三菱UFJバランス・イノベーションを、DC向けも含めて評価・解説

ときおり見かける、相場環境に合わせて「機動的」に資産配分を調整するタイプのアクティブ運用のバランス型投資信託、三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))についての評価を加えて行きます。

現在、純資産総額は1000億円を目指す勢いであり、一般庶民はこのようなものが好きなのだなと思わされます。リスクをかなり避けて超保守的な運用になりますが、リターンの割にかかってくる割高なコストが、長期の運用成績に影響を与えそうな予感がします。

なお、三菱UFJバランス・イノベーションには合計5つのタイプが存在します。確定拠出年金用も含めて、以下の5本を本ページでまとめて評価します。

三菱UFJバランス・イノベーション

商品名 純資産総額 設定
三菱UFJ バランス・イノベーション(株式重視型) (愛称:ファーストラップ(ささえ)) 313億円 2013年10月25日
三菱UFJ バランス・イノベーション(株式抑制型) (愛称:ファーストラップ(ささえ)) 304億円 2013年10月25日
三菱UFJ バランス・イノベーション(債券重視型) (愛称:ファーストラップ(ささえ)) 196億円 2014年12月25日
三菱UFJ バランス・イノベーション(新興国投資型) (愛称:ファーストラップ(ささえ)) 94億円 2013年10月25日
三 菱 UFJ DCバ ラ ン ス・イ ノ ベ ー シ ョ ン( KAKUSHIN) 74億円 2014年5月30日


三菱UFJ国際投信は、「うるさいお客」に対してはeMAXIS Slimインデックスシリーズのような極めて良心的な商品を出す一方で、情弱向けには三菱UFJバランス・イノベーションシリーズの投資信託のような、特に買うに値しない投資信託を乱発しています

まず真っ先に気になるのは、「ラップ」なる言葉を使っている点です。ラップと言うのは本来、富裕層向けの投資一任口座の事なので、ラップ口座向けではなくて、あなたのような一般人が購入できるごく普通の投資信託と言う時点で、売り手の思惑にハマってしまっている可能性が大です。

高級なもの、あるいは間違いの無さそうなもの、もしくは元本を守って利益だけは出してくれそうなもの、というイメージで購入したのならば、それは完全に間違いですから、顔を洗って出直してこられる事をお勧めします。


(2019年8月31日追加)・・・以降、気が付いたら本ページを更新しますが、最新情報を確認したいという人がおられたら、管理人までお知らせください。更新作業を致します。



 


三菱UFJバランス・イノベーションの基本的情報

ファンドのコスト情報

項目 三菱UFJバランス・イノベーション
(愛称:ファーストラップ(ささえ))
三 菱 UFJ DCバ ラ ン ス・イ ノ ベ ー シ ョ ン( KAKUSHIN)
債券重視型 株式抑制型 株式重視型 新興国投資型
信託報酬 1.05% 1.3% 1.3% 1.3% 0.6%
信託財産留保額 なし


このファンドの基本情報

項目 内容
運用期間 ・2023年3月24日まで(債券重視型)
・2023年3月24日まで (株式抑制型・株式重視型・新興国投資型)
・無期限(KAKUSHIN)
決算 3月25日
ファンド運用方式 ファミリーファンド方式
運用会社 三菱UFJ国際投信株式会社
為替ヘッジ 外国債券部分に為替ヘッジあり


このファンドのポートフォリオなど

2019年7月31日時点の資産クラスごとの配分や組み入れ上位10か国は以下の通りです。それぞれ日本への投資比率がかなり高く、ホームカントリーバイアスがかかっているようです。

項目 内容
債券重視型 三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))債券重視型のポートフォリオ
株式抑制型 三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))株式抑制型のポートフォリオ
株式重視型 三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))株式重視型のポートフォリオ
新興国投資型 三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))新興国投資型のポートフォリオ
KAKUSHIN 三菱UFJ DCバランス・イノベーション(KAKUSHIN)のポートフォリオ
KAKUSHINについては3月28日時点



運用が上手く行っているのかを測定できない点が一番の問題

三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))は、世界の株式や債券に投資するものであり、運用先自体には問題ありません。

