アセットアロケーションを2つ(あるいは複数)作るのは良いでしょうか?

現物株投資と投資信託の積み立てによって、将来の資産形成を考えている、投資デビューしたての若者からのご相談です。さて今回は、どのようなお悩みになっておりますでしょうか。


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NISAと一般の口座、2つのアセットアロケーションを考えています

2015年11月:どらむすこ様(男性・20代)よりのご質問

初めて連絡を送らせていただきます。貴サイトにて投資信託について勉強させていただき、投信信託に関してかなり知識を得ることができました。ありがとうございます。

さて、突然ですが現在私は26歳で今後の資産形成のために昨年から株を買っております(SBI証券)。また、投資信託でも積み立てを考えており現在、以下の10本の投資信託で積み立てをしています。

1・セゾン・バンガード(5000円)
2・セゾン資産形成の達人(5000円)
3・SMT インデックスバランス・オープン(5000円)16日申し込み
4・ニッセイTOPIXインデックス(2000円)月末申し込み
5・ニッセイJPX400インデックス(1000円)16日申し込み
6・ひふみプラス(1000円)月末申し込み
7・ニッセイ外国株式インデックス(2000円)月末申し込み
8・iーmizuho欧州株式インデックス(2000円)16日申し込み
9・SMTダウジョーンズインデックス(1000円)16日申し込み
10・ニッセイ国内債券インデックス(3000円)月末申し込み


特にアセットアロケーションも決めず自分で気に入ったものを自分の塩梅で購入した結果、数が多くなりました。

また外国株式のインデックスとダウ・ジョーンズや欧州株式など被っている場所もありますが、個別で地域ごとに保有しておきたい気持ちがあるのと申し込み時期をずらすことで時間的な分散ができていると考えて おり自分としては満足しております。

マネックスの有効フロンティア上にも来ているみたいでしたのでこのかたちで行こうと考えております。

現在NISAも開設していますが、投資信託の知識が少なく株より複雑だったので相談のしやすい家の近くの銀行で開設してしまいました。ほとんどがアクティブファンドで品揃えもあまり良くなく、手数料取るわりには大した成績も出せておりません。

それに考えてみれば複数のアクティブファンドを保有していても組み 入れられている銘柄ってJPX400やMSCIなどのベンチマークに採用されている銘柄がほとんどなので結果的にインデックスに投資しているのとあまり変 わらないのではと思うようになり、現在SBI証券への移行を考えております。(そのためには勇気を持って銀行にNISAの変更依頼をしないといけないので すが・・・)

前置きが長くなってしまいましたが質問はNISAに関してです。私個人の思いとしてNISAは

1・損益通算ができない
2・5年というスパンごとに満期が来てしまう


ということを考えると現在積み立てている投資信託のとは別の枠での運用をしたほうがよいのではないかと考えています。また、NISAの恩恵を確実に受けたいのでリターンは少なくても確実な利益が欲しいと考えています。ですのでふたつのアセットアロケーションを保有したいと考えいています。具体的には

1・現在積み立てているアセットアロケーション(今後30年近くの運用を考えると時間的なリスク分散がより効くと考えていますのでハイリスクハイリターン型)
2・NISA枠でのアセットアロケーション


5年ごとに見直さないといけない。またNISAの恩恵を確実に受けたいので(ほぼ)確実なリターンが狙えるローリスクローリターン型と、ふたつのアセットアロケーションで考えていきたいと思っておりますがこの考え方は変でしょうか

また、DLIBJ公社債オープン(短期コース)のNISA枠での運用を考えておりますがこちらの投資信託は分配金が出ています。分配金は複利効果がなくなってしまうため再投資を考えておりますが一般的に分配金の再投資は分配金に対して税金が引かれて再投資されるのでオススメしないと様々な情報サイトで書かれています。

ただ今回はNISA枠での運用を考えているのでこの場合、この投資信託は擬似的に無分配型になると考えていますがこの認識は間違っていないでしょうか。ながながと書いてしまいましたが質問は

1・個人が長期用と中期用のふたつのアセットアロケーションを持つという考えはどうか
2・分配型の投資信託でもNISA枠内での再投資であれば無分配型と同じ運用結果になるのか


という2点です。お忙しいかとは存じますが、お時間がある際にお答え頂ければ恐縮でございます。



 


ご回答:もういちど、アセットアロケーションの本質を考えましょう

20代の若い時から投資を考えておられて、素晴らしいと思います。今回はかなり無茶苦茶なアセットアロケーションだと思いますが、それでも過去100年間定期預金にお金を預けても全く増えないというこちらの例に見る通り、リスク資産を今のように持ち続けられるような胆力があるならば、30年、40年後には資産形成ができる可能性はあります。


現在の保有状況からアセットアロケーションを眺めてみると・・・・

どらむすこ様が保有している現物株の金額が分からないので、こちらで適当に推測して、日本株クラスへの積立投資部分と全く同額だとして、アセットアロケーションツール、ファンドの海にてリスクリターンの関係を見てみます。

便宜的に、新興国債券は先進国債券に、日本REITは日本株式に、先進国REITは先進国株に、新興国REITは新興国株に編入します。その結果がこれです。(ちなみにいつものアセットアロケーションツールを使っても、リスクとリターンがわずかに高めに出るだけで、ほとんど違いはありません)

by 長期投資予想/アセットアロケーション分析

期待リターン:5.22% リスク:15.16%
元本:32070万円 総投資額:2.7万円 期間:30年
(期待値:149875.7 標準偏差:137454.4 中央値:110456.4 最頻値:59994.3)

by 長期投資予想/アセットアロケーション分析

by 長期投資予想/アセットアロケーション分析


マネックス証券マネックスビジョンの場合、ほとんどのケースで有効フロンティアにかなり近くに見えるように配置されるようなので、今回は有効フロンティアも気にされているようなですから、資産クラスがやや丸まってしまいますが、ファンドの海を使いました。

今回私が気になったのは、リスクが非常に高い点です。まあ、株式への投資比率が非常に高いので、そのような結果にはなりますよね。




問題は、これがどらむすこ様にとって、本当にふさわしい資産配分比率なのか、という点ではないでしょうか?

