澤上氏の「インデックス運用に美意識が無い」発言を、理解してきた

さわかみファンドの澤上社長が2008年5月に、東洋経済オンラインでインタビューに応えた時に、「インデックス運用には価値観や美意識はない」と発言した問題。

これを初めて見た時は、「殿!ご乱心か!?」と感じ、今までずーっと、発言の真意を考えてきました。発言の裏と言うか、澤上氏の考えをもっと深く掘り下げて聞く事の出来なかった東洋経済のインタビュアーのレベルが低いという気もしましたが、やはり刺激的な発言です。

澤上氏の真意を考えてみました。

(2008年9月。2015年7月12日更新)


 


思ったことをダラダラと書いてみる

澤上氏いわく、

大事なのは、自分たちの美意識や価値観をはっきりと打ち出して、それをおカネに託すこと。そう考えると、インデックスはしょせんインデックスなのです。何に投資しているのかこだわりなく、いかにおカネを増やすかに注力するためのファンドなのですから。こだわる人はインデックスにこだわれば良い。」

この人が、インデックス投資家を馬鹿にしているとはとても思えん! と言う事で、澤上さんの本を複数繰り返し読んでみて、DVDも拝見したりなんかして、考えました。で、ようやく澤上さんの考えをイメージできるようになったきっかけが下記の本。


10年先を読む長期投資 暴落時こそ株を買え (朝日新書)


私も含めて、インデックス投資家の考えている事は、「ファイナンシャルインディペンデンス」とか、「ファイナンシャルフリーダム」とかで、長期投資にはこだわるけれども、お金の使い道や、子や孫に残したい社会の理想像までを思い描いて金融商品を買っている訳ではありません。(たぶん)

私がインデックスファンドETFを買う時も、「インデックス運用は統計的に、アクティブ運用よりもリターンが良い」という理由が強く、決して「息子のために投資している」と言う訳ではありません。

ところが澤上氏は、「投資する理由」にとことんこだわりぬいている点が、他の長期投資家と全く異なります。異なるというよりは、異質と言っても良いかも知れません。著作では、


・「そろそろ底値かも」とか、ちらっと株価トレンドを意識した瞬間に、あなたはもう長期投資家ではない。
・目標株価を機械的に決めて投資するのは、投資のリズムも、投資の面白さも味わえない。



などと書いてあり、私たちが今までマネー雑誌などに踊らされて(慣らされて?)きた投資の価値観とは、異次元の世界に住んでいるというのが、良く分かりました。

その意味で、おらが町投信なんてどこがいいの?と考えた私とは、どうりで話が合わない筈だと思いました。

おらが町投信には、(たぶん)強い美学があるのだと思います。その美しさを支えるのに、2%弱もの信託報酬を甘んじて受けよう!というのが、おらが町ファンドを支える人々の思いであり、そこにインデックス投資家的な考え方は、全く入り込む余地は無いようです。

そういう意味からすると、東洋経済記者が「――お話をうかがっていると、これまで聞いていた投信選びとは、まったく異なった観点からの投信との付き合い方という気がします。」と言っているのは、ホント、その通りなのですね。

地方は今、相当に疲弊しています。自分の住む地域を何とかしたい!という熱い思いはあれども、子や孫に郷土を残すために投資活動の出来る、中央(東京中心の、という意味)の投資信託は存在しないし、考え方のギャップを埋めるのに無理がある、と感じたのが澤上さんだったのではないでしょうか?

実際にどっぷりと地方に実際に暮らしてみると、単なる金儲けとは別次元の価値観を持っている人がかなり、いらっしゃいます。澤上氏は、毎日会社に出社しつつも、土日は毎週のように地方に足を運び、草の根の地道な活動を、長期に渡って続けておられるので、そんな中央とは異なる価値観に、気が付いたのではないかと思います。

そこで肌身に感じた事を実現しようとしている。そしてそれは、都市部で機械的に投資を考える人たちには、なかなか理解しにくい事なのかも知れません。(あ、田舎にも私のように機械的なインデックス投資家はたくさんいるとは思いますが)

ちょっとまとまりがない文章になってしまいましたが、ようやく澤上氏の言いたい事が理解できました。(私なりに)

ただし、私にそこまでの美意識があるかどうかは別問題で、仮に有るとしても、投資信託を応援する形以外で、その美意識を発揮していければいいなと思いました。

ところで、今もなお、一つだけどうしても理解できない点があります。それは、おらが町ファンドのファンドオブファンズ(FOF)構造による信託報酬の二重コストの問題です。

澤上氏がおっしゃる下記の、部分は、何度読んでも良くわかりませんでした。。

「考えたらわかると思いますが、FOFが既存ファンドを組み入れる時は、その日の基準価額で持って購入するかどうか判断しています。その基準価額の中には、組み入れようとするファンドの信託報酬はもう織り込まれてしまっています。

既存ファンドの基準価額が高い時はFOFへの組み入れを抑え気味にし、大きく下がった時は思い切って大量に組み入れる。既存ファンドの基準価額がいくらしているのかが大事であって、いちいち信託報酬の事を考えて買う訳ではありません。」

「確かにコストは高くなるけれども、市場平均を上回る運用成績をひたすら目指します」と言えないものなのでしょうか?

結局、澤上氏お得意のキレイな言葉の羅列によって、コスト意識の低い投資家が「カモ」のような状態になってしまっているという点は、確かでしょう。

コストは高ければ高いほど、確実にリターンを削ってしまいます。耳触りのよいトークに必要以上に感動するのではなくて、資産運用で一番重要なコストの部分も、冷静に見極める意識が大切です。



 


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