インデックス投資における、NISAの取り扱いを考えてみる

今回は少し、贅沢な悩みです。今年2016年から投資デビューをなさるのに際して、NISA枠をはるかに上回る資金を保有されていて、これの取り扱いをどうするか、というものです。しかしこれを考え出すと、頭の中で果てしなき堂々巡りが始まるほど、難しい問題になります。

インデックス投資家とNISA制度


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NISA口座と特定口座の併用方法についてご意見いただきたい

2016年1月:ぺぽメイシ様(男性・20代)よりのご質問

あけましておめでとうございます!いつも楽しく拝見させていただいています。昨年結婚したことを機に2016年度からNISA口座を利用して投資デビューしようと思っている27歳・既婚・子無しの会社員です。

僭越ながらNISA口座と特定口座の併用方法についてご意見いただければと思い質問してみました。

当方、生活防衛資金を除いた投資準備金を500万弱用意しているのですが、夫婦二人のNISA枠を利用しても合計240万しかないため、残りの260万円を下記2案でどうするかで悩んでいます。ちなみに世帯収入から鑑みた年間の投資可能額は150万円ほどです。

■案A:すぐに特定口座で運用を始める
■案B:翌年のNISA枠を待つ



自分で考えてみた限りでは、仮に案Aを採用した場合、年度が替わる時点で特定口座内で一旦売却⇒NISA口座内ですぐに買い付けを行うほうが良い。(投資の連続性はそこまで失われないと考えています)

利益が出ていた場合、税金の分だけ投資のパイが多少減りますがそれでもNISA利用による今後の節税メリットが大きいのでは?という推論も含まれています。上記を行った場合

・購入時よりも利益が出ている⇒結果的に案Aでよかったことに。
・購入時よりも損失が出ている⇒案Aと案Bで運用結果が変わらず。



よって、案Bよりも案Aを採用したほうが良いと考えました。以上のことから、広く一般的な話として、投資準備金がNISA枠以上あり、かつ年間投資可能額がNISA枠未満となるような人(いずれはNISA枠だけで投資が収まってしまう人)は、初期段階では 特定口座とNISA口座を併用し、徐々にNISA口座に寄せていくのが良いと結論付けたのですが、考え方に誤りがありますでしょうか。

教えていただければと思います。よろしくお願いします。



 


ご回答:インデックス投資を行う際に、本当にNISA口座が必要なのか

ぺぽメイシさん、あけましておめでとうございます! 当サイトに寄せられた、今年初めてのご質問になります。今回は、非常な難問です。人によって結論が相当変わると思います。管理人としては次の通り回答させていただきますので、どうぞご覧下さいませ。



インデックス投資は売却をしないので、どちらでも良いと思っていましたが

今回の回答ですが、最初は「インデックス投資をやっているならば、NISA口座であっても売却することは無いし、であるならば、NISA口座でも特定口座でも、どちらでも良いでしょう」と考えていました。

NISA口座で売却することが無いとすれば、特定口座→NISA口座に移す時に(相場が悪くなってマイナスになっていないならば)、確実に利確売りとなって税金を差し引かれ、資金効率が落ちるので、そのままにしておくくらいで良いのかなと思いました。



NISA口座で、明確に「利益確定」を実行している人がいる

ところが、インデックス投資を実際に実践している方のブログを拝見すると、どうやら上記の考え方は正しいとも言えないと感じました。

ゆうきさんのブログ記事2014年に投資したNISA口座のETFをすべて売却した


NISA口座は非課税口座ですが、利益が出て初めて、非課税の恩恵を受けられます。となると、いくらバイ&ホールドが基本のインデックス投資家であったとしても、売却をしても良いのだなと気付かされます。

ゆうきさんの場合は、1年間で20%の価格の上昇があったために一度利益確定して、ただちに売却分を課税口座で買い直しています。こうすることで、遠い将来に課税口座で税金を取られる時にも、今回の利確部分については、金額的には少ないでしょうが納税を免れることになる訳で、なるほど賢明なやり方だなと感心しました。

ただ、この方法は一方で、かなり悩ましい問題をインデックス投資家に投げかける事になります

NISA口座の利益確定は難しい問題


ゆうきさんは「20%超えたら利確」という明確な「利確タイミング」を決めていますが、そもそもインデックス投資は投資タイミングを読まない投資法です。なのにNISA口座で利確する時は、自分なりの何らかの利確ルールを決めなくてはならないのです。

これは将来、積み立てが終了して、資産を取り崩すのとは全く異質な悩みだと思います。かなり、タイミング投資に近いところまで考えなくてはならないかもしれません。

ゆうきさんのように率で行くのか、あるいはある程度の金額で行くのか、その両方にしても「非課税期間をあと4年も残して初年度で利確するのはどうなんだ?」などなどの、さまざまな葛藤を抱えることになります。

タイミングを読まないインデックス投資という意味からすると、NISA口座終了のタイミングですべて売却して、すぐに課税口座にて同じアセットアロケーションで買い直すのが自然なような気もしますけれども、どうなのでしょうか?



