個人型idecoと企業型のどちらを使うべきなのか?
期間は短いものの、既に積み立て投資を始めている人から、iDeCo・確定拠出年金に関するご相談です。この制度は国家が用意するものとしては珍しく素晴らしい制度なので、存分に活用したいところですね。
個人型と企業型、どちらにしようか思い悩んでおります
●2017年4月:ゆきやなぎ様(男性・年代不明)からのご質問 個人型idecoと企業型idecoの選択について 2017年のQ&Aで、同じ三井住友信託銀行のidecoについて質問されている方がおられましたが、今回も類似の質問をさせてください。 現在、会社で企業型idecoの申込みを検討しております。2017年1月から個人型にも加入できるようになりましたが、今の会社には個人型と企業型の併用制度が整っておらず、どちらにしようか思い悩んでおります。 ![]() 個人型であれば、企業年金があるため、年間14.4万円のラインになります。資産運用は30才を超えた(年収は700万円強ぐらい)こともあり昨年からスタートし、現在はまだ年間30万円ぐらいを世界経済インデックスファンドに、投資している程度です。勉強はしておりますが、どちらを選択すればいいのかご助言をいただけないでしょうか。 ■会社の企業型ideco ・三井住友信託銀行 ・年間最大20万円を会社から拠出 ・マッチング拠出の制度はなし ・個人型と企業型の併用はまだ制度が整っておらず不可 商品は以下のようなものがあります。 ■元本確保型商品 ・三井住友信託DC変動定期5年 ・三菱東京UFJ確定拠出年金専用5年定期預金 ・ニッセイ利率保障年金(5年保証、日々設定) ・ニッセイ利率保障年金(10年保証、日々設定) ・三井住友海上・積立傷害保険(5年) ■インデックスファンド ・DCダイワ日本株式インデックス(0.27%) ・DC日本債券インデックスオープンS(0.1728%) ・ステート・ストリートDC外国株式インデックス・オープン(1.026%) ・DCダイワ外国債券インデックスオープン(0.2484%) ・DCマイセレクション25(0.2808%) ・DCマイセレクション50(0.3132%) ・DCマイセレクション75(0.3456%) ・DCターゲットイヤーファンド2015(0.2268%) ・DCターゲットイヤーファンド2025(0.4644%) ・DCターゲットイヤーファンド2035(0.4644%) ・DCターゲットイヤーファンド2045(0.4644%) ■アクティブファンド ・シュローダーDCアクティブ日本株式(1.5444%) ・大和住銀DC日本株式ファンド(1.188%) ・DCグッドカンパニー(1.5336%) ・大和住銀DC海外アクティブファンド(1.7496%) |
ご回答:現状は、企業型のみが利用可能です
ご質問、ありがとうございました。「昨年から世界経済インデックスファンドに投資している程度です」、と書かれておりますが、投資はわずかでもやるかやらないかで、全く別世界が見えてくるものです。おそらく「なるほど、投資の値動きとは、こんな感じなのか。」と体感として既に分かるようになりつつあることで、今回iDeCoにもすんなりと入っていけているのではないでしょうか。
さて、お便りでは「併用」と書かれている点、おさらいですが記しますと、2種類に分けられます。まず普通に併用と思われるのが、マッチング拠出の制度です。
これは、企業型確定拠出年金において、個人も掛け金を拠出できる仕組みです。マッチング拠出の最大のメリットは、拠出時の節税が可能になる事です。
マッチング拠出の掛け金は、事業主の掛け金と従業員の掛け金の合計が、法定上限の2万7500円以下となり、更に従業員の掛け金が事業主の掛け金を超えない事、が条件です。
マッチング拠出の制度がある場合は、個人型iDeCoは利用できません。まずはお勤めの会社においてマッチング拠出の制度が有るか無いかの確認をしましょう。
次に、会社にマッチング拠出の制度が無くて、更に会社が社内の規約に企業型確定拠出年金の上限などを定めている場合においてのみ、個人型iDeCoを「併用」して利用できます。
社内の規約は、その会社の年金制度によって変わりますので、やはりお勤めの会社に確認を入れることがまず最初の行動になります。
仮に個人型iDeCoを「併用」することができる場合は、月額2万円か、1万2000円のいずれかになります。

さて、ゆきやなぎさまのケースですが、マッチング拠出も個人型と企業型の併用も制度が無いとすれば、いずれにしても企業型確定拠出年金を利用する以外の選択肢はありません。個人型iDeCoのみを利用する事は出来ません。
となると、「どちらにするか悩む」という悩み自体が存在しない事になり、問答無用で現状の三井住友信託銀行のラインナップを利用することになります。
この場合、低コストのインデックスファンドを使いたいところですが、肝心の先進国株式がコスト1%強のステート・ストリートDC外国株式インデックス・オープンしかない事が最大の問題点ですね。
毎月の掛け金がどの程度なのかによって変わりますが、企業型確定拠出年金と通常の証券口座を合算してアセットアロケーションを考えて、確定拠出年金口座においてはDCダイワ日本株式インデックスのみを利用し、残りは通常の口座で管理していくのが現実的かもしれません。
企業型確定拠出年金を使うのが確定的なのですから、現状の世界経済インデックスファンドへの積立も見直していただいて、トータルとしてのアセットアロケーションを考えてみましょう。
⇒参考:企業型確定拠出年金の規約の悩ましい問題
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