リスクを抑えつつ、リターンが狙える分散投資は、資産運用の基本だからです。投資対象が、下記に示すようなインデックスファンドという点も良いです。

三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))のマザーファンド


ところが三菱UFJバランス・イノベーションなる投資信託は、シンプルで低コストである事が基本のインデックスファンドを使って、複雑な運用を行ってしまっています。

インデックスファンドの良いところは、ベンチマークという運用目標がハッキリしている点にあります。運用目標にキッチリ連動した成績を永久的に得られるのが良いところなのです。

それに対して、市況を見ながらインデックスファンドへの投資比率を機動的に変化させてゆくのが三菱UFJバランス・イノベーションの投資方針であり、一見すると「それはいいな」と思ってしまうでしょうが、そんな事が上手く行くのであれば、誰も苦労はしないのです。

三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))の運用イメージ


三菱UFJバランス・イノベーションは、基本となる資産配分プランごとに、債券重視型・株式抑制型・株式重視型・新興国投資型の4つのタイプがあります。

ところが、金融機関の用意した美しい販売資料を調べても、運用目標となる合成ベンチマーク、参考指数、リスク目標などが、一切、存在しません。下記のような資産ごとの組入変動範囲が、掲載されているだけです。

三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))の資産配分比率


市況に合わせて投資比率を変化させることで、ベンチマークや参考指数を設定しなくても良いと、運用側は思っているのかもしれません。しかし、個人投資家からすると、運用目標が何も無い状態では、投資信託の運用が上手なのか下手なのか、全く判断できません。

投資家は「ただ何となく保有しているだけ」という、極めてあいまいな状態になるのが、大きな問題点と言えましょう。その状態が分かる質問をしましょうか。以下、三菱UFJバランス・イノベーションの4つのタイプの運用成績を見てみましょう。

三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))の各タイプのリスクリターンの傾向


上記のチャートを見て、例えばあなたが債券重視型を保有していたとして、「運用成績についてどう思いますか?」と質問をしたとしたら、あなたは何と回答すれば良いのでしょう。

「元本割れしていないから良かった」とか、その程度の「何となくの感想」しか出てこないはずです。運用成績が良いのか悪いのかが判定できない投資信託など、買ってはいけないのです。

例えば、同じ「ラップ型投資信託」なるまやかしの投資信託、アセットアロケーション・ファンド(愛称:らっぷちゃん)などはベンチマークはありませんが、いちおう「目標リスク水準」なるものが存在していてまだマシでしたが、今回の三菱UFJバランス・イノベーションには何もありません。実に投資家軽視の投資信託です。

上手く行ったかダメだったのか判断できないものにお金をつぎ込むことは、果たしてよろしいのでしょうか。富裕層だったら、まず間違いなくそんな馬鹿な真似はしないはずです。(成金は除く)


 


代替えとなる投資信託は存在するのか?

単刀直入に言いましょう。三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))がお勧めできないのは明らかだとして、では「代わりのものは有るのか?」と問われたとしたら、回答は、「ありません」となります。

資産を組み合わせたバランス型投資信託には、本来はそれぞれのベンチマークが設定されていなくてはなりません。例えば今回の三菱UFJバランス・イノベーションならば、4つのタイプごとにベンチマークがなくてはなりません。

そして、資産配分比率が異なればベンチマークは当然違ってくるので、ベンチマークは「ものさし」ですから、異なるものさし同士を比較する事は出来ないのです。

バランス型投資信託の選び方は、本来は非常に簡単です。以下を忘れないようにして、バランス型投資信託を選んでください。

1.資産配分比率が自分に合っているかどうか
2.その資産配分比率でどの程度の損失の可能性が有るのか
3.アクティブ運用ではなくてインデックス運用
4.当然、ベンチマークが設定されている事
5.販売手数料は無料で信託報酬が0.5%程度より安いもの



なお、金融機関の担当者によっては、「昔のバランスファンドと違って、今のものは配分比率を適宜見直します」などと言ってくる人がいるかもしれません。

しかし、そんなものは詭弁ですから、一切聞く耳を持ってはなりません。運用成績のチェックができない投資信託など、論外なのです。

バランス型投資信託の選び方や、投資の基本姿勢などが学べる超絶に簡単な電子書籍がありますから、最低限、目を通しておいてください。少しも学習しない奴は、本ファンドのようなしょうもない投資信託の餌食になりますので、十分に注意してくださいね。


ラクして増やそう!バラつみ投資 やさしい投資の答えはバランスファンド?つみたて!



