欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド・・・あらゆる意味で信用できない

欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンドは、野村アセットマネジメントが運用して、三井住友銀行とSMBC日興証券が販売する、手数料有料のアクティブファンドです。2008年に設定されており、運用期間は2023年までとなっています(延長される可能性もあります)。

以下の、合計3つのコースからなる通貨選択型の投資信託となり、一時期は合計で2000億円を上回る規模であったものの、現在は金融機関の売る気がすっかり失せたようで、トータルで400億円程度まで減っています。

欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド

ファンド名称 特徴
欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド(欧州通貨コース) 9億円
欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド(豪ドルコース) 379億円
欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド(円コース) 36億円


もちろん、資産が増えようが減ろうが個人投資家にとっては全く不要な投資信託と言え、金融機関の手数料稼ぎのような存在です。このようなファンドからは一刻も早く卒業、あるいは縁切りして、二度と関わらないのが吉と言えます。


(2019年3月5日追加)・・・本ページの情報の更新を希望される方は、Q&Aページより管理人までお知らせください。すぐに対応したいと思います。


 


欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンドの基本的情報

このファンドの基本情報

項目 内容
販売手数料 3.5%(ノーロード投資信託ではありません)
信託報酬 年率1.6%(税抜)
信託財産留保額 なし
運用期間 2023年10 月13日まで(2008年8月11日設定)
決算 毎月13日
運用会社 野村アセットマネジメント株式会社
為替ヘッジ 各コースにより異なる
販売 三井住友銀行、SMBC日興証券のみで販売


このファンドのポートフォリオ

2019年1月31日時点のポートフォリオです。ハイ・イールド・ボンド・ファンドと言うだけあり、BB格以下の投資不適格債券への投資比率が9割以上もあります。欧州以外の地域にも、若干ながら投資しているようです。

欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンドのポートフォリオ


銘柄については以下の通りですが、このように書かれても何が何だか分からないのが、この手の投資信託へ投資する事の特有の現象と言えます。投資銘柄数は、合計で298銘柄です。

欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンドの主要な投資先



欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド、管理人の感想と評価

こんな純資産がドタバタの投資信託など相手にしてはならない

まず最初に、欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンドの純資産総額の推移を見て頂きたいと思います。欧州通貨コース、円コース、豪ドルコースをご覧ください。

各コース共に、色々なタイミングで突如噴き上げるかのように純資産がぶっ飛んで増え、天井を付けた後はかなり急激に純資産が減っているのが分かります。

個人投資家が数多ある投資信託の中から欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンドを自主的に見付けてくる事などあり得ませんから、これは三井住友銀行やSMBC日興証券が、店頭で個人投資家に強く推奨して売りまくった以外に考えらえません。

欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド(欧州通貨コース・円コース・豪ドルコース)の純資産総額の推移


それにしても、増えた資産が急激に減るのは、金融機関が欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド以外の投資信託を投資家に勧めて、手数料稼ぎの回転売買をした痕跡とも言えるでしょう。全く、ロクでもない事です。

上記のような信用できない投資信託は、純資産を見るだけでおおよそ判別が付く訳ですが、一方で真に信頼に足る投資信託の資産の増え方もご覧いただいておきましょうか。

下記は、セゾン投信という運用と販売を同時に行う金融機関が取り扱う、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの設定来の純資産総額の推移です。




途中にリーマンショックやいくつかの相場の急落局面があったにもかかわらず、純資産は右肩上がりでいつも一定のペースで増えているのが分かります。

投資信託は、純資産が一方的に増えたり減ったりしすぎると、安定的な運用が非常に難しくなります。そのようなドタバタ劇を繰り広げるファンドを選んでも、投資家にとっては良い事など一つもありませんから、本ファンドのような変な商品に引っかからないようにしましょう。


 


運用成績が良いのか悪いのか、全く判断できない

次に、運用成績です。この投資信託には「ICE BofAML European Currency HighYield Constrained Index」なる参考指数が設定されています。しかし運用報告書を見ても、下記のように、参考指数に対して優れているのかどうかが全く理解できません。
欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド(豪ドルコース)の基準価額と参考指数とのリターン比較


アクティブファンドをわざわざ買うのは、ベンチマークや参考指数に対して、それを上回る成果を期待するからであって、成績が良いのか悪いのか分からないようにしているファンドなど、全く相手にする必要がありません。


今は良いが、過去には無茶苦茶な分配金を出していて信用できない

欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンドの分配金を見てみましょう。運用報告書によると、欧州通貨コース、円コース、豪ドルコースのそれぞれは、「当期の分配金」が赤枠のように「当期の収益」で完璧に賄われていて、全く問題が無いように見えます。

欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド(欧州通貨コース・円コース・豪ドルコース)の分配原資の内訳


しかし、だったらなぜ、例えば以下の豪ドルコースのように、分配金を支払わないでファンド内で再投資したと仮定した基準価額(青線)に対して、現実の基準価額がこうも低迷して、1月末で4200円ほどと半値以下になってしまっているのでしょうか。

欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド(豪ドルコース)の基準価額


基準価額がこのように大きく下に開くのは、過去に、無理やりな分配金を出し続けた痕跡と捉える事が出来ます。今でこそ適正な分配金を出していますが、過去には以下の赤枠のように、100円も支払っていた時期がありました。

更には、2010年4月から2012年4月までの2年間は、120円もの分配金を払っていました。先ほど、豪ドルコースの「当期の収益」は月に30円ほどであると確認しましたが、これは投資先からの債券の利金収入ですから、それが年ごとに大きく変動する事はありません。

欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド(豪ドルコース)の分配金額の推移


となると、30円の配当に対して100円とか120円を支払っていたわけで、この盛大なタコ足分配のせいで、基準価額が呆れるほど下振れしたと考える事が出来ます。全く酷いことをするものです。こういった金融機関を信頼するのは、実にバカげています。

別の観点からも見てみます。豪ドルコースの例で説明します。本ファンドは、投資先債券からの収益の利回りは、5.5%です。更に、為替取引というハイリスクな取引をする事で、7.7%の利回りを上乗せしています。合計で、13.2%もの設計をしている訳ですね。

欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド(豪ドルコース)の投資先債券からの利回り


これに対して、現状の分配金利回りは約10%です。去年の数値はおおよそ10~12%くらいでしたから、投資先からの利回りと釣り合いが取れている事が分かります。

欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド(豪ドルコース)の分配金利回りの推移


つまり、現状の分配金で、ようやくタコ足が解消されて適正な状態になったという事が出来ると思います。

と言っても、リスキーな為替取引を強引に組み込む事は、それはそれで大いに問題であり、本来の債券投資からの収益では5.5%程度の利回りです。為替取引をする事により、投資家は想定外の価格の変動を被る事になりますので、投資に慣れていない人は全く利用するに値しない投資信託です。

もちろん、投資に慣れた人、あるいは事情をよく分かった人はなおさらこのような投資信託など使いませんから、あらゆる意味から、全く無用の長物と言えるでしょう。


 


★この記事が参考になりましたら、ブックマークもしくはシェアをお願いいたします

ページトップへ戻る