先進国債券に投資する意味は、どこにあるのか?

既に投資信託を利用して、国際分散投資を実行されている方からの質問です。債券部分への投資のお話しになります。


投資信託質問コーナーへ
ご質問等は、コチラのお問い合わせフォームをご利用ください



私が先進国債券に投資する意味はあるのでしょうか?

●2016年8月:おりん様(女性・30代)よりのご質問

前回の「マイナス金利で不利なので、貯金を外貨MMFに移してよいか?」について丁寧な回答ありがとうございました。定期預金=無リスク資産であると改めて理解しました。

今回の質問は先進国債券についてです。私の中では債券=安定資産だと思っています。リスクを低くするためアセットアロケーションも6割以上を債券で占めており、国内債券が5割近くで残り1割近くが先進国債券です。

新興国債券は安定資産としてはリスクが大きすぎるため安定資産として役割を果たせないと考え投資をしていません。安定資産として国内>先進国>新興国となり国内債券が一番の安定資産だと思っています。




分散投資という意味で先進国債券にも投資を行っていますが、先進国債券を安定資産として投資するのであれば全て国内債券に投資すればいいし、リターンを求めるならリスクを抱えて国内や先進国の株式に投資すればいいと考えると「先進国債券って新興国債券と同じように投資する意味ってあるのかな?」 という疑問に悩んでいます。

本来アセットアロケーションを考える段階でこのような疑問を持つべきだったと思うのですが、堀田様のご意見を聞きたいです。よろしくお願いします。


 


ご回答:資産の安定を望むのか、それとも分散効果を望むのかによって異なる

ご質問ありがとうございます。実はおりんさんのアセットアロケーションに1割だけ、先進国債券が組み入れられているのは、かねがね「なかなか粋な事だな」と思っておりました。

理屈上は、金利が高くても通貨で調整される

まず、先進国債券や新興国債券に投資する意味は無いと思われる点から説明します。新興国債券は金利が高いことから、より多くの利息収入を期待できます。

しかし、グローバルな金融の世界では、金利の高い国の通貨は売られる(円高になる)事によって、誰もが一方的にリターンを得られる状況が無くなる方向に調整が働きます。

となると、理屈上は日本国債券を保有していても外国債券を保有していても、通貨による調整の後の期待リターンはそれほど変わらないという事になります。


しかし、先進国債券のリスクはかなり高い

ところが、期待リターンに対して、先進国債券のリスク(価格の変動の大きさ)は、かなり大きいです。これは為替の影響をもろに受けるからです。株式やREITも含めて、どの程度の期待リターンとリスクがあるのか、まとめてあるブログ記事がありましたので、ご覧下さい。

株式・債券・REITの期待リターン、シャープレシオまとめ


国内債券と先進国債券のコストを差し引いた後の期待リターンがあまり変わらないのに対して、リスクは明らかに異なります。そのリスクを取って、低いリターンを得るのかと考えると、先進国債券に過大に投資するのは考えものです。

もしも先進国債券に安全資産としての役割を期待するのであれば、価格の変動があまりにも大きすぎるので、投資するとしても比率を落としておいた方が良いでしょう。

インデックス投資家の一部の人は、海外債券だけは為替ヘッジ付きにする人もおられます。為替ヘッジを付ける事で、リスクを大幅に抑える事が可能です。

この場合、為替ヘッジコストを考量すると、期待リターンは国内債券並みになりますので、それだったら素直に国内債券だけにするのも手です。

過去3年ほどの、国内債券ファンド(野村インデックスファンド・国内債券)と、先進国債券ファンド(野村インデックスファンド・外国債券・為替ヘッジ型)、新興国債券ファンド(野村インデックスファンド・新興国債券・為替ヘッジ型)のリターンの比較です。

次の項で、ヘッジ無しファンドの比較を掲載しておりますが、それに比べると大幅にリスクが減って、値動きがマイルドになっています。期待リターンは同程度でも、過去3年ほどでは外国債券のリターンの方が高く出ています。




分散効果を期待する場合は、ヘッジ無しで素直に投資する事になる


ただし、分散効果と言う観点で見た場合、先進国債券にも投資しておいた方が良いとも考えられます。下記は、上述した外国債券ファンドの為替ヘッジ無しの2つで比べたものです。野村インデックスファンド・外国債券野村インデックスファンド・新興国債券で比較しています。

それぞれ為替ヘッジを付けた時に比べて、上下の振れ幅が大きくなっているのが分かります。しかし為替ヘッジ付きが似たような値動きになっていてそれぞれの相関性が極めて高いのに対して、ヘッジ無しはそれが低くなっています。




したがって、国内外の債券に投資する事で、一定の分散効果を得ることはできるわけで、安全資産として強い期待を寄せるのではなく、あくまで分散効果を期待する場合は、それぞれに投資するのが良いといいう事になります。

今回、おりんさんの場合は、安全資産としての役割を期待しているわけですから、今のようにアセットアロケーションの1割程度に抑えて投資するのは、私はなかなか良いのではないかなと思います。

それでもどうしても気になるというのであれば、為替ヘッジ付きにしてやることで、期待リターンは下がりますが、一定の分散効果を得つつも、リスクを大幅に落とせます。





★この記事が参考になりましたら、ブックマークもしくはシェアをお願いいたします

ページトップへ戻る