お便りを拝見するに昨年から株を買い始めたとの事で、株が高値圏に到達してから飛び乗って投資を開始した、損する可能性の高い典型的な事例になりそうな予感もします。

当サイトでは繰り返し、アセットアロケーションをまず最初に考えてくださいと書いております。そこをほとんど顧みず、「自分の気にいった塩梅に投資信託を買う」というのは、現物株投資で例えて言うならば、「気にいった株を何となく買う」のと同じであり、このような株式投資は十中八九、損して相場から撤収させられるだろうと思うと、今回の投資信託選びは少々胸が痛みます。

今回のリスクリターンの関係で言うと、1年で運用成績がプラス20%~マイナス10%に収まる確率が7割くらいです。あるいは、95%の確立でプラス35%からマイナス25%の範囲に収まります。

という事は、暴落相場に巻き込まれた場合は、年率でマイナス25%は十分想定の範囲にあるという事で、これに耐えられるのかをしっかりとイメージしなくてはなりません。(リーマンショック級の暴落がやってくると、これをはるかに超えてさらに下落します)

資産全体が1000万円に到達した時に暴落に遭遇したとします。仮に債券クラスの価格変動がほとんど無かったと仮定して、株式クラスのみ25%の下落があったとすると、今のアセットアロケーションでは、800万円強まで200万円の下落を見ます。

もしも2年続けてこの下落に襲われたら、さらに翌年は資産が650万円近辺にまで大幅に減少します。これをどらむすこ様が果たして耐えられるのか考えたことがあるのだろうか、という点が一番気になります。

損益がプラスマイナス


相場が良い時は人間だれしも、自分のリスク許容度を図り間違える傾向にあると思います。しかし長期投資で一番大事なのは、悪い事態に遭遇した時に耐えられるかどうかです

高値で買ったものを悪い相場で安値で手放す(=相場から撤収)のは、多くの人にありがちな行動です。しかもこれはインデックス投資だけでなく、管理人が今現在行っている不動産投資においても、全く同じです。(あらゆる投資で、みんな同じです)

そうならないように、シッカリとご自身のリスク許容度に向き合っていただきたいと思います。ただしまだ20代とお若いですし、今のような高いリスクに耐えられて、今後本当に数十年単位で長期投資ができるのだとしたら、今のアセットアロケーションで大きな問題があるわけではありません。

きちんと生活資金などの都合を付けておられたり、あるいは何かあった時にはリスク資産を迷いなく取り崩せる人であれば、今のままでも良いのではないかと思います。


 


アセットアロケーションが2つ有るのは、全く無意味です

さて、NISA口座の活用ですが、回答の前に、まずは下記の2つのご質問をご覧ください。

参考となる質問積立投資の中身に関しての質問
参考となる質問NISAと確定拠出年金を併用する件について


上記を読んで頂くと分かると思いますが、アセットアロケーションがしっかり決まっていると、どの口座に何を当てはめるのかが、簡単に分かるようになります。

NISA口座は利益が無税になる事から、超絶に素晴らしい仕組みだと思います。普段は税金を徴収することばかりを考えている国家が、珍しく「税金は不要」と言っているのですから、これを利用しない手はありません。

ただしどらむすこ様がおっしゃる通りのデメリットが気になるようであれば、NISA口座は日本債券クラスのような安全資産を充ててやって、非常に少ないながらも着実に利益を狙えば良いでしょう。(ただし絶対に利益が出るとは言えませんのでご注意を)

NISA口座は(あるいは401Kも含めて)このように使うだけであって、あくまでもアセットアロケーションは1つです。一般の口座とNISA口座で2つのアセットアロケーションが存在したとしても、合算すれば個人で1つになりますし、投資先のリスクやリターンの総量が変化するわけでもありません

むしろ2つに分けることで、投資先資産の値上がりや値下がりの要因が一目見ただけでは分かりにくくなりますし、リバランスする時も何が何だか分からぬ状況になりかねず、全く意味の無い事だと言えましょう。

なお、NISA口座内であっても、「分配金=資産の取り崩し」である事は変わりません。利益にかかる税金分だけ明らかに有利にはなりますが、無分配の方が当然、効率的です。



質問者様から、返信のご連絡を頂きました。

以前、質問させていただきましたどらむすこです。早速のご回答誠にありがとうございます。

確かに、現在の現物の株も保有している状況ではかなりのハイリスクのような気がしてきました。以前の、ギリシャのデフォルト危機の際には初めての暴落の経験だったのでしばらく狼狽していました。

2回目の暴落のチャイナショックの時は買いのチャンスと思えるようになりましたが、今後リーマンショック級の暴落があった際に果たして自分が耐えられるかもう一度初めての暴落の時の気持ちを考えて、NISAを含 めたアセットアロケーションを組み直したいと思います。

また、DLIBJ公社債オープン(短期コース)の積み立てですがやめておこうと思います。再投資の効率が悪い点もさることながら、質問をした数日後、ニッセイ国内債券インデックスファンドの信託報酬が年率0、162%と従来の半分になったので、コ ストの点などからニッセイの方が今後の運用の点からメリットが大きいと判断しました。

今後も貴サイトで勉強しながら資産運用を考えていきたいと思います。今回は誠にありがとうございました






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