自社株もアセットアロケーションに含めるのか?

勤務先の自社株の購入履歴のある方が、長期分散投資をする際に、それをアセットアロケーションに含めるのかどうか、ご質問がありました。

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自社株を含めた資産運用に関してのご質問

2014年10月:endo様(女性・40代)よりのご質問

管理者さまはじめまして。 初心者の私には「あ、この質問わたしも誰かに聞きたかった!」という質問・回答が多く、大変参考にさせて頂いております。ありがとうございます。

私の今の悩みと同じようなことも回答されているのですが、自分の事になるとどうしても答えがだせないでいます。管理人さまの意見をお聞き出来ればとても嬉しいです。

3ヶ月ほど前から、夫婦で投資に興味を持つようになりました。主人が40代後半、私が40代前半です。 時期は一緒ですが、相談などはほとんどしておりません。

 


主人は企業型確定拠出年金を見直すという形で始めて、 私はNISA口座を申し込み、口座ができるまでの間、投資信託について勉強している状態です。

主人の確定拠出年金をもとに私がアセットアロケーションを考えて、 私のNISA口座でバランスを考えて投資信託を購入しようと思っています。

そこで悩みの種になっているのが、主人がいままで買い続けて来た「自社株」の扱いです。 現在の金額で180万円分ほどあります。今までの購入金額は300万ほどらしいです。 損をしていますが、現時点で主人に売る気はなさそうです。

会社が現在大きな改革をしているのでそれにともなって今後少しは上がると予想しているのと、あとやはり愛着があるんだと思います。 なので「売って!」という気はありません。(考えが甘いのかもしれませんが‥)

この場合、アセットアロケーションに含むべきなのでしょうか。 また「含まない」という考え方もあるのでしょうか?

含むと、他の投資金額が少ない事もあり、リスクがすごいことになります。 バランスを取ろうと思うととても私の投資予算100万円では足りません。

考え方を変えて、

確定拠出年金→15年後の教育資金と老後資金の一部
NISA口座→7年後使用予定の資金

と考えて「それぞれのアセットアロケーションを考える」という方法もあるのでしょうか。(その場合は持ち株は「おまけ」と考えそうです) どういう風に考えて扱い、今後どのような購入をしていけばよいのかご意見を頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。


主人の企業型確定拠出年金

・保険(元本保証) 50%
・バランスファンド 20%
・国内債券インデックスファンド 10%
・国内株式インデックスファンド 10%
・外国株式インデックスファンド 10%

上記、アセットクラスごとの内訳

・保険   50%(117万)
・国内債券 24% (55万)
・国内株式 13% (13万)
・外国債券  1% ( 2万)
・外国株式 11% (26万)
・その他   1% ( 1万) です。


マッチングを利用して、最大の月1.8万円積み立てていきます。 主人は忙しくあまり勉強もしていないようですが、それぞれ信託報酬がもっとも低いファンドを選んでいるので大きな問題はないように思っています。

(ただ保険の割合が大きいのでは?とは思っています。今後投資を続けてみて私自身が投資を理解してきたら話し合って少し割合を変えてもらおうかと思っています。)

その他に1年分の生活費は普通預金で持っています。よろしくお願い致します。


ご回答:はい、もちろんアセットアロケーションに含めます

endoさま、しっかりと勉強されていらっしゃるようなので、おそらく何となくは回答がお分かりかと思いますが、お背中を押して差し上げる感覚で、次のように回答いたしますね。


自社株についての考え方と、アセットアロケーション

会社に勤務するという事は、そこに自分の能力を捧げた対価として、給料と言うリターンを得ているわけです。いわば、ご主人の(肉体も含めた)能力の投資結果です。

その投資は、勤務先と言う一社に集中投資しているのと同じ状態にあり、自社株を買う事はさらに勤務先への集中投資を加速させます。

分散投資の真逆となる概念のために、資産運用としては購入はお勧めできません。

もしも愛着で保有しているのだとすると、資産運用とは別世界になりますし、今後の会社の改革に期待して資金を投じているのだとしたら、これは立派な個別株投資になります。

いずれにしても、個別株であってもれっきとした日本株という資産クラスになりますので、これは当然、アセットアロケーション含めます。

分散投資の概念からすると、直ちに売却して同じ金額だけ、日本株の低コストファンドを買うべし、となりますけれども、愛着がある場合は、例えば3分の1だけ売却するとか、ご主人と相談して、そしてアセットアロケーション全体を考えて判断すると良いですね。


endoさんのアセットアロケーションを図にして見てみる

ところで、言葉だと分かりにくいので、円グラフで見てみましょうか。マネックス証券の提供する、マネックスビジョンが一番わかりやすいので、それを使ってみてみます。


現在のアセットアロケーション
endoさんの確定拠出年金の保険部分を、短期金融資産扱いにしてアセットアロケーションにしてみた図が、下記です。(生活費は入れません)






現在のポートフォリオでは、リスク(といってもかなり低めですが)の割に、期待リターンが低い状態で、非効率的だと言えます。

なお、実際は日本株部分は特定銘柄に集中投資しているわけですから、上記よりもはるかにリスク(不確実性)が高いのが実態です。

(リスク・リターンの図の星印の目標マークは、マネックスビジョンで示される、安定型ポートフォリオでの目標となります。)


アセットアロケーション改善の前に
ところで、endoさんは、

リスクがすごいことになります。バランスを取ろうと思うととても私の投資予算100万円では足りません。 考え方を変えて、

確定拠出年金→15年後の教育資金と老後資金の一部
NISA口座→7年後使用予定の資金

と考えて「それぞれのアセットアロケーションを考える」という方法ではどうか?


