アセットアロケーションに為替ヘッジ付きの投資信託を入れるのはアリ?

今回は、これから投資信託を活用してインデックス投資をする方からの質問ですが、ちょっと珍しく、為替ヘッジ有りと無しの違いに関して、長く言及しています。


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投資信託を活用した投資に関して、アドバイスをお願いします

2016年4月:むく様(女性・50代)よりのご質問

堀田様、こんにちは! 〈低所得・税金免除で投資信託を買ってもお咎めなしか?〉の質問者です。丁寧な解答をありがとうございました。m(_ _)m 女の一人知恵で生きているので、参考ブログのご紹介も、大変為になりホッとしました。

安心した投資


私が受けた、9万円の3ヶ月間・週一のWebセミナーでは、質問は5日以内に返信する約束なのに15日も過ぎたり、セミナーの中で言ってる事の内容で意味が解らない事以外の個人的質問や銘柄についての質問は、公共の場では答えを控えますと言われました。

〈セミナー参加者だけの場なのに...〉、 ポートフォリオリバランスのやり方について質問したら、ポートフォリオマネージメントはこのプログラム内容にはなく、その説明は数時間のセミナーになるので出来ないと言われ別枠で連絡をするように言われました。6ヶ月セミナー48万8千円があるようです。

結局、3ヶ月Webセミナー内容は、今お金が無くても、貯金から始めて100万円位貯まったら何があってもまぁまぁ安心出来るので、そうしたら、信託報酬コストが低く、総資産が多く増え続けていて、3年以上続いている基本4資産〈国内債券、外国債券、国内株式、外国株式〉のインデックスファンドを下から貯金するように、ドルコスト法で感情に左右されずに淡々と積み上げ続けると言う内容でした。

30年後の、複利で増えていく資産をイメージし貯蓄をし続け、自分が価値を感じるものだけにお金を使うと心が満たされ、幸せを感じて生きていけると言う内容でした。

心理テクニックは納得ですが、投資についての質問の対応と内容の中途半端さにがっかりし、それ以上学ぶのに50万円近く払う気になれず、もう貯蓄していればいいから投資信託はやめておこうと思ってしまいました。

質問する度に嫌な思いをしました。後半は質問する人も少なく、300人弱の参加者で2~3人でした。質問する方が変なのかとも思いました。

Facebookでセミナー参加者の任意参加と講師との秘密のグループもありますが、女性講師はMBAをはじめ、コーチングや心理学の肩書きが沢山あり、世界のプロのファンドマネージャーをランク付けする仕事もされてたそうですが、せっかく凄い肩書きの方なのに、ろくに質問も出来ない雰囲気で、分かち合いもためらってしまいます。

そんな中でこちらのサイトを見つけ、ダメ元だと思い質問してみたのですが、無料なのにこんなに内容が充実していて、一質問者に対して迅速に丁寧に対応して頂けるとは、思っていませんでした。本当に本当にありがとうございます。とても嬉しいです。感動です。信じられない位です。これで安心して投資信託を始めようと思えました。

今日は、これから始めようと思っているインデックスファンドについて、アドバイスがありましたら、宜しくお願い致します。

堀田様の質問者様へのアドバイス等などもたくさん読ませて頂き、余裕資金ではありますが、初心者なので一辺に200万円とかはまずはやめて、感情のリスクを考えて2万円ずつ毎月4つの各資産クラスのインデックスファンドにドルコスト法で積み立てようかと考えました。

国内債券三井住友・日本債券インデックス・ファンド
外国債券SMT グローバル債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり)
国内株式ニッセイ日経225インデックスファンド
外国株式野村インデックスファンド・外国株式・為替ヘッジ型(Funds-i 外国株式・為替ヘッジ型)


以上です。3ヶ月位したら金額を上げようかと思っています。 外国もののヘッジについてですが、 Webセミナーでは外国ものは慣れてからヘッジありとヘッジなしを半々持つのもいいが、最初は〈ヘッジあり〉にしなさいと言われました。

堀田様の為替リスクも怖くないを読みましたが、信託報酬の安いものとヘッジのリスクを取った場合の差が私にはまだ良く解りません。 宜しくお願い致します。。


 


ご回答:インデックス投資の基本、まずはアセットアロケーションを決めましょう

ご質問ありがとうございます。かなり高額のセミナーに参加されておられるようですが、結局はインデックス投資のような内容だったのですね。ただ、ボッタクリ毎月分配型投資信託に手を出して、もっと大きな金額を失うよりもマシと考えて、前向きに行きましょう!

