米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コース

米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コースは、配当利回りの高い米国の株式に投資する事で、インカムゲインの獲得をめざすアクティブファンドです。2013年7月31日に設定されています。

主として米国の高配当株ETF(後述)に投資するファンドオブファンズの投資信託で、トータルで1.87%も費用のかかる、かなりの高コストファンドです。

加えて、運用にオプション取引を取り入れており、無駄にリスクが高いです。余計な取引を組み入れる事で運用が上手くいっているのか判断が難しくなり、とても個人投資家が買うような代物ではありません。

米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コース


本ファンドは、投資の事をよく分かっていない人間が、資金を減らしたい時にお世話になる、金融機関を喜ばせるためだけに存在するファンドと言えます。

なおここでは米国好配当株プレミアム戦略ファンドの「株式&通貨コース」を取り上げていますが、「株式コース」でもほとんど似たようなものですので、株式コースを選んだ人も、このページを参考にして下さい。

(2016年8月6日)


 


米国好配当株プレミアム戦略ファンド・株式&通貨コースの基本的情報

・購入単位:販売会社により異なりますがSBI証券では最低500円より積立購入可能。
・信託報酬:年率1.87%(税抜)(=運用管理費用1.23%+投資対象ファンド0.64%)
信託財産留保額:なし
・決算:年12回(毎月26日)
・資産配分比率: ファンドオブファンズで以下の銘柄に投資(2016年6月30日時点)

米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コースの構造

米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コースの運用資産構成比率


・償還日:2018年7月26日
・運用:新生インベストメント・マネジメント
・為替ヘッジ:なし


あまりにも問題点が多すぎて、うんざりするレベル、決して買ってはいけない

ベンチマークが存在しない欠陥ファンド、しかし一定の運用目標はある

まず、ベンチマークも参考指数も存在しない事から、本ファンドの良し悪しを判断できず、問題です。米国株に投資するのであれば、S&P500指数あたりをベンチマークとし、そのベンチマークを上回るリターンを目標にすべきでしょう。

とはいえ、目論見書などを見ると、メインに投資している米国好配当株プレミアムファンドの投資先、iシェアーズ 好配当株式 ETFとの比較データは掲載されています。という事は、iシェアーズ 好配当株式 ETFがベンチマークのようなものと考えて良さそうです。

という事で、月報に記載されているiシェアーズ 好配当株式 ETFとのリターンの比較を転載します。結果を見ると、設定来、恐るべきボロ負け状態にあるのが分かります。(両者とも、分配金を再投資したと仮定したグラフです。)

iシェアーズ好配当株式ETFに劣後する、米国好配当株プレミアム戦略ファンドの運用成績


そもそも、本ファンドはファンドオブファンズで複数の投資信託に投資できるとはいえ、実質的にはiシェアーズ 好配当株式 ETFのみに投資していると言ってよい状態です。

だったら本ファンドなど買う必要は無く、最初からiシェアーズ 好配当株式 ETFを買っていれば、信託報酬もたったの0.39%で、年4回の分配金も受け取ることができます。そう考えると、本ファンドは全くの無意味だと言えるでしょう。


オプション取引を取り入れて複雑怪奇すぎる、あなたは理解できるのか?

次に、本ファンドの複雑怪奇さについてです。本ファンドは下記の5つの収益源を想定しています。これを、「収益の源泉が沢山あるのはよい事だ」と考えるか、「あまりにも分からなさ過ぎてよろしくないぞ」と考えるかによって、あなたの投資がイケてるかそうでないかが分かります。

米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コースの収益源


通常の高配当株への投資だったら、配当の受け取りと株価の上昇、為替差益の3つを想定しておけば良いです。これだけなら、ファンドの基準価額がどうして上がったのか(または下がったのか)、すぐに理解することができます。

ところが本ファンドは、さらに3つの余計な「トレード」をする事で、いったい何が何だか分からなくなるような複雑怪奇な様相を見せています。その3つは、以下の通りです。


米国株ETFのコールオプションの売りによるオプションプレミアムの受け取り(と同時に、株価が一定以上上昇すると損失に直結)
取引対象通貨の為替取引によるプレミアム金利の受け取り(あるいは金利の支払い)
取引対象通貨のコールオプションの売りによるオプションプレミアムの受け取り(と同時に、為替が一定以上上昇すると損失に直結)


こんな事をやる目的は、あなたのような人の「分配金を大量に受け取りたい」という強欲なニーズを形にするために、金融機関が無茶苦茶な事をやって無理やり分配金をねん出しているからです。(分配金については、次の項で書きます。)

で、上記のような複雑怪奇なトレードをごちゃ混ぜにしたことで、とんでもない現象が起こります。普通の投資家は、株価が上昇すると喜びます。当たり前ですよね。

しかし、本ファンドの場合、株価が上昇するとオプション取引部分で損失が拡大してしまいます。通貨も同じです。円安になると円建ての資産価値が増大するはずなのに、円安に振れると通貨のオプション取引部分で、損失が出るのです。

つまり、株価の上昇や円安が嬉しいのか嬉しくないのか全く分からないという、極めて変な状況に陥るのです。一体こんなものを、投資と呼んでよいのでしょうか?