と言うような方向も念頭に置いておられますが、これは完全に現実逃避ですよね・笑。7年後に使用する予定の支出があるのであれば、それは預貯金で準備しておく必要があります。

将来の老後の資産形成も、15年後に相場がどうなっているのかはわからないため、15年経過した後も、アセットアロケーションの調整をしつつも、それを元に生涯、資産運用をしながら、必要な分だけを取り崩してゆくのが望ましいです。

ですので、アセットアロケーションは、ご家庭で1つです。(どうしても夫婦で意見が合わない場合は別ですが)

むしろ、別で考えるという意味では、確定拠出年金は無税で資産形成ができる非常に優れた仕組みですから、そこでは期待リターンの高いもので運用してゆくのが望ましいです。

元本保証の保険などは、わざわざ確定拠出年金で運用する必要性が全くないので、確定拠出年金の枠では、期待リターンの高い、外国株式に集中させるほうが良いですね。

その次にNISA、それでもおさまりきらないのを、通常の証券口座で運用してあげる考え方になります。

あくまでも、運用先トータルでのアセットアロケーションは、1つになるという事です。


1点、補足事項
勤務先の企業が日本株といっても、輸出系企業か輸入系企業かによって、為替の影響が真逆になります。 ご主人が輸出企業に勤務している場合、円高による打撃を受けやすく、年収も減る可能性があるため、外貨建て資産はひかえめにすべきでしょう。

反対に、輸入系企業の場合は、外貨建て資産は大目にしても良いでしょう。全体の資産配分をどうするかはさまざまな要因がからむため、いただいたご質問内容では判断できませんが、少しでもご参考になればと思います。


アセットアロケーション改善の提案
さて、先に提示したいびつなアセットアロケーションから、どのように理想の形に近づけてゆくか。基本的にはご自身(あるいは夫婦共通の)リスク許容度がどの程度なのかが分からないので、今からご提案することは、完全に絵に描いた餅になります。

簡易的にリスク許容度を確認できるウェブサイトがありますので、おすすめのポートフォリオは有るのか?のページをご覧になって頂いて、参考にしてみてください。

あくまでも、管理人が現状を元にこれなら可能ではないか?と推測して作り上げたアセットアロケーションが下記です。そのつもりでご覧になって下さい。

・保険を全て中止して、外国株式インデックスファンドに変更
・うち、10%を新興国向け株式ファンドとする
・奥さまの100万円は、日本債券クラスに投入
・ご主人の現物株のうち、半分を売却して先進国債券に変更









完全に管理人の好みが出ているアセットアロケーションですが、リスクとリターンの関係も、有効フロンティア上に位置しており、言う事なしです・笑。国内資産と海外資産の割合も、ほぼ均等にしました。株式と債券の比率も均等にしております。

実際には、確定拠出年金にどの程度積み立てられるのか、NISA口座内で何をどのくらい買うのか、などなど、個人の状況によってガラッと変わる事になると思います。


保険についての補足
上記では、保険を全て解約することが前提です。というのも、保険は元本保証といっても、長期的に見て年率リターンはとてつもなく低い割に、満期後に戻ってくるお金は10年20年前に約束した金額です。

もしもこの間、少しでも強いインフレに見舞われたら、確かに元本は割りませんが実質的にはかなり損している事になります。

だとしたら、インフレにも相応に連動した、10年物の個人向け国債や、高金利の定期預金を都度預け替えて行ってインフレに実質的に連動させるなどしたほうが良いです。

⇒参考・学資保険をどう考えるか?


まとめると・・・・

以上になります。まとめますと、自社株であっても日本株式クラスのれっきとした金融資産ですから、アセットアロケーション加えます。

その上で、保険部分や確定拠出年金内で運用する資産の内訳など、ご家庭の状況に合わせながら、アセットアロケーションを組んでゆかれると良いですね。

なお、金額などの面から、一発で理想のアセットアロケーションにならなくても、構いません。数年がかりで、理想形が実現できると言うのでも良いです。

長期投資の旅に出るのですから、最初からガチガチに固まって考えずに、ゆったりと取り組んでいかれると、非常によろしいのではないかと思います。


endoさまから感謝のお返事が

先日、「夫の購入した株も~」を質問しました、endoです。 早速のご返答ありがとうございました。

最初からガチガチに固まって考えずに、ゆったりと取り組んでいかれると~」 は私の性格を見抜かれているようで思わず笑ってしまいました。

いろいろな角度からの細やかなご返答、本当にありがとうございました。 アドバイスをもとに少しずつ検討、実行していこうと思います。

またご返答を待っている間に、 お友達のカン・チュンドさんのコンサルティング体験談を読み、衝撃を受けました。

やらなきゃっ!」と力が入っていたのが少し抜けた気がします。 主人の投資に対する考え方も尊重しないといけないと思いました。 二人で話し合いながら、私たち家族のアセットアロケーションを作っていきます。 ありがとうございました。

 

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