バンガードETFの東証上場はあり得るか?

2009年6月17日、低コストの海外ETF、またはセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの元になるインデックスファンドを提供する、米国・バンガードの日本法人、バンガード・インベストメンツ・ジャパンさんを訪問する機会が得られました。多岐にわたったお話の、3ページ目です。

 ⇒最初のページはコチラ・バンガード・加藤さんの事
 ⇒2ページ目・バンガードのインデックスファンド直販はあるのか?


 


その④:海外ETFの東証上場について

質問:直販の話とも似ていますが、バンガードさんのETFを東証に上場していただいて、日本でもリアルタイムで売買できるのが理想でもありますよね?

加藤さま:よく誤解されるのですが、バンガードの、アメリカのETFは非常にいいものだと、これを東証で上場すれば日本の投資家にはすばらしいベネフィットが与えられるのだと思われる方もいらっしゃるかと思います。

実はそこが大きな誤解で、もし、そうなら、われわれはもうやっていますし、投資家にとって、良い結果が得られるのであれば、それはやります

なぜ、そうではないと考えるかなのですが、これは意外に簡単な話で、残念ながら、今は需要がそこまでないのです。

アメリカのものをそのまま日本で売れれば、そのままのコストなのだから、こんなにいい事はない、なぜバンガードはそれをやらないのか、と考えるのが普通で、同じ値段で売れればその通りなのですが、実はコストが掛かるのです。

ここで注意しなければいけないのは、上場することに関わるコストというのはありますけれども、それ以上に問題になるのは、(売買コストでなく)取引コストです。

分かりやすい話をすると、もう随分前に、80年代か何かに、例えばアメリカを中心にしたグローバルな企業が東京に株式をクロスリストしたわけです。いわゆる、東証外国部。これを、よくご覧になるといいと思います。

どういうことが起こっているかというと、銘柄が少なくて、取引はほとんどありません。ですから、東証に上場すれば資金調達の1つの大きな窓口になると考えてきたのですが、結局、やめてしまって、どんどん離脱して行ったのです。

なぜ離脱して行ったかと言うと、取引が無いからです。なぜ無いかというと、(取引の多くを占める)いわゆる機関投資家。まず大きな機関投資家はどういうことをするかと言うと、一番、いいプライスで取引したいのです。

だから、生保でも信託銀行でも、銀行でも、例えばGEの株を取り引きするのに、東京で取引する必要はないのです。アメリカで取引すればいい。アメリカにはすばらしい流動性があって、非常に効率のいい値段で取引ができるわけです。

日本に来たら、ほとんど売りと買いががマッチするかどうか分からないような状況の中で、ブローカーはどういうことをやるかというと、もしそれを一端、注文を受けて、明日のニューヨークにつなぐからというので、指し値でやるか、一日待たせるか。

あるいは、ここでポジションを引き受けるのであれば、要するに、充分に値動きが起こったときでも問題ないような値段をつけて売るわけです。だから、昨日のニューヨークが100円だったら、買いたい人がいたら、102円とか、3円とか、場合によっては5円とか、そうしないと、向こうで動いたときにカバーが取れないで損をしてしまいます。

そんなことをやったら、機関投資家はとても買えないし、あり得ないのです。だから、買わないのです。個人が充分にこのマーケットを作れるぐらいに売り買いが有れば良いのですが、それも極めて難しい。

質問:なるほど、これは非常に分かりやすいお話です。

加藤さま:投信が、今、個人資産の4パーセント程度かと思います。50パーセント位が預金です。では投信をやっている人達で、どれだけインデックスファンド知っているか、やっているかと言うと、10パーセント位かと思います。10パーセントの中で、ETFをどれだけやっているかというと、さらに10パーセントいるかどうか。

海外ETFを日本で個人向けに売っている証券会社は、わずかしかないですね。

証券会社さんの残高は、大体推定できますけれども、それはまだ微々たるもので、東証で取引が成立する残高ではありません。成り立たなかったらどういうことが起こるかというと、先ほどと全く同じ事が起こって、値段がもの凄く悪い値段しかつかないわけです。あるいは、ずっと取り引き無しでいくか。それは、投資家に得になるか、と言う話しになります

特に、ETFの場合は、ほとんどヘッジファンドとか機関投資家が主役です。しかもそれはアメリカの投資家だけではなくて、世界中からそこに集まるわけです。ロンドンとアメリカは半分、時間が重なっていますから、ヨーロッパの投資家もそこに集まることができる。

これは当たり前の話しなのですが、市場とはそういうものなのです。市場が山の中にできるかというと残念ながらできないのです。最も人が集まるところにしか市場というのは成立しえないのです。

日本の東京市場というのは、ヨーロッパとも重なっていないし、アメリカとも時間がまったく重なっていません。

そこで、動く、起きている人たちは日本人だけです。しかも日本の機関投資家、個人投資家のETFの扱い量というのは、非常に少ないです。トピックスのETFですら、ものすごく少ないですね。

それが海外のETFをどれだけ売り買いするか。その量たるやもう、ものすごく小さいですね。そう言うところに市場はできないのです。

質問:そうは言っても、いちいち為替取引をして、ネット証券で米国市場のETFを買うのは大変です。日本の株を売買するのと同じような操作性で為替取引、あるいは海外ETFの売買が出来るようになっていないと言うのは、これは既存の証券会社さんにとっても、ETFの市場があまりにも小さすぎて、システムを改良するほどではない、と言う事なのかも知れませんね。

加藤さま:まさにそうで、ボリュームがあればそれができるだけの話しです。

業界のお話、その他のお話など



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