グローバル・ロボティクス株式ファンドで投資のカモが多数製造されている

グローバル・ロボティクス株式ファンドという名称、どこかで聞いたことあるなと思ったら、以前にロボット・テクノロジー関連株ファンド(愛称:ロボテック)の評価をした事がありました。ああ、またぞろ似たようなのが出てきたなと言うのが第一印象です。

グローバル・ロボティクス株式ファンド


このところ、ニュースや雑誌では人工知能やロボットの話題がもちきりで、急成長する分野として報道されています。そんな情報を日ごろから浴びている庶民からすると、ものすごい儲かる分野なんだと錯覚する事でしょう。

もちろん有望な分野である事は間違いないのですが、「儲かりそうだ」を前面に出した金融商品となれば、話は別です。金融機関の思惑を全力で盛り込んだ投資信託になる訳ですから。本ページで紹介するグローバル・ロボティクス株式ファンドも、まさに大衆を狙い打ちです。

ファンドのタイプ 純資産総額
グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型) 4103億円
グローバル・ロボティクス株式ファンド (年2回決算型) 4282億円
グローバル・ロボティクス株式ファンド(為替ヘッジあり・年1年決算型) 293億円
グローバル・ロボティクス株式ファンド (為替ヘッジあり・年2回決算型) 246億円


なお、グローバル・ロボティクス株式ファンドは現在複数のタイプが売られており、純資産総額も上記を合計すると8900億円にも達します。本ページでは、これらタイプの全てを網羅する内容で評価をしております。


(2019年1月29日追加)・・・本ページの情報の更新を希望される方は、Q&Aページより管理人までお知らせください。すぐに対応したいと思います。



 


グローバル・ロボティクス株式ファンドの基本情報

このファンドの基本的な情報

為替ヘッジの有り無しと為替ヘッジの有り無しで、合計の4タイプが有ります。為替ヘッジありタイプは、無しタイプの販売が絶好調なのを見て、急きょ追加されたものだと思います。

項目 為替ヘッジなし 為替ヘッジあり
1年決算型 年2回決算型 1年決算型 年2回決算型
購入手数料 3.5%(税抜き)
信託報酬 1.76%(税抜き)
信託財産留保額 なし
運用期間 2025年7月22日まで
(2015年8月31日設 定 )
2025年7月22日まで
(2017年1月23日設 定 )
決算 7月20日 1月と7月20日 7月20日 1月と7月20日
運用会社 日興アセットマネジメント株式会社
販売 SBI証券楽天証券フィデリティ証券では手数料3.0%、もしも買うならばキャンペーンで手数料がゼロとなるフィデリティ証券で決まり。その他の地方銀行などでは、3.5%の手数料で売られます。


このファンドのポートフォリオ

2018年12月末時点のポートフォリオは以下の通りです。米国を中心に、先進各国に投資しています。

グローバル・ロボティクス株式ファンドのポートフォリオ


銘柄は全体で51銘柄と、特定の分野に集中投資する形になります。1位の銘柄が米国ではなくて日本のキーエンスというのが意外なところです。アクティブファンドらしい銘柄選定と言えますね。

グローバル・ロボティクス株式ファンドの組み入れ上位10銘柄



グローバル・ロボティクス株式ファンドに対する管理人の感想と評価

まず、冷静になって頭を冷やしましょう

グローバル・ロボティクス株式ファンドは、日本を含む世界各国のロボティクス関連企業の株式に投資します。投資先は、産業・サービス用ロボットを製作する企業だけでなく、ロボット関連技術であるAI(人口知能)や、センサーなどの開発に携わる企業も対象です。

それは良いとして、世界的にブームになりつつある人口知能や、IoTなどのキーワードを積極的にちりばめて、あたかも大儲けできるような感覚になる販売資料を見ていると、どうもキナ臭さを感じずにはいられません。