そのセミナー、4資産に均等に投資すれば良い、みたいな事のようですが、これはアセットアロケーションの事を完全に無視して、「とりあえずこれでやっておけば?」程度の内容です。感情のリスクを排除して、長く投資を続けるには、もっときちんとしたアプローチをして、納得して投資を行う事が必要です。

人に言われたアセットアロケーションで投資をすると、数年に一度はやって来る「市場の大暴落」の時に、全く耐えることができなくなりますので、大いに注意する必要があります。


リスク許容度をしっかり考え、むくさんに合ったアセットアロケーションを!

むくさんは投資をしていて、何が一番嫌でしょうか? 保有している投資信託が値下がりする事でしょうか? 投資をしている以上、元本を割れて含み損の状態になる事は、絶対必ずあります。いつも含み益状態なんてことは、絶対にありません。

相場の下落


それを受け入れられない場合は、投資をしてはなりません。金利の高い定期預金の徹底乗り換え術を駆使して、堅実に貯金すべきです。

では、一時的な損失は受け入れるとして、いったいどの程度までの一時的損失を受け入れられるのでしょうか? 500万円投資して30%、150万円の含み損まで耐えられますか? あるいは60%の300万円の損失が耐えられるのでしょうか?

これが、リスク許容度です。これは人によって(性格によって)様々で、正しいとか間違いとかはありません。将来が長いのでリスク許容度が高めだと思われている若い人でも、20代で債券投資の割合が6割と高い事は問題あるか?のように、リスク許容度が低い人もたくさんおられます。

本来リスク許容度が低い人がそれをきちんと認識せずに、リスクの高い(=価格変動の大きい)投資をやる事だけは、決してやってはならないのです。(やると苦痛で市場から撤収、つまり敗北が確定します)

ここ数年、世界的に非常に相場が好調だったので、遅れまいとして慌てて市場に入ってきた人たちの中で、リスクの事を考えなかった多くの人は、2015年末~2月の市場の急落で、泡食って逃げ出して大きな損失を出しています(たぶん)。

以上を踏まえたうえで、インデックス投資の始め方と、アセットアロケーションの決め方の2ページを必ずしっかりと読んでいただいて、まずはむくさんに合ったアセットアロケーションを、決めて頂くようお願いいたします。

インデックス投資は、最初のこの部分だけが異様に分かりにくいです。しかし1か月もウンウン唸って考えていれば、そのうちちゃんと理解できるようになりますから、決して慌てず、ゆっくりと自分のペースで、アセットアロケーションを作り上げてください。

アセットアロケーションを作る過程で、たくさんの人が同じような悩みを抱えて、当サイトに質問しておられます。過去の質問も参考になるので、以下、参考にして下さい。

⇒参考:Q&Aコーナー・アセットアロケーションについて


為替ヘッジについての考え方

為替ヘッジですが、そもそもどのような人が、為替ヘッジをするのでしょうか? ざっくりと言えば、以下の通りになります。要は、円高リスクの回避ですね。

為替ヘッジを使う人 ・将来、円高になると予測できる人
・もしも円高になった場合の損を避けたい人
・円安時の利益を放棄してでも円高を避けたい人
為替ヘッジを使わない人 ・将来、円安になると予測できる人
・相場の予測や見通しを行わない人


