ、意外にもかなり健闘していることが分かりました。

長期に渡る実績などを勘案すると、存在価値のあるおすすめアクティブファンドに入れても良いかもしれません。いちおう、「次点」的な位置にあると再評価したいと思います。

(2017年1月15日更新)


 


さわかみファンドの基本的情報

購入単位:1万円以上1円単位
信託報酬年率1.00%(税抜)
信託財産留保額:なし(以前は50万円以上の売却は1.5%かかりましたが、2014年3月末より0%になりました)

決算:年1回(8月23日)。設定来一度も分配金を吐き出さず効率よく運用されています。
資産配分比率:業種別の比率及び組入上位10銘柄の構成比率は以下の通りです。全体では東証1部銘柄中心に、99銘柄(比率86%)に投資。(2016年9月30日時点)

さわかみファンド 組入上位10銘柄の構成比率と業種別比率


投資している部分と現金で保有している部分との比率は、85:15になります。

償還日:無期限
運用:さわかみ投信株式会社



さわかみファンドに対する管理人の感想と評価

さわかみファンドはベンチマークを設定していませんが(まずこれが問題)、投資対象から考えてベンチマークはTOPIX(配当込み)にすべきです。

で、以前にさわかみファンドをチェックした時、eMAXIS TOPIXインデックス(信託報酬0.40%)と比較した結果が以下です。さわかみファンドはeMAXIS TOPIXインデックスにリターンが劣っています。

さわかみファンドとeMAXIS TOPIXインデックスの過去3年のリターン比較グラフ


しかしながらさわかみファンドは既に設定来で17年も運用歴が有ります。設定来でTOPIX(配当込み)に対して、優っているのか劣っているのかチェックすれば、全てが事足ります。あれこれ考えなくても、即断できます。

ところがモーニングスターなどの投資信託の評価サイトを使うと、長くてもファンドの評価が10年に限定されてしまうのは、非常に困った問題です。本来投資信託というのは長期に運用するものなので、それを評価する国内第一のウェブサイトがたった10年でしか見れないというのは、一刻も早く改善していただきたい部分です。


さわかみファンドと配当込TOPIXを比較

仕方が無いので、10年で見てみましょう。結果から申し上げると、さわかみファンドのリターンは配当込指数を超過しており、これはかなり頑張っていると言ってよいです。純資産が1000億円を超えたファンドが長期でこの成績を残すのは、天晴です。

グラフは3年しか表示できません(これもモーニングスターは改善してくれ)。3年及び5年のスパンでは配当込指数に劣りますが、1年で見た場合と10年では配当込指数に勝ります。表もご覧ください。表の中の赤文字は、両者を比較して優れているほうの数字になります。

さわかみファンドとTOPIX配当込指数とのリターン比較

運用年数 さわかみファンド TOPIX配当込み TOPIX
1年 1.34% 0.31% -1.85%
3年 6.69% 7.42% 5.26%
5年 16.44% 18.26% 15.82%
10年 1.71% 0.97% -1.01%


さわかみファンドとTOPIXインデックスファンドを比較

次に、TOPIXをベンチマークとするインデックスファンドと比較してみましょう。10年以上の運用成績のあるものとして、ここではニッセイTOPIXオープン(信託報酬はちょうどさわかみの半分の0.5%)を取り上げてみます。

・・・うーん、インデックスファンドと比較し始めると、途端に現実に引き戻されるような感覚が有ります。3年と5年で、TOPIXインデックスファンドより劣るリターンで、1年と10年では優っています。

標準偏差やシャープレシオなどの数字を見ていると、この10年間はかなりインデックスファンドに近い運用をしていたのではないかと想像できます。

・・・いや、実態はそんな事無いな。現金比率が現状15%もあるようなファンドは、インデックスファンドではない。しかし、結果としてはインデックスファンドと同等の成績と言って良い状態です。

さわかみファンドとニッセイTOPIXオープンとのリターンの比較

項目 さわかみファンド ニッセイTOPIXオープン
運用年数1年 1.34% -0.20
運用年数3年 6.69% 6.95%
運用年数5年 16.44% 17.71%
運用年数10年 1.71% 0.52%
標準偏差1年 19.49 20.23
標準偏差3年 16.25 16.99
標準偏差5年 17.99 18.28
標準偏差10年 19.74 19.40
シャープレシオ1年 0.07 -0.01
シャープレシオ3年 0.41 0.41
シャープレシオ5年 0.91 0.97
シャープレシオ10年 0.08 0.02


独立系のアクティブ投信と比較

最後に、さわかみファンドと同様の独立系投信で、日本株アクティブファンドのひふみ投信コモンズ30ファンドで比べてみます。この2つはかなり運用成績の良いアクティブファンドなので、比較するのも酷なのですが、だいぶ見劣りがしますね。

さわかみファンドと独立系アクティブファンドとのリターン比較


面白いのは、リターンが半端なく良いひふみ投信の標準偏差が、さわかみファンドよりも良い数字になっている事。コモンズ30ファンドも同様で、まさにアクティブファンドという感じがします。