投資というのは、ひたすら冷徹で合理的な世界です。そこに、庶民に対して夢を売るような商品設計があったとしたら、まずはそこで一呼吸置いて、さらにその商品と距離を置いて、冷静にその商品が存在する「動機」を確認したほうが良いでしょう。

そうやって細心の注意を払いつつ当ファンドを見てみると、投資分野としては産業用ロボット、自動車の運転補助、医療補助や遠隔操作をするロボットなど、確かに将来的に需要が増えそうな感じには思えてきます。

グローバル・ロボティクス株式ファンドの販売資料


ところが、そんな「雰囲気」に騙されてはなりません。本ファンドは米国のITバブルに乗っかる形で設定された、典型的なテーマ型投資信託です。

テーマ型ファンドは旬の一時期を過ぎるとほとんど必ずと言って良いほど大損する羽目になりますから、余計に要注意な投資信託と言えます。

ちなみに、ボッタクリ商品を売りつける事で有名なファイナンシャルスタンダード社も、「テーマ型投信は損するから止めておけ」と言っています。


 


参考指数に大きく負けている、能力の低い投資信託

投資信託の1つの評価基準として絶対に見ておかなくてはならないのが、運用目標とも言いかえる事ができるベンチマークや参考指数に対して、ファンドのリターンが上回っているのか下回っているのかをチェックするという点です。

運用報告書を読むと、ROBO Global Robotics and Automation UCITS指数が参考指数に設定されており、これはROBO Global Par tners Ltdの開発した世界のロボティクス関連等の株式を対象にした指数との事です。

グローバル・ロボティクス株式ファンドはアクティブファンドですから、この参考指数を上回っていないといけません。それが出来ていないと、能力の低い投資信託であるとみなします。

グローバル・ロボティクス株式ファンドの基準価額と参考指数とのリターン比較


結果は何と、ファンドが設定来1.32倍(青枠)の伸びなのに対して、参考指数は1.42倍(赤枠)も伸びています。たった2年間で、参考指数に対して8%近く負けています。このようなアクティブファンドに、投資する価値はありません。


特定のテーマに集中投資をする事についても、確認しておこう

先ほども書いた通り、グローバル・ロボティクス株式ファンドは世界の株式の中から、ロボティクス関連銘柄に集中投資する形のテーマ型ファンドになります。

投資信託という道具を活用すれば、誰でも簡単に全世界に国際分散投資ができるこのご時世に、敢えてITバブル関連銘柄に集中投資をする訳ですから、その「集中」が報われているのかどうかも、都度見て行く必要があります。

グローバル・ロボティクス株式ファンドが投資する先の国は先進国株式ですから、MSCIワールド・インデックスに対して、明確にそれを上回るリターンを上げていないと、高いコストを支払って投資する意味が無いという事になりますね。結果は以下の通りです。

●過去3年のリターン比較
グローバル・ロボティクス株式ファンドとMSCIワールド指数とのリターン比較(3年)


上記の通り、3年で見ると国際分散投資をするよりもこのテーマに集中投資したほうが1.4倍以上もリターンが良かった事になり、集中は大成功だったと言えます。

ただし、2018年の部分だけを見ると景色がまるで異なります。この部分を抜き出した図が、下記になります。一転して、国際分散投資をするよりもダブルスコアで大きな敗北を喫している事が分かります。

●直近1年のリターン比較
グローバル・ロボティクス株式ファンドとMSCIワールド指数とのリターン比較(1年)


2017年の高値から、1年以上も急角度で下落をしているという事ですから、要はITバブルはもしかしたら2017年末までにピークを打った可能性が有ると考える事もできます。

テーマ型投資信託は、そのテーマが大賑わいになった時点で設定されることが多く、その時点でのそのテーマの株かは天井圏に位置する事がほとんどです。

過去3年のグラフのうち、2017年中に首尾よく売り抜ける事ができた人だけが、利益を手にする事ができた事になりますね。

しかし、このような高コストのボッタクリレベルの商品を買うような、あるいは、当時からIT分野はバブルかも知れないと言われていたのに、それを疑う事なく乗っかってしまうような一般人は、逃げ足など遅いに決まっています。