話しが難しくなるので手短に書きますと、オプション取引のコールオプションの売りと言うのは、「利益限定の損失無限大トレード」です。これを株と通貨の両方で組み込むことで、投資家は知らないところで多大なリスクに晒される事になるのです。


 


強引なトレードによって見かけの分配金が沢山受け取れる、だが・・・

さて上記のように、複数の収益源を確保する事で、確かに分配金は沢山受け取れます。どの程度の分配金利回りを想定しているか、月報を見れば分かります。こんな感じです。

●配当利回り
米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コースの投資先ETFの配当利回り

●為替取引によるプレミアム金利
米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コースのプレミアム金利

●オプションプレミアム収益
米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コースのオプションプレミアム


上記の数字を合計すると、28%にもなります。つまり、年率28%もの利回りで設計しているという事です。この数字、本当に設計通りねん出できているのか、チェックしてみます。

米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コースの分配原資の内訳


毎月の収益(赤枠)で、毎月の分配金(青線)を完全にカバーできているのが分かります。という事は設計通りに分配できているという事ですね。ただし、直近1年の分配金利回りを見ると、なんと43%にまで達しています。設計の28%の1.5倍にもなります。

米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コース分配金利回りの推移


これは、ファンドが「順調」に右肩下がりで基準価額が下落しているからです。設計以上に利回りが良く見えてしまっています。

米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コースの基準価額の推移


そもそも28%の設計そのものも、明らかに「変だ」と直感しなくてはなりません。世の中にそんな利回りの商品が、有るはずがないからです。基準価額が下落し続けるのは、分配を出す以上に、ファンド内部で損失が積みあがっているからだと推測します。

念のため、運用報告書の全体板で中身をチェックしてみます。すると、売買益に対して売買損失が異様なほど多額に計上されている事が分かります。

米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コースの損益の状況


いくら多額の分配原資となる無理やりの配当収益(青枠)を作り出したとしても、おそらくオプション取引などで多大なる損失を出していたら(赤枠)、基準価額が右肩下がりで下がるのも当然と言えます。

普通のファンドのようにシンプルな運用をしているファンドでは、こんな損失が出るはずがありません。(例えばセゾン・バンガード・グローバル・バランスファンドなどではこのような数字にはなりません)

それにしても、この基準価額が本当にオプション取引による下落なのか、運用報告書には何も説明がありません。複雑怪奇なファンドは基準価額の上げ下げの要因がサッパリ分からないという点で、絶対買ってはいけないと言ってよいでしょう。


というか、コストだけで投資不適格なファンドだと判定しても良い

当サイトでは、ファンドにかかるコストについて、繰り返し「低コストのものにすべし」と説いています。理由は、将来のリターンなどは予測できないのに対し、そのリターンを将来に渡って永久に削り取るのが、コストだからです。

その視点で考えると、米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コースのコストは年率1.87%も発生します。もしも運用期間の5年間、フルにこのファンドに投資していたら、9.35%ものコストが元本から削り取られるわけで、かなり痛いです。

世の中には、このクラスのコストを何とも思っていない人が多いです。しかし1.87%は10年経過で18.7%、20年経過で37.4%になる訳です。長期に投資して元本の4割近くが削り取られるような投資信託は、はっきり言って投資とは言い難いので、絶対に止めましょう

したがって、本ファンドはコストを考えただけでゴミ箱に捨ててしまって問題ありません。


どうしても米国株投資で、毎月配当収益が欲しい人向けの対応

ここまで読めば、本ファンドなどもはやどうでもよくなる訳ですが、それでも「米国株に投資する事で分配金を受け取りたい」というニーズはあると思います。そのニーズは、別に悪くも何ともありません。

その場合、本ページの中ほどで記載した、iシェアーズ 好配当株式 ETFを購入すると良いでしょう。コスト(信託報酬)もなんと、たったの0.39%です。いかに米国好配当株プレミアム戦略ファンドがボッタクリなのかが分かりますね。

なお、この場合は配当利回りは3%程度になります。本ファンドの設計の28%と比べると低すぎると思うかもしれませんが、3%が「常識的」な数字で、28%は「非常識極まる」数字ですから、くれぐれも勘違いしないようにしましょう。

ただしiシェアーズ 好配当株式 ETFは海外ETFですから、マネックス証券SBI証券などを通じて、米国市場の株を買い付ける要領が必要です。

もしもそれが面倒なら、S&P500指数をベンチマークとするi-mizuho 米国株式インデックス(税抜き信託報酬0.57%)か、ダウ工業株30種平均をベンチマークとするSMTダウ・ジョーンズ インデックス・オープン(同0.5%)を使うと良いでしょう。

以下、本ファンドと、それらの低コストのインデックスファンドとのリターンの比較です。本ファンドのへぼさがよく分かりますね・笑。

米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コースと、低コストのインデックスファンド2本との比較


これらの2つの低コストのインデックスファンドを、SBI証券の投資信託・定期売却サービスを使って、配当の範囲内で取り崩します。これを利用すれば、超低コストの毎月分配型投資信託が自作できてしまいます

もはや、米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コースのような、ボッタクリの投資信託に関わる必要など、皆無なのです。


米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コースの購入先

米国好配当株プレミアム戦略ファンド(毎月分配型)株式&通貨コースをノーロードで購入できる銀行・証券会社は、以下の通りです。

SBI証券楽天証券立花証券ストックハウス

あわせて、 管理人神推しの証券口座のページ を、証券会社選びにお役立て下さい。
管理人的には、 SBI証券 の利用がコストを徹底的に抑えられるのでベストだと思います。



 


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