でも、「どうしても代わりのものを何か挙げてくれ」と言われたら・・・

しかし、それでも「どうしても何か代替えとなるものを教えてくれ」という、他力本願な人のために、当サイト管理人が「これならば良いと思うよ」と言えるものを提示しておきますので、参考にして下さい。


三菱UFJバランス・イノベーションの「債券重視型」と「株式抑制型」

過去のリターンをチェックしてみると、「債券重視型」と「株式抑制型」はおおよそ似通ったレベル動きであると思います。チャートでは大きく開きがあるように見えてしまいますが、実際のリターン差は僅か2~3%と、気にするまでもない範囲です。

リスクの数値も1%台~2%台と著しく低い水準と言う事で、代替え案を提示するならば、三井住友・DC年金バランスゼロ(債券型)(愛称:マイパッケージZERO)(信託報酬0.22%)が良いのではないかと思います。

三菱UFJバランス・イノベーションの「債券重視型」と「株式抑制型」

債券重視型 株式抑制型 三井住友・DC年金バランスゼロ(債券型)(愛称:マイパッケージZERO)
国内株式 最大11% 最大22% 0%
先進国株式 最大11% 最大22% 0%
国内債券 最大51% 最大51% 75%
先進国債券 原則25%固定 原則25%固定 20%
現金等 保有あり 保有あり 5%
3年標準偏差 1.73 2.46 1.38


2019年3月時点の運用報告書では、「債券重視型」と「株式抑制型」のポートフォリオは、国内債券への投資比率が共に51%ほど、外国債券が24%ほど、現金相当が19%ほどと、著しくリスク回避状態です。

三菱UFJバランス・イノベーションは、全ての5タイプにおいて外国債券部分への投資には為替ヘッジがありますので、為替ヘッジコストをかけて期待リターンを落としてでも、リスクを避けようという考えが強いようです。

とは言え、株価が強く上昇する局面が来た場合には、株式抑制型のほうが株式への投資比率が高い分だけ期待リターンは高いですから、三井住友・DC年金バランスゼロ(債券型)(愛称:マイパッケージZERO)よりも好成績を叩き出す可能性は高いと言えます。



三菱UFJバランス・イノベーションの「株式重視型」

次に、株式重視型です。かなりリターンが高いタイプかと思ったら、実は全くそうではなく、2019年3月時点では上記同様、国内債券への投資比率が51%、外国債券が25%、現金相当が17%ほどと、著しくリスク回避状態です。

となると、三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)(マイパッケージ)(信託報酬0.22%)で十分に代替え可能です。特に、リスクが抑えられていて、リターンが同程度となっていますね。

三菱UFJバランス・イノベーション株式重視型とその代替えファンド

株式重視型 三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)(マイパッケージ)
国内株式 最大42.5% 20%
先進国株式 最大42.5% 10%
国内債券 最大51% 55%
先進国債券 原則13~25% 10%
現金等 保有あり 5%
5年標準偏差 5.59 4.69



三菱UFJバランス・イノベーションの「新興国投資型」

最後に、新興国投資型です。新興国株への投資比率が3割を超して、本来はハイリスクハイリターンとなるところですが、そうはなっていません。どうも三菱UFJバランス・イノベーションは、タイプごとの名称と実態が異なっているようです。

代替えとなる投資信託は、値動きが類似しているという点から、三井住友・DC年金バランス50(標準型)(マイパッケージ)を選定しています。

このファンドは新興国には投資しませんが、三菱UFJバランス・イノベーションがリスク回避的に運用されるため、結果的にリターンは同等となっています。

三菱UFJバランス・イノベーション新興国投資型とその代替えファンド

新興国投資型 三井住友・DC年金バランス50(標準型)(マイパッケージ)
国内株式 最大33% 35%
先進国株式 最大33% 15%
新興国株式 最大32% 0%
国内債券 最大32.7% 35%
先進国債券 最大32.7% 10%
新興国債券 最大32.7% 0%
現金等 保有あり 5%
5年標準偏差 5.12 7.87


