国際アジア・リート・ファンド・・・インドルピーコースがバカ売れ

国際アジア・リート・ファンド(通貨選択型)(毎月決算型)は、シンガポールと香港のリートに集中投資するアクティブ運用の投資信託で、毎月分配型投資信託です。為替取引を抱き合わせる複雑な構造であり、コストが極めて高いです。

先進国リートに投資する普通のインデックスに比べると、直近1年のパフォーマンスは良好です。ただ、尋常でない過剰分配で表面的に分配金利回りをかさ上げする点もとても酷く、それを理解していない残念なカモ投資家の資金が集まり続けて、大人気となっています。

国際アジア・リート・ファンド(インドルピーコース)


国際 アジア・リート・ファンドには、5つのコースが用意されています。ただし本質的な部分は同一ですので、異なる部分のみ個別に解説いたします。

タイプ 純資産総額あるいはその他コメント
為替ヘッジなしコース 113億円
円コース 24億円
インド・ルピーコース 980億円
インドネシア・ルピアコース 23億円
マレーシア・リンギコース マレーシアリンギの流動性が低下したことにより、運用が困難との理由で、2018年2月28日に繰上償還。


純資産は全てのコースを合計してご覧の通り1140億円にも達しますが、そのうち980億円をインドルピー越す単体で売り上げており、一般庶民がインドルピーばかりを爆買いする理由など有りませんから、特定の証券会社が売りまくっているものと推測されます。

(2019年2月13日追加)



 


国際アジア・リート・ファンド(通貨選択型)の基本的情報

このファンドの基本情報

項目 内容
購入単位 証券会社により異なりますが、楽天証券SBI証券など主要ネット証券では100円より購入可能。
販売手数料 3.0%(ノーロード投資信託ではありません)
信託報酬 年率1.87%(税抜)
信託財産留保額 0.1%
運用期間 2023年6月13日(2013年9月20日設定)
決算 毎月13日(毎月決算型)
運用会社 三菱UFJ国際投信株式会社
為替ヘッジ 為替ヘッジなしコースのみ、為替ヘッジは無し

ファンドの運用は、アジア・リート・マスター・ファンドを通じて投資するファンドオブファンズ形式となります。そのため、信託報酬が二重にかかる分、余計に高コストです。

国際アジア・リート・ファンドのファンド運用形式


このファンドのポートフォリオ

2018年12月28日時点のポートフォリオです。特に、赤枠のところを見ておいてください。シンガポールと香港の二か国に集中投資している点、それとファンド全体の配当利回りが5.3%となっている点です。組み入れ銘柄数も23と少なく、かなりの集中投資ファンドです。

国際アジア・リート・ファンドのポートフォリオ



国際アジア・リート・ファンド(通貨選択型)、管理人の感想と評価

複雑すぎる商品設計を、あなたは理解して買っているのか?

国際 アジア・リート・ファンド(通貨選択型)(毎月決算型)は、日本を除くアジア諸国の不動産に投資します。しかし、為替取引を余計に抱き合わせている投資信託で、問題だと思います。投資対象がリートである点は、その賃料収入を分配にあてがいやすいので、毎月分配型として妥当でしょう。

投資対象地域と銘柄を特化するので(ポートフォリオ参照)、当然ですが分散投資の効果は小さいです。集中して資産を大きく増やすためのポートフォリオと言えます。

シンガポールと香港の2カ国で、全体の9割超を占めます。集中投資の効果がきちんと出ているのであれば、これはこれで正当化できます。ただし冒頭に書いた通り、リートと全く関係のない為替取引を加える運用方針が、大問題です。

国際アジア・リート・ファンドのコース


為替取引を採用する理由は、下記のようにプレミアム(金利差相当分の収益)が目的です。しかし金利の高い通貨は、為替損失で金利差収益が相殺されやすく、表面上、儲かっているように見えるだけです。

これを、どれだけの人が認識を持っているのでしょうか。多分、国際 アジア・リート・ファンド(通貨選択型)を買うような人は、全く分かっていないと思います。

為替取引について


そもそも為替取引を抱き合わせる最大の問題は、投資が複雑になりすぎて、投資信託の価格変動の理由を理解できなくなる点です。

下のイメージ図をご覧ください。お金の流れが複雑で、投資信託の価格が上がったり下がったりするのが、リートの変動要因なのか通貨の変動要因なのか、正直よく分からなくなります。管理人でも判断ができません。

国際アジア・リート・ファンドの収益の源泉


インド・ルピー、インドネシア・ルピア、マレーシア・リンギコースなどという通貨は、普段は1ミリも意識する事の無いマイナーな通貨ですから、こんな無関係なものをシンガポールや香港の不動産に無理やり抱き合わせるなんて、本来はやってはならない投資なのです。

マレーシア・リンギコースに至っては、為替取引の流動性が低下して運用困難になった事から、2018年2月28日に繰上償還です。途中で投資を打ち切られるリスクもあるのです。

なお、国際 アジア・リート・ファンドの月次レポートを調べても、為替取引の収益情報の記載が一切なく、情報開示の姿勢にも問題を感じています。三菱UFJ国際投信らしいです。

そんなものを載せたところで、それを見たり理解しようとする投資家など皆無に等しく、だからこそ本ファンドのようなボッタクリ投資信託が、いとも簡単に売れてしまうのでしょうが。


 


2019年時点で、集中投資は報われる状況にあり

ところで、このような複雑すぎる設計の投資信託には、投資家が直ちにファンドの良し悪しを判断できる指標である、ベンチマークも参考指数も設定されておらず、この点で大いに問題があります。