しかし、インデックス投資の本質は徹底的な国際分散投資にあります。分散をすることで、分散をしない場合に比べて、リスクがやや低くなるのです。この点に関しては、投資信託おすすめの本ベストセレクトのページより、「なぜ投資のプロはサルに負けるのか?」を読んでいただくと、納得するのではないかと思います。

為替ヘッジをしてしまうと、アセットアロケーションを構築する時のリスクとリターンの関係が、正直、よく分からなくなります。

そもそも国際分散投資をしているのに、為替ヘッジをしてしまうと、実質的に通貨が円に限定されるのと同じことになります。通貨に関しても、ヘッジをしないで複数に分散するほうが自然なのではないでしょうか。

ただ、株や債券と異なり、通貨はそれを保有していても、期待リターンがプラスになる訳ではありません。円高になるか円安になるかは、確率五分五分の丁半博打です。

だったら為替リスクのような余計なリスクを取らず、外国株式と外国債券の純粋な値上がり(時に値下がり)のみを受け取りたいと望むのであれば、為替ヘッジをするのも大いにアリです。

ただし、1つだけ明らかなデメリットがあります。それは、為替ヘッジをしたほうが、コストが高くなるという事です。長期投資において、コストは絶対確実に、運用成績にマイナスの影響をもたらします。

野村インデックスファンド外国株式においては、為替ヘッジ有り無しに関わらず信託報酬は0.55%ですが、実質コストを計算すると、ヘッジ有りは0.60%、ヘッジ無しは0.58%と、ヘッジ有りのほうがやや高くなります。(実質コストは低コストインデックスファンドの実質コスト完全比較 (2016年3月更新) - インデックス投資日記@川崎より確認)

加えて、この実質コスト以外の「為替ヘッジコスト」が、毎日算出される基準価額の中に反映されて、基準価額が計算されます。となると具体的にどの程度のコストがかかっているのか分かりませんし、基準価額をその分、押し下げる事になります。

世の多くのインデックス投資家は、ほとんどが為替ヘッジ無しにしているようです。これは、そもそも相場を読まないインデックス投資なので、円高になろうが円安になろうが、どっちでも構わないと考えている人が多いのと、ヘッジ有りのほうが余計なコストがかかる事の、両方が理由のようです。

参考までに、野村インデックスファンドの外国株式のヘッジ有りと、ヘッジ無しの過去3年間の基準価額の推移をみると、下記の通りとなります。

外国株式、為替ヘッジ有りと無しの違い


明らかに為替ヘッジ有りのほうが基準価額のブレ(=通貨の変動によるリスク)が、減少しているのが分かります。ついでにSMT グローバル債券インデックス・オープンの、為替ヘッジ有り為替ヘッジ無しで見てみます。

先進国債券、為替ヘッジ有りと無しの違い


と・・・こうして見ると、本来安全資産である債券クラスは、為替ヘッジをかける方がいいなとも思ってしまいました・笑。

債券クラスが安全資産という事は、株式の価格変動リスクを大幅に緩和させてくれるものでないと、意味がありません。例えばSMT TOPIXインデックス・オープンSMT国内債券インデックスオープンの関係です。(下の図)

株式が上下に大きく動くのに対して、債券の値動きが極めて安定していて、両方の資産を保有した場合は資産全体としての値動きをマイルドにしてくれることが明らかです。

株と債券は逆相関の関係で動くことが多く、株がダメなときは債券、債券が振るわない時は株が、資産を増やしてくれる効果を期待します。

日本株と日本債券の基準価額の推移


外国株と外国債券の場合も、本来的にはそのような効果を期待すべきかもしれません。野村インデックスファンド・外国株式・為替ヘッジ型と、野村インデックスファンド・外国債券・為替ヘッジ型で比べてみると、上の図同様に、株価の変動を債券がきっちりとマイルドに抑える効果が非常に高いことが分かります。