運用リターンを見ていると、どうやら三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))は、とにかくリスクを抑えて価格変動を平準化したいのだ、という事が想像できます。

だったら、それを運用目標にすれば良いだけの事です。そういった事を全く書かないで、投資信託の運用目的は「値上がり益の獲得」などという耳ざわりの良い事だけが、書かれています。

三菱UFJバランス・イノベーションのファンドの目的


リスクを減らしたいから本ファンドを選ぶのではなくて、よく分からないで購入してしまった結果、数年経って「ぜんぜん儲からねえじゃん!」と文句を垂れる人も続出するかもしれませんね。

リスク水準を抑えると明文化されるのであれば、下落に強い投資信託という役割に徹することができます。もっとも、そんな目的の投資信託など、欲望に目をギラ付かせた投資家の心には響かないでしょうが。


 


三菱UFJ DCバランス・イノベーションに関しては、どう見るか?

ここまで「愛称:ファーストラップ(ささえ)」での債券重視型や株式重視型などを見てきた訳ですが、実は三菱UFJバランス・イノベーションにはもう1つ、種類が有るります。

その名は、「三菱UFJ DCバランス・イノベーション」です。愛称はファーストラップではなくて、「KAKUSHIN(革新)」なるネーミングです。

この「KAKUSHIN」は、確定拠出年金専用の投資信託となっています。・・・ということは、富裕層一人一人のニーズに合わせるという本来の意味での「ラップ」ではなくて、単に投資信託を使いまわしているだけだけの事になりますね・苦笑。

資産配分比率は以下の通りで、ファーストラップ(ささえ)と同様に、市況に合わせて機動的に資産配分を見直すものとなっています。

三菱UFJ DCバランス・イノベーション(KAKUSHIN)の資産配分比率


現状の資産配分を見ると、ファーストラップの株式抑制型と極めて似ています。試しに比較してみると、以下のような結果になりました。株式重視型との中間的なリターンです。この傾向は、2017年にチェックした時から変わっていません。

三菱UFJ DCバランス・イノベーション(KAKUSHIN)のリスクとリターンの傾向


ただし、確定拠出年金向けの三菱UFJ DCバランス・イノベーションに関しては、一般の証券口座で購入できる三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))よりは、悪い感じはしません。

と言うのも、次の項で示す通り、DCバランス・イノベーション(KAKUSHIN)のコストは0.6%であり、アクティブ運用の投資信託にしては比較的低コストであるため、長期運用にも耐えうるコストだと思います。

確定拠出年金は超長期の運用になりますから、リターンを抑えてでもリスクを大幅に低減したいというニーズもあるでしょう。ベンチマークが無いので運用成績の優劣を判定できない欠陥は抱えているものの、結果的に「定期預金よりは高いリターンが出れば良い」くらいに考える人にとっては、ある程度の役に立つ投資信託かもしれません。



三菱UFJ バランス・イノベーションの購入先

三菱UFJバランス・イノベーション(ファーストラップ(ささえ))の購入先

三菱UFJバランス・イノベーション(愛称:ファーストラップ(ささえ))をノーロードで購入できるのは、下記の証券会社です。

証券口座選びに迷った場合は、 管理人神推しの証券口座のページ を参考にして下さい。
管理人的には、ポイント利用でコストを徹底的に削減する効果のある、SBI証券楽天証券の利用がベストだと思います。(どちらでもお好みのところを利用ください。)

楽天証券SBI証券松井証券auカブコム証券



三菱UFJ DCバランス・イノベーション(KAKUSHIN)の購入先

確定拠出年金向けとしては、以下で購入が可能です。

楽天証券のiDeCo
auカブコム証券のiDeCo
三菱UFJ信託銀行の企業型確定拠出年金


 


★この記事が参考になりましたら、ブックマークもしくはシェアをお願いいたします

ページトップへ戻る