(ま、15年半ばからの相場の下落で基準価額が下落しないで、レンジ水準でとどまってから再び価格の上昇があったからだとも思いますが。)

項目 さわかみファンド ひふみ投信 コモンズ30ファンド
運用年数1年 1.34% 4.53% 4.16%
運用年数3年 6.69% 13.20% 9.64%
運用年数5年 16.44% 24.38% 17.40%
標準偏差1年 19.49 18.08 18.67
標準偏差3年 16.25 14.15 16.01
標準偏差5年 17.99 15.54 16.06
シャープレシオ1年 0.07 0.25 0.22
シャープレシオ3年 0.41 0.93 0.60
シャープレシオ5年 0.91 1.57 1.08



せめて直近3年で配当込みTOPIXに勝利するくらいの実力を望む

さわかみファンドが1999年8月に設定された当時は、まともなインデックスファンドも少なかったため、日本株式ファンドとして選択肢の一つにもなりました。

その後、SMTインデックスシリーズを先頭に低コストインデックスファンドシリーズが続々と登場し、信託報酬の低い日本株式ファンドも豊富に選択できるようになっています。

上記まで見てきたとおり、10年では頑張っているものの、2年前にチェックした時も今回チェックした時も、インデックスファンドよりも3年のリターンが劣ってしまっているさわかみファンドを選ばなくても、信託報酬の低いTOPIXインデックスファンドである、

<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド(信託報酬0.18%)
三井住友・DC日本株式インデックスファンドS(信託報酬0.19%)
iFree TOPIXインデックス(信託報酬0.19%)


を選べば済んでしまいます。投資銘柄もさわかみファンドの99銘柄に対して、インデックスファンドは約1700銘柄に投資しています。どちらが分散が効いているか言うまでもありません。

さわかみファンドのホームページを覗いてみると、下記のような文言が躍っています。さすがに上記で見た通りの運用成績で、「絶対リターン(=どんな相場の時も利益を上げられる)」を目指しているとは、かなり違和感が有ります。

絶対リターンを追求するさわかみファンド


日本株式はアクティブファンドに投資したいという人は、存在価値のあるアクティブファンドの1つで、設定来のリターンがTOPIXインデックスファンドを上回るひふみ投信ひふみプラスを検討したほうが良いですね。(コモンズ30ファンドでもOK)

ただし、そうはいってもひふみ投信などの過去のリターンが今後とも良い状態で続くかどうかは、全く分かりません。したがって常に言っている事ですが、アクティブファンドを保有する時も、投資金額のすべてを投じるのではなく、一定程度に抑えるのが無難です。

アクティブファンドは一般的に、運用の規模が大きくなればなるほど、市場インデックスを上回る成績を残すのが非常に難しくなります。非常に一般的な話ではありますが、おおよそ500億円を超える規模になると、途端に市場平均に勝ちにくくなると言われています。

純資産が3000億円に迫るほどの巨額なファンドにまで成長したさわかみファンドは、長期的にインデックスファンドに継続的に勝利するのが、極めて難しい状況にあるという事だけは、頭の片隅に入れておいてください。

(今は絶好調のひふみ投信も、純資産が500億に近づいてきたら、投資比率を落とすなどの行動を取るのも、一つのやり方ですよね)


 


さわかみファンドなどの存在意義は、宗教的救済にある

最後に一言、申し添えておきましょう。さわかみファンドや独立系投信を買うにしても、サテライト的に控えめに買う程度が良いと書きましたが、投資の初心者はこれらの投信をどれか1つでOKなので、買ったほうが良いとも言えます。

というのも、例えばリーマンショック級の大暴落が起きた時、過去にそういった「本当の大暴落」を経験していない人にとって、平常心でいることは相当に困難だからです。

仮にも500万円も積み立てた投資信託の値段が、一挙に半値になるのを耐えられる投資初心者は、ほとんどいませんからね。

でも、そこで市場から撤退したら、一貫の終わりなのですよ。そこに踏みとどまって市場に居続けてこそ、そのあとのリターンを得ることが可能になります。それこそが、投資。

その暴落局面で、心が完全に折れる寸前の時に、直ちに個人投資家に向けて、「落ち着きなさい、株価が暴落しても我々生活者は昨日と同じようにメシを食い、明日も同じように暮らし続けるのだ、変わらず俺について来い!」という強いメッセージ送ってくれるのがさわかみファンドなのです。

臨時のレターが届いて、その文面を読んだ時に初めて、「ああ、澤上篤人さんに付いてきて良かった、救われた!」と涙するのです。

さわかみファンドは宗教的


百戦錬磨の投資マニアなら暴落は大歓迎ですけど、そうでない市井の方々にとって、さわかみファンドから発せられるメッセージこそ、投資を続けるためのモチベーションであり、生命維持装置になるのです。

そういう意味で、さわかみファンドをはじめとした独立系投信の各ファンドは、市場インデックスに勝ち負けするという意味ではなくて、宗教的救済として活用するのが理に適っています。(そんな「理」があるのか?という疑問は抱かないように。)


 


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