それぞれのヘッジ有りとグラフを一緒にしているので少々分かりにくいですが、外国債券も為替リスクを排除すると、本当に安全資産だったんだなと言うのが実感できますね。

外国株と外国債券、そしてそれぞれの為替ヘッジ有りのの基準価額の推移


投資先の資産の純粋な値動きだけを取りたい場合は、ヘッジ無しでもOKかもしれません。セミナーで最初は為替ヘッジ有りを選び、慣れたらヘッジ無しと言われたのは、為替変動で余計な値動きが発生するのを避ける目的もあったのかもしれませんね。

今回むくさんからご質問を受けて、為替ヘッジ有りという選択肢もアリだなと見直した次第ですが、・・・繰り返しになりますが、ヘッジコストがかかっている分、基準価額の押し下げ要因になっている事だけは、頭に入れておいてください。

日本の超長期的な将来は悲観的なので、将来は円が売られて(あるいは暴落して)ヤバい事になるので、円以外の通貨を持っていた方が良いという人も多いです。

しかしこんな噂は根拠があるように見えても超長期の未来なんて、分かるはずもない眉唾みたいなもんです。例え円が暴落しても、ヘッジを利かせた後の外国株と外国債券が、相対的に国内株や国内債券よりも値上がりしていれば、国際分散投資が作用している事になります。

はるか将来の円暴落リスクなどを考えるよりも、日常的に為替が大きく変動するリスクの方が極めて不愉快だと感じる人にとっては、為替ヘッジは有効な手段と言うか、選択肢になりえましょう

為替ヘッジなどの余計なコストをかけずにリスクを減らしたい場合には、素直に国内債券の比率を高めたり、個人向け国債などの無リスク資産を増やして、調整してやれば良いでしょう。ここで書いている内容は、値動きの分かりやすさを取りたいという時に限って、有効なやり方になります。


参考までに、ファンドの海でアセットアロケーションを測定してみると

さて、アセットアロケーションの話に戻りましょう。今回の4つの資産であれば、ファンドの海というツールを使って、簡単にリスクとリターンをチェックできます。結果は以下。

by 長期投資予想/アセットアロケーション分析


元本2000万円となっているのは、感覚的に分かりやすくするためです。この2000万円が、リスクにさらされた場合のシミュレーションが、下記です。

期待リターン:3.57% リスク:9.61%
元本:2000万円 総投資額:0万円 期間:30年
(期待値:5736.9 標準偏差:3105.3 中央値:5045.2 最頻値:3902.0)

by 長期投資予想/アセットアロケーション分析


と・・・、これだと逆に分かりにくいかな。リスク9.61%と言うのは、約70%の確率で(1標準偏差)、最大のプラスリターン13.18%、マイナスリターン6.04%になる可能性が高いという意味になります。(リスク+期待リターン、あるいはリスク-期待リターン)

⇒参考:リスクとリターンの計算方法


これは1年間の数字なので、最悪の相場が3年継続したら、2000万円の投資資金が1600万円まで、400万円も含み損の状況で減少することになります。このような数字を見て、それにむくさんは耐えられるのかどうかが、リスク許容度なのです。(もちろんハッピーな3年が継続すると、逆に900万近く利益が増えます)

4つの資産を均等に持つというのは、むくさんに合っているのか、あるいはもっと安全資産(債券クラス)を増やすほうが心地よいのか、逆にむしろ果敢にリスクを取る方が性分に合っているのか、しっかりと考えるようにしてみて下さいね。

もしも4資産に均等に投資するのが合っているとお考えならば、為替ヘッジは付いていませんが(ヘッジを付けないのが一般的です)、ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)を買い付けると良いでしょう。

そして8割方納得したら、あとはエイヤでやるしかありません。やってみて初めて分かる事もあって、やってみたら思ったよりリスク許容度が高かったと感じたら、数年後にアセットアロケーションを見直しても良いです(頻繁にやるのは、NGです)。

また、そもそもインデックス投資には全く向いていない性格だったという事が判明するかもしれません。やってみなくては分からない事もあるので、ある程度の事が決まったら、あとは適当と言うのか緩い部分と言うのか、そういう側面があると思って、取り組んでみて下さい。





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