アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)は買うに値せず

相場環境に応じてアクティブに資産配分を調整し、リスクを抑えてパフォーマンスを追求すると称しているアクティブファンドアセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)に関して、その中身を評価してみましょう。

リスク許容度に応じて以下のような3つのタイプが販売されており、2019年9月6日時点では合計で400億円の純資産となっています。

アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)

タイプ 純資産総額
安定型 187億円
安定成長型 124億円
成長型 94億円


2017年当初には1000億円もの資金を集めていましたが、メインの販売先のSMBC日興証券が他の投資信託に回転売買でもさせているのか、右肩下がりで純資産が少なくなっています。

そもそも、このような投資信託に投資する価値が有るとは思えません。著しく低く抑えられたリスク水準を見ると、定期預金にでもお金を入れておけば良いとしか思えません。

また、リスクが低すぎてリターンも低すぎであり、更にそれを販売手数料で食い潰して、過去3年間では販売手数料をカウントすると赤字になるという酷さです。


(2019年9月7日追加)・・・本ページの情報の更新を希望される方は、Q&Aページより管理人までお知らせください。すぐに対応したいと思います。



 


アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)の基本的な情報

このファンドの基本情報

項目 内容
購入手数料 1.0%(ノーロードではありません)
販売先 SBI証券楽天証券フィデリティ証券SMBC日興証券カブドットコム証券
信託報酬(税抜き) 安定型 安定成長型 成長型
0.93637%~1.00414% 0.94595%~1.02815% 0.95479%~1.04569%
信託財産留保額 なし
運用期間 2015年4月17日から2028年4月26日まで
ファンド運用方式 ファンドオブファンズ形式
決算 4月26日
運用会社 三井住友DSアセットマネジメント株式会社
為替ヘッジ 一部の債券に為替ヘッジあり


このファンドのポートフォリオ

2019年7月31日現在、以下の通りとなっています。債券を中心にして、株式やリートにも分散投資しています。月報にてご確認ください。
http://apl.morningstar.co.jp/webasp/pdf/monthly/2015041701_M_201907.pdf



アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)、管理人の感想と評価

著しく高コストな投資信託

まず真っ先にダメ出ししたのは、この投資信託には運用成績の良し悪しを判断する基準が無いという事です。「テストが良く出来た」という子供がいた時に、それがクラスの平均点以上なのか、あるいは偏差値的にどうなのかが分からなければ、良く出来たかのかダメだったのか、全く分かりません。

それと同じで、この投資信託には運用成績を判断するための重要な指標、ベンチマークや参考指数が設定されていません。これでどうやって良し悪しを判断すれば良いのでしょうか?

「らっぷちゃん」なる名称が付いているので、「ラップ口座的」で「富裕層向け的」な雰囲気を醸し出したいのでしょうが、お金の事を知りつくしている本当の富裕層は(成金を除く)、きちんと判断できないものにお金をつぎ込む事などしません。・・・具体的に言いましょう。

アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)の投資先のインデックスファンド


アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)の販売資料を見ると、どうやらこの投資信託は、上記のような資産クラスに投資するもので、上記のインデックスに連動する成果を目指しているとの事です。

一方で、それら資産クラスの配分比率は市況を反映させて機動的に変化させる方針との事で、以下のように、リスク水準を一定程度の抑えるのが目的との事です。下記は、2019年2月時点でも目標リスク水準の様です。

アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)の目標リスク水準


この「目標リスク水準」とは、「標準偏差」の数値の事です。実際にファンドの運用ではどういった数値になっているのかを確認してみました。

アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)の標準偏差


見てみると、中立的と称するリスク水準からすると、どれもそれ以下の数値となっています。というか、標準偏差の数値は1年で見るのか3年以上の長期で見るべきなのか、イマイチそれが分かりません。

なお、月報によると、6月及び8月ともに、それぞれ3つのタイプの目標リスク水準は、「積極的」との事です。・・・という事は、それに対して実績値がどうだったのかが分からないので、この運用目標は極めて曖昧模糊としたものになりますね。

投資信託マニアの当サイト管理人でも相当にモヤモヤするのですから、一般人には全くピンと来ないというか、理解不能でしょうね。


 


リスク水準に照らし合わせても、買うべきファンドは他にいくらでもある

下記をご覧ください。まず、らっぷちゃんの安定型の標準偏差が2.86なので、それに非常に近い、安定的で資産配分比率も極端に変わらない三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)(マイパッケージ)を比較してみました。

マイパッケージはらっぷちゃんと異なり、純粋にインデックスファンドです。ファンドマネージャーが恣意的に資産配分比率を頻繁に変更したりしません。

それなのに、らっぷちゃんと同程度のリスク水準で、らっぷちゃんを上回るリターンを得ているのです。(おまけにコストは比較できないくらいに安い)

アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)の安定型、安定成長型、成長型と低コストインデックスファンドとのリターン比較


赤枠の標準偏差の数値的には、三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)(マイパッケージ)はアセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)の安定型と安定成長型のちょうど中間に位置しています。

それに対してのリターン(青枠)は、らっぷちゃんの成長型と同程度であり、三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)(マイパッケージ)のほうが、相対的にローリスクハイリターンという実績となっています。

三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)(マイパッケージ)は購入時の手数料が無料のノーロード投資信託ですから、らっぷちゃんの手数料1%分だけ、実質的には更にリターンが良くなります。どれが良いのかは、一目瞭然ですね。

こういう事実は、もちろん金融関係者は一切教えてくれません。彼らは、お金に詳しい富裕層からお金を取るのではなくて、ほとんど金融知識の無いあなたのような庶民を煙に巻いて、多大なコストを取り上げるのです。

「ラップ型投資信託」というようなまやかしの単語に惑わされてはいけませんし、そもそも金融関係者が強くお勧めするような投資信託など、決して買ってはならないのです。

・・・それにしても、下記の販売資料の説明など、酷すぎますね。こんなもの、起点をどこにするかで全く異なる結果になるようなシロモノです。リーマンショックの直前に起点を持ってきたら、世界株式のほうが「リスクが高くてリターンが低い」に決まってます。

アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)のバックデータ


仮にこれを、アセットアロケーション・ファンドの運用開始以降の数字だけで示して見ると、こうなります。MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)を運用目標とするインデックスファンド、三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドと比べています。

アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)と全世界株式とのリターン比較


株式ファンドだからリスクは年率で14%あるのですが、その分リターンは高くて、アセットアロケーション・ファンドの成長タイプの3倍以上の成績となっています。

そもそもベンチマークが異なるもの同士(アセットアロケーション・ファンドはベンチマーク無し)で、なおかつ標準偏差の目標が異なるもの同士を比較すること自体、全く無意味です。

こんなことを平気でやるアセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)など、いい加減そのものなのです。運用目標がリスク水準にあるならば、せめて標準偏差の数値が同程度のもので比べてみて頂きたいですね。



アセットアロケーションを変動させるファンドの大半は、上手く行かない

ついでに記しておきます。アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)は、以下のように、相場に合わせて資産配分比率を機動的に見直す投資信託です。

アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)の資産配分比率


・・・と書くと「いかにも凄い」と思うでしょうが、こんな事が上手くいく投資信託などほとんどありませんから、この手の投資信託の説明をされたら、無視しても良いでしょう。

私がすぐに思い浮かぶ限りでは、この手のアクティブファンドで上手にやっているのは、セゾン資産形成の達人ファンドくらいです。

ただしこの投資信託は、らっぷちゃんに手を出そうとしているような「リスク水準を抑える」のとは対極の、「全力でリスクを取りに行く」ものですから、すぐに飛びつかないように。



超低空飛行の運用成績

そして、機動的な資産配分比率の見直しをやった以下の結果が、アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)の3年間の運用成績です。

多くの人は「リスクを低くして大きく儲ける」事を期待しているでしょうが、そんな美味しい話しがこの世の中にある筈がありません。金融の世界では、リスクとリターンは表裏一体です。リスクが著しく低い=リターンも著しく低い、という事になります。

下記、上の図が安定型の基準価額の推移です。10000円でスタートして、3年経過して10169円です。3年間で、わずか1.69%しか増えていません。年率換算でたったの0.56%!! これだったら、高金利の定期預金と同一のレベルであり、話しになりません。

下記の下段は、積極型です。3年後の基準価額は4.01%で、年率換算で1.33%です。忘れちゃいけないのが、ここから販売手数料を1%も抜き取られるという事ですから、実質的には0.33%しかありません。

・・・って、安定型だったら、販売手数料を差し引いたらマイナスリターンじゃないですか。こんな投資信託、買う意味が有りませんね。

アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)の基準価額の推移


以下は、成長型の資産配分比率です。このように、かなり細かく見直しを図っている訳ですが、こんな事をやっても投資家のリターンが増える訳ではないという事です。

アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)成長型の資産配分比率


上記のようにごちゃごちゃと資産配分比率を見直して、結局はリスクを回避するのが目的になりますから、投資しようという人は、その点を強く認識して下さい。

このファンドに投資価値があるとしたら、唯一、「今後はしばらく株価が下落するはずだ」と強く認識した時だけかもしれません。

そういう時は、リスクが低い=価格の下落も低いとなりますから、上げ相場の時に増やした資金を溶かす事なく、下げ相場をやり過ごす事が出来ます。

もっとも、そんな事は言うが易し行うが難しであり、百戦錬磨の投資家くらいしか不可能です。そしてそんな投資家がこのような高コストで理解しにくいファンドを買うとも思えません。結局は、無用の長物だと言えますね。


 


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