損する確率を上手にコントロールして減らしているいる人がいる

NISA口座特有の悩みについて、別の観点からやはりブロガーさんが記事にしていますので、こちらも併せてご覧になってください。

kenzさんのブログ記事来年のNISA口座用は世界経済インデックスファンドからニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)に切替


メインに積み立てているファンドを切り替えてでも、「期待リターンがその分低くても損失となる確率が減る(債券クラスも含んだ)インデックス型のバランスファンドを選んでいます」との事です。

この方法だと、NISA期間中に売却するにせよ、終了時に売却するにせよ、とにかくそこそこのリターンを低くない確率で得られる可能性が高まります。利確タイミング、あるいは利確ルールの「決まり」を、緩和するようなアイデアとも言えます。

ここで書かれている悩みは、まさにNISA制度が期限付きであるという問題から生じています。期限があることで、投資家のリスク許容度なのか性格なのかはっきりしませんが、下記のいずれかの態度を表明しなくてはならない事になってしまっています。

・非課税メリットを最大限受けるには、期待リターンの高い株式を充てる
・損したら全く無意味なので、期待リターンは低くても安全資産を充てる
・その中間を狙う(Kenzさんはここですね)


NISA制度は期間が限定されているデメリットがある



投資が趣味でもない人が、NISA口座を管理できるのか疑問

さて、以上を見てきた時に、ふと疑問が湧きます。NISA口座は利益確定をするからこそ、非課税枠が活きてくる訳です。しかしこのページで取り上げた2人のブロガーさんのように、万人も上手く対処できる制度なのか、たいへん疑問です。

一般の、投資が趣味でも何でもない人たちが、利確ルールなど作れるのか。利確タイミングを図れるのか。ゆうきさんやkenzさんのように、ほとんどセミプロ級の個人投資家にしか、ハンドリングできない可能性があると思いました。

管理人はFXでタイミング投資をしているので、利確するのは実は、ポジションを持つ時よりもはるかに難しい事を知っています。売るタイミングをどうするのかを市井の人々に考えろというのは、非常な難問であります。

だとしたらあえて、NISA口座など使わなくてもよい、という選択肢があってもよいと考えます。あるいは、NISA口座で積立てはするものの、無理に売却もせず、非課税期間が終了してもそのままほったらかしにするのでも良いでしょう。

NISA期間中になんとしても非課税メリットを最大限に受けたいという強い欲望の影響で、超長期に渡るインデックス投資に対する姿勢に迷いが生じるくらいだったら、いっそのこと、使わないという選択肢もありです。

NISA口座で大きく「利確」する体験をしてしまうと、少なくない人が相場の「魅惑」に引きこまれる恐れがあります。タイミング投資の誘惑に駆られそうな人は、特に要注意でしょう。



悩みに悩みますが、結局答えは無いと思います

それにしても、困った制度ですね・笑。年間、たった120万円くらいならば、常に非課税にしてくれても良いと思うのですが・・・。しかし困りました。どう考えても、結論など出ない問題です・苦笑

NISA口座にシフトしようと決めた場合、ぺぽメイシさま、じゃあどこで利益確定するのですか?という事を事前に決めておきましょう。ゆうきさんのように明確なルールを決めるのか、あるいは期間終了後に売却するのか、それをご自身で決めておく必要があります。

NISA口座を活用する方法を事前に考える


それとは別に、明確に高いリターンを狙ってNISA内で投資をするのか(=先進国株や新興国株を充てる)、逆にリターンは微々たるもので良いので、日本債券クラスのようにほぼ着実に利益が上がる可能性の高いものに投資をするのか。はたまた上手くバランスをとって、kensさんのように行くのか決める必要があります。

そして最後は、ぺぽメイシさまのお考えの下に、「エイヤ!」とやっていただくしかありません・笑。大枠で特に間違っているわけではないので、最後はザックリ決断です。



管理人は、NISA口座を使っているのか?

使ってません・笑。正確に言いますと、我が家は離婚リスクをほとんど考えていないので、夫婦で家計は一体運営です。で、妻の名義のNISA口座のみ開設して、使っています。(僕が管理しています)

保有する商品は国内上場のETFで、Jリートと新興国債券のETFを保有しています。これらは配当金(ETFでは分配金と称する)を得るのが目的で、この部分だけ、非課税になってくれれば良いという程度です。

買値よりも下回ったら直ちに売却しますが、利益が乗っても利益確定売りは出しません。つまり最初から、売却益を狙わないことを明確にしています。

それと、年間の投資枠が120万円あるからといって、それを目いっぱい買う事はありません。配当利回り(ETFでは分配金利回り)が3%を超えないとアホらしくてやってられないので、その数字を超えてきたタイミング、それはすなわち市場の暴落を意味しますが、そのような機会が到来したら、慎重に買いを判断して、更に下がる可能性も考え、資金の一部を投入するだけにしています。

120万円の枠を全て使い切ろうという事を考えだすと、相場とは全く関係のないところで余計な労力を使う事になって、相場を見る目に曇りが出ると思っています。

管理人は2016年から、確定拠出年金制度を使ってインデックス投資の再スタートを企画していますが、NISA口座はどうしようか迷いますね。たぶん、・・・この投資手法ではNISAは使わないと思います。



ぺぽメイシ様より、お返事を頂きました!

先日は「インデックス投資における、NISAの取り扱いを考えてみる」という題材で質問にご丁寧にご回答下さり真にありがとうございました。非課税期間中に早期に利確してしまう人がいるのには正直驚きました。

ちなみに私は当サイトやインデックス投資本などで多少インデックス投資に対する知識を身につけ、四六時中ポートフォリオについてずっと悩み続けておりましたが結局は正解が見つからず、妻がお金の話を好きではない様子&今は自己投資に時間を割くべきとの 別方向の視点から、逆にできるだけ投資のことを忘れるようリバランスさえもいらないバランス型(SMTインデックスバランスオープン)に落ち着きました。

当然NISA期間中に売却しようとも考えず、NISA恒久化の願いも込めて、あるいは増益でのNISA終了時→課税口座移管時における取得価額アップによる将来の減税効果の願いも込めて、ただひたすら愚直に10年20年30年と積み立てていこうかと決意を新たにしています。

題材に取り上げて頂きまして大変感謝しております。ありがとうございました。





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