バンガード社のバートン・マルキールセミナーを取材!(1ページ目)

このページの講演動画と、内容的にほとんど似ている対談動画を、こちらのページにてご覧いただけます。あわせてご活用ください。


2009年5月、低コストの海外ETFを提供するバンガード・インベストメンツ・ジャパン主催、セゾン投信マネックス証券が共催するバートン・マルキール教授を招いてのセミナーに参加する機会が有ったので、その様子を取材、当サイトにて公開したいと思います。(当ページに掲載されているスライドは主催者の使用許可を得ています)

ちなみに、バートン・マルキール教授、インデックス投資を実践する人にとっては、精神的支柱のような方で、その著書は世界的なベストセラーとなっており、今では第9版が出版され、金融危機を経た今も、全く色褪せない投資の教科書として、必読書と言えます。

セミナーは2部構成でまとめられており、次の通りです。

・第一部:バートン・マルキール教授の基調講演(当ページ)
・第二部:パネルディスカッション「今日から始めるパッシブ投資」

会場の様子はこんな感じです。

750席が全席満員、当選の倍率は3倍だったそうです。メディア関係も、当日は20名ほどが参加されていました。

(ただ、20社とは多いのか少ないのか? ちょっとハッキリしません。金融機関と、それに一蓮托生の感もあるメディアにとっては、「金にならなさそうな話」をするマルキールさんのお話は、都合が悪いのかも知れません・笑)

さて、第一部「バートン・マルキール教授の基調講演」から始めましょう。

全てのスライドを見ながらチェックする場合はコチラをクリックしてください)


 


バンガード社についての紹介

行われました。要約すると、次の通りです。

・1976年:世界初のインデックスファンドの運用と販売を開始
・現在、1兆2000億円もの資産を運用中
・全世界に1700万人のユーザーを抱える
・従業員は12000人

●管理人コメント

バートン・マルキール教授が登場前に、簡単にバンガード社の「社是(もしくは哲学)」は次のようなものです。それは、「長期投資」、「分散」、「コストのコントロール」。

管理人が一番感心したのが、それよりも一番重要なのが、「戦略的規律」なのだ、と言う事。

長期、分散、低コストをバランスをとりながら、戦略的に、良識的で慎重な哲学に基づいて運用を行う、決してブランド価値を棄損するような行動を取らない規律が重要だというのは、個人の長期投資家にとっても、実に学ぶべきポイントでありましょう。



マルキールさん講演・サブプライムローン問題について

マルキールさんは大変多くのお話をされており、個人投資家は一言も聞き逃してはならないとの思いから、マルキールさんのおっしゃっていた事を、箇条書きでドンドン記述していきます。

・従来、資産運用と言えば投資して何年も保有するモデルであったが、それが「組成してバラ撒くモデル」に変質してしまった。
・銀行は投資して2,3日もすると保有せずに証券化して、世界中の買い手であるヘッジファンドや投資銀行(証券会社)に売却(時には銀行が自分自身でもそれを保有)する事で、利益を上げた。

・売却する際にはレバレッジをかけた。当初はほどほどのレバレッジであったが、投資銀行がレバレッジを引き上げて儲けているのを見て、銀行も過剰なレバレッジをかけ始めた。
・参考までに、ベア・スターンズ証券が破たんした時のレバレッジは33倍にも達した。資産よりも負債が33倍あるというのが、どういう事なのか想像してみてほしい。

・このような投資銀行のあり様は「シャドウバンキングシステム(影の銀行システム)」と言われた。
・資産自体に「価値」が無くとも、証券化すればトリプルAの「価格」が付いた。
・当時、ウォールストリートではこう言う会話が交わされた。「いつまで音楽を流しているつもりなのか?」「皆が続ける限りはダンスをするのさ」と。

・しかし、不動産担保証券の価値が崩壊し、レバレッジの解消売りが発生すると、優良な証券さえも、トリプルAのものまでデフォルトを起こし、国債以外の売却さえ不可能になり、金融市場が凍結した。

図の拡大はコチラをクリックしてください

・金融市場の凍結は世界に伝播し、アイスランドは国家そのものが破たんした。

個人は豊かさを感じると、必要以上にお金を使ってしまうものだ
・例えばアメリカの大学生は、その多くが奨学金を借りて大学に通っているのだが、今現在は、学生ローンを組むのが不可能な状態に陥っている。
・トヨタ自動車の販売なども、米国ではほとんど停止状態と言って良い。金融機関の負債が資本よりも多いので、貸そうにも貸せない状態で、個人の多くは、貸付の市場から完全に締め出されている。

・米国では、金融のみならず、家計部門でも過剰な借り入れをする事で、経済成長を遂げてきた。2000年以降は、可処分所得に占める負債の割合が100%を超える状況が続いていた。(収入より支出が多いという事です)
・特に住宅ローンを担保にしてさらに借金をするという、東洋人には理解できないような借り入れをしていて、「住宅はATMである」という考え方さえある。容易に資金を調達できるので、余計に借りまくる悪循環だ。

・個人のローンが凍結状態になり、さらに家計の過剰借り入れの解消、追い打ちをかけるような膨大な逆資産効果、「株式市場の暴落(40%も下落)」と、「住宅市場の崩壊」によって、米国経済は今まで経験した事のない「消費者主導のリセッション」を迎えている
・これは、日本や中国の輸出減少の原因となっている。

●管理人コメント

日本のバブル崩壊の後も、金融機関による貸し渋りとか貸し?しなどの言葉を聞くようになりましたが、アメリカでは今まさにそのような状態になっているのが理解できました。

学生ローンや自動車ローンが組めなかったりすると、これが日本なら大問題になるでしょうが、バートン・マルキール教授の話を聞いていると、案外アメリカ人は冷静なのかな?と言う気がしてくるのが不思議でした。

猛烈な勢いで、金融機関が負の解消を行おうとしているのかも知れません。このあたりは、日本と違って、かなりドラスチックだなと感じました。

次:マルキールさん講演・今後の経済見通しについて

 

★この記事が参考になりましたら、ブックマークもしくはシェアをお願いいたします

ページトップへ戻る