「マイナス金利」以降の国内債券への投資を、どうしたら良いのか?

すでにインデックスファンドを用いた国際分散投資を実行中の方からのご質問です。この質問は悩ましいです。ご自身の投資スタイルによって、回答が異なるかと思います。


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日本債券をポートフォリオに加えられれなくなっています

2016年8月:KH様(男性・50代)よりのご質問

久しぶりにメールしています。ホームページのリニューアルもされたんですね。見やすくなってます。

ところで、ポートフォリオに加える債券の話なのですが、マイナス金利になってから日本債券がポートフォリオに加えられなくなっています。

国内債券への投資


先日までは黒田日銀が何かやるのではとさらにマイナスになっていましたが、もう価格のほうは下げてきていまして、現在マネーに置いておくようになっています。

考えられるのは米国の社債の投信で為替ヘッジをかけるか、日本の社債を投信で買うか、迷ってます。また投信の中に社債の投信がありません。今度日本の企業が海外で出した社債の投信がSBIから出るようですが、そのくらいしか思い浮かびません。

何か良い知恵がありましたら教えていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。


 


ご回答:正解は無い、個人的には為替ヘッジ付き先進国債券ファンドか定期預金

今まで通り購入し続けても良いし、売り払ってしまっても良い

ご質問、ありがとうございました。日銀のマイナス金利政策の導入は、多くの投資家にとって予想外の事で、インデックス投資家以外にも様々な波紋を広げています。

ご存知のように、債券ですから金利が下がると債券価格は上昇します。マイナス金利政策によって金利の下げっぷりが非常に目立つようになり、その分、本来値動きが非常に安定している事が「取り柄」だった債券価格が、顕著に値上がりしました。

SMT国内債券インデックス・オープンの基準価額の推移


上記、SMT国内債券インデックス・オープンの基準価額の推移です。2008年から年率0.14%の非常にマイルドな値動きをしていました(青い矢印)。

それに対してマイナス金利政策が発表された2016年1月以降、金利の急低下と共に債券価格はぶっ飛んで上昇して、この8か月間で4%近い上昇をしています。

この状況をどう考えるのか、個人投資家の投資スタイルによって、答えは変わってきます。インデックス投資と言っても、全く相場観を入れないで機械的にやっている人もいるでしょうし、ある程度、タイミングを見計らって対応している人もおられます。

KHさんがもしも完全ほったらかしで相場観を放棄するのであれば、今まで通り国内債券インデックスファンドを淡々と積み上げてゆけば良いでしょう。

債券価格が急上昇したからといって、それが暴落するとは限らず、むしろ日銀がマイナス金利政策をさらに深堀りすれば、もっと価格が上昇する可能性があるのです。一喜一憂から解放される投資をしていて、日銀の動向を気にするというのも変な話しです。

一方で、ある程度の相場観を取り入れたり、売買タイミングを完全には放棄しないタイプのインデックス投資家であれば、その人の相場観に合わせて国内債券ファンドを売り払ってしまうのも全くOKでしょう。

特に今回は、日銀によって明らかに市場が歪められていると判断した場合は、一時的にか将来的にかは分かりませんが、利確と言うよりも「撤収」と言う意味合いで、国内債券ファンドの売却を検討する投資家も多いと思います。


では「撤収」した後に、国内債券クラスはどうすれば良いのか

問題は、撤収した後の対応です。多くの投資家にとって、国内債券クラスは安全資産としての位置づけではないかと思います。だとしたら、KHさんのおっしゃるような社債への投資は選択肢から外れます。

日本の社債への投資であれば、存在価値のあるアクティブファンドとして認定できるDLIBJ公社債オープン(短期コース)も有って、関心が湧くと思いますが、社債への投資は株式への投資と同様の、個別銘柄のリスクが高まり、基準価額の変動も大きくなります。

国内債券クラスのごく一部に投資するならば良いでしょうが、国債の代わりに社債と言うのは飛躍しすぎではないでしょうか。実際に上記のファンドも、途中に個別銘柄の損切りによって基準価額が大きく下落する事態が発生しています。

米国の社債についても同様です。というか、為替ヘッジをお考えならば、素直に為替ヘッジ付きの先進国債券ファンドで良いのではないでしょうか?

為替ヘッジコストの分、海外債券ファンドとしての期待リターンは下がりますが、それでも国内債券ファンドに近い投資成果を得られます。過去数年しか見ていないので、より長期にはどうなるか分かりませんが、私がインデックス投資で国内債券クラスの代替にするのであれば、為替ヘッジ付きの先進国債券ファンドにする可能性が高いです。

国内外債券ファンドと為替ヘッジ付きの基準価額の推移


ただし私は個人的に最近、為替ヘッジ付きも意外と良いなと思っているだけであって、少々好き嫌いを出し過ぎているかもしれません。

為替ヘッジコストは、円高になればなるほど割高になります(円と対象通貨との間の需給関係でも変化します)。円高が進んでから急に為替ヘッジ付き外国債券を購入しても、思ったほどリターンが上がらなかったという事もあるかもしれません。

また、リーマンショック級の市場の大嵐が吹き荒れた際には、あり得ないくらいの為替ヘッジコストがかかります。実際に過去にはヘッジコストだけで5%ほどもかかっていたタイミングがあり、このような時には「何をやっても無駄」という状態になる事も想定しておいた方が良いでしょう。(結局、国内債券の方が良かったとなりかねません)

為替ヘッジコストの推移


管理人がネットでチラホラと見ている分には、国内債券ファンドの代替には、個人向け国債10年ものをセレクトしている人が多いように見受けられます。

もしも個人向け国債を選んだ場合は、「基準価額が変動しないファンド」みたいなものですから、他の資産クラスとは無相関になり、分散投資の一環として投資するのではなくて、完全に資産全体の「お守り」として投資する事になります

ただ、その場合であれば、確かに変動金利型というメリットはありますが、マイナス金利政策によって金利が下がることが前提で国内債券ファンドを切ったわけですから、変動金利型という部分に注目するのは、ちょっと意味が無いかなと思います。

元本保証の商品にしてしまうのであれば、たった0.05%しか金利の付かない個人向け国債などよりも、定期預金の方がはるかに金利が高くてメリットが大だと思いますから、個人的にはそちらの方が良いなと思いますね。

KHさんがお住いの福岡市ならば、朝銀西信用組合の福岡支店で、3年物0.7%という超絶に金利の高い金融機関がありますから、個人向け国債を買うよりも、はるかにメリットがあると思います。(北朝鮮系の金融機関というのがアレですが)

繰り返しになりますが、あくまで分散投資の一環として債券投資をするのであれば、株式と無相関の個人向け国債や定期預金に資金を回すのはイレギュラーな対応ですから、引き続き国内債券ファンドにこれまで同様に資金を回すか、どうしてもそれが気になるようならば為替ヘッジ付き先進国債券ファンドが選択肢です。





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