今回の国際アジア・リート・ファンド(通貨選択型)(毎月決算型)においては、月報にS&Pグローバルリート指数(現地通貨建て・配当込み)のグラフが掲載されています。

このような現地通貨建てのものを出されても、ファンドの基準価額と並べて記述頂かないと、なんの参考にもなりません。実にいやらしい書き方になっています。

S&Pグローバルリート指数(現地通貨建て・配当込み)


そこで、当サイトでは円建てでのS&Pグローバルリート指数(配当込み)と、各コースの運用成績を比較してみたいと思います。特定の地域や通貨に集中投資した事が、先進国リートに分散投資した場合に対して、報われた投資だったのかどうかが分かります。

なお、ここではS&Pグローバルリート指数(配当込み)を参考指数とするインデックスファンドとして、ノーロード投資信託であり、信託報酬が0.344%しか取られない、EXE-i グローバルREITファンドと比較してみます。結果は以下の通りです。

国際アジア・リート・ファンド(通貨選択型)(毎月決算型)とインデックスファンドとのリターン比較


上記の通り、5年~10年の長期で比較した場合、国際アジア・リート・ファンド(通貨選択型)(毎月決算型)を使っての集中投資が報われた格好になっています。

実際に「正しい比較」としては、上の表の左端の為替取引の無い「為替ヘッジなし」タイプとの比較になり、これにおいてもインデックスファンドよりも大幅に成績が上です。

それに対してインドルピーとインドネシアルピアコースは更に成績が良いという事で、通貨取引がリターンを上乗せした事が想像できます。

円コースは実質的に為替ヘッジ付きという意味になるので、このタイプと為替ヘッジなしタイプを見比べる事で、この差の分が為替のリターンの差になったと考える事ができます。

ただし、ここ何年も強い上昇相場が続いていたのに対して、最近1年間は下落相場に転換しており、下落に転じるとインデックスファンドよりもリターンが低くなる事から、国際アジア・リート・ファンド(通貨選択型)は価格変動リスクが大きいものと推測されます。

今後、2019年が下落相場になるのか再び上昇が再開されるのかは神のみぞ知る世界ですが、基準価額の上げ下げが大きそうだという事は頭に入れておくと良いでしょう。(集中投資なので、当然と言えば当然なのですが。)


分配金の出し方が激しすぎる

さて、最後に分配金について指摘しておきましょう。上の項で見た通り、トータルリターンではインデックスファンドをかなり上回る、実績のあるアクティブファンドと言えるのに対して、これを毎月分配型投資信託の質で見た場合には、詐欺的な部分があると感じます。

現在、国際アジア・リート・ファンド(通貨選択型)では、各コース共にかなりの分配金を出している状況です。

国際アジア・リート・ファンドの各コースの分配金額


では、各コースの分配金利回りはどの程度なのでしょうか。ファンドのポートフォリオのところで、この投資信託の投資先の実績配当利回りが5.3%であったことを思い出しながら、以下の表をご覧下さい。

タイプ 分配金利回り
為替ヘッジなしコース 8.98%
円コース 4.37%
インド・ルピーコース 19.51%
インドネシア・ルピアコース 13.31%


配当が5%しか入って来ないのに、あなたに分配金を3倍前後も支払っていたら、ファンドは破綻してしまいます。破綻する事は無いにしても、その代わり、基準価額は恐ろしい勢いで下落します。

以下をご覧下さい。為替ヘッジなしコースと円コースの基準価額は、設定来1万円前後で推移しています。投資元本を確保したまま、分配金だけを受け取っていると判断できます。これならば、良いと思います。

国際アジア・リート・ファンドの為替ヘッジなしコースと円コースの基準価額


これに対して、インドルピーコースとインドネシアルピアコースの基準価額は相当に下落してしまっています。インドルピーでは投資元本の3割が、インドネシアルピアでは投資元本の2割が失われた格好です。いくら分配金を貰っても、意味が有りません。

「もうそろそろ死んでしまうので、投資元本を使い果たしたい」という人ならば、こういう投資もアリでしょうね。それ以外の長生きしたい人は、こういう投資信託は買ってはいけません。

国際アジア・リート・ファンドのインドルピーコースとインドネシアルピアコースの基準価額


念のために、最も酷いインドルピーコースの分配原資の内訳を、運用報告書から確認してみましょう。これによると、毎期の分配金(青線)の合計は半年で720円です。それに対して、毎期の収益(赤枠)の合計は485円です。

つまり、毎月の利益では分配金の67%程度しか賄う事ができていないという意味であり、それ以外の約3割は、投資家の元本に手を付けて支払っている可能性が高いという事になると思います。先ほど見た、基準価額の下落率と似ている数値ですね。

国際アジア・リート・ファンドのインドルピーコースの分配原資の内訳


そして、このインドルピーコースを、野村證券が大量に売りまくっています。毎月の分配金が多額のファンドという事で強く推しているのかもしれませんね。

このページをご覧のあなたは、分配金の多い少ないで、単純にファンド選びはしないようにしましょう。仮に国際アジア・リート・ファンド(通貨選択型)を買うにしても、身の丈に応じた分配金を支払っている、為替ヘッジなしコースか円コースが宜しいでしょう。



国際アジア・リート・ファンドの購入先

国際アジア・リート・ファンドを購入できる銀行・証券会社は以下の通りです。いずれも購入手数料を3%支払っての購入となります。

SBI証券カブドットコム証券楽天証券マネックス証券野村證券三菱UFJモルガンスタンレー証券、高木証券


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