つまり、このファンドで大きく利益を上げる事ができたのは売りつけた金融機関であって、これを買ってしまったのは多数のカモであると言えます。残念な事です。

グローバル・ロボティクス株式ファンドのヘッジありタイプについては、更に1年遅れて2017年1月後半に設定されましたから、株価の天井までの期間は1年にも満たなかった訳で、これで利益を上げられた人はかなり少ないのではないかと予想します。

テーマ型投資信託で利益を上げられるかどうかは、投資判断のスピードが何よりも大事です。人よりも早くそのテーマに入り、大衆がやってきたらさっさと売り抜けてだんまりを決め込む・・・そのくらいの人でないと、本来手を出してはいけないのです。


1年決算型と年2回決算型の違い

ところで、グローバル・ロボティクス株式ファンドは1年決算型と年2回決算型の両方が同じくらいの人気度となっています。これらの違いは、分配金が出るかどうかの違いです。

下記の2つの表のうち、下の赤線の引いてある表が、年2回決算型です。決算期ごとに多大な分配金を出しています。これに魅力を感じる人が、かなりいるという事ですね。それ以外のポートフォリオや投資方針については、1年決算型と年2回決算型は同一です。

グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)の分配金について


なお、分配金が支払われると、基準価額がその金額分、ガクンと下がります。このファンドはタコ足分配にはなっていないようなので、その点は良しとしますが、分配金を定期的に得ながら長期的な基準価額の上昇を狙うと考えているのであれば、止めといたほうが良いでしょう。

年2回決算型の分配金と基準価額


先ほど説明したように、テーマ型投資信託は逃げ足の速い人だけが儲かります。今回のように、ITバブルが崩壊したかもしれない分野に長期間居座るとは、正気の沙汰ではありません。

もちろんここから株価が盛り返していく可能性もない訳ではないでしょうが、そんな神頼みしか出来ない投資家が、このようなファンドに長期投資する理由などありません。

そもそもファンドの運用期間も2025年で終わりですから、余計に長期投資には不向きです。分配金が欲しいならば、一生涯任せる事ができる投資信託を選ぶべきでしょう。


最後に、あまりにも高すぎるコストについて

最後になりましたが、本ファンドのコストの高さについても言及しておきます。購入時に3.5%取られて、毎年1.8%近い信託報酬が取られるとは、キチガイのような高コストです

証券会社によっては初年度に5.3%も抜き取られるわけです。100万円を投資する人は、いきなり財布から5万3000円抜き取られての、大ハンデを追ってのスタートになります。

ピンとこない人は、1000万円投資すると53万円も抜き取られるとイメージすると、どれほどの高コストか分かるというものです。(1億投資すると一瞬で530万円も消失します)

グローバル・ロボティクス株式ファンドのコスト


それでも、集中投資で一瞬だけ儲けて相場から撤収するというのであれば、まあ良いでしょう。しかし、前項で書いたように、分配金を受け取りながら長期で資産の成長を願うタイプの投資を志向する場合は、長く運用すればするほど、手にするリターンはコストでズタボロに蝕まれていきます。(プラス、ITバブル崩壊の急落の痛手も被ります。)

長期投資を志向する場合は、例えばeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のように、購入手数料はゼロ円で信託報酬がわずか0.142%と、ほとんどタダみたいな投資信託を選ぶのがベターです。

初年度に1億円投資しても、財布から抜かれる金額は14万円に過ぎません。先ほどの「530万円」との違いが理解できるはずです。これだけで、1年間暮らしていけてしまうくらいの大金の差となる訳ですね。

コストを重視して、ベンチマークとの対比をしつつ、国際分散投資を実行する。これが投資信託を使った投資の基本です。この「基礎」を付けた上で、更にこれを超過するリターンを上げたい人は、それぞれの観点からアクティブファンドを検討すると良いでしょう。


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