新興国債券投資や、NISA口座の活用などについて

将来の資産形成を目的にご夫婦で投資を始めたいとの事で、ご相談をいただきました。投資だけでなく、貯金も同額程度行うようで、その堅実な姿勢に感心します。



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NISA口座で積み立て投資を始めたいと思っています

2017年4月:サブ様(女性・年代不明)からのご質問

はじめまして。積立投資について調べていたところ、こちらのサイトに辿りつきました。大変わかりやすく有益な情報をありがとうございます。

勤め先の会社で企業型確定拠出年金を導入しており、色々調べていくうちに積立投資信託に興味を持ち、自分なりに運用を考えてみました。毎月の投資額は8万円を想定しています。

投資に関しては初心者なので、まずはオススメにも挙げていただいている、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドをメインとして毎月5万円を私のNISA口座で積立し、残りの3万円は国内・新興国の株式・債券を夫のNISA口座で積立、というプランを考えています。

組み合わせると下記のようなアセットアロケーションになりました。

・国内株式 12%
・先進国株式 25%
・新興国株式 20%
・国内債券 17%
・先進国債券 26%



先進国の割合がかなり高いセゾンから、国内と新興国の割合を少し増やしたいという夫の意見でこのような配分になったのですが、新興国株式だけではなく新興国債券も入れた方が良いでしょうか?

投資とは別に安全資産として同額程度を定期などで預金するので、リスクは少々高めでも良いのかなと思っています。

また、来年より積立NISAが始まるとのことですが、こちらを待って始めた方が良いのでしょうか? その場合は年間投資額オーバーでセゾンに5万円は積立できなくなるので、 バランスは変わってくるかと思いますが・・・。

投資の目的は、住宅購入・教育資金(5~10年後)と将来に備えての貯蓄(20~30年後)ですが、 夫も個人型確定拠出年金に入っているので、まずは住宅・教育の方をメインとして運用を考えています。

例えば、5万円を現行NISA口座(私)・3万円を積立NISA口座(夫)のような使い分けで投資を始めてみて、現行NISAが終了した時に配分をし直すのでも良いのかな?とも思いますが、どうでしょうか?

積立目的だと現行よりも積立NISAの方が良いという記事をよく目にするので、 私達のような目的の場合は何が良いのかわからなくなってきました・・・。長々とした質問で申し訳ありませんが、アドバイスをいただけると幸いです。 よろしくお願いいたします。



 


ご回答:リスクについて再認識していただいたうえで、投資を行ってくださいね

サブ様、お便りいただきまして、ありがとうございました。定期預金で無リスク資産をしっかりと確保して、それとは別に余裕資金で投資も行うとの事で、長期でこの両輪を回していくと、30年後にはかなりの資産が積みあがりますね!




さてご質問の件、以下の通り、順々にご回答させていただきます。今回ご質問の話には、とりわけ「正解」は無く、ご自身で納得され、あるいは割り切ってやって頂くようなことになりますので、その点はご承知くださいね。


新興国債券について

新興国債券への投資は、一定程度の資産の分散効果を期待するのであれば、一部を組み入れても良いでしょう。

ただし、新興国債券の金利が高いと言っても、それをそっくり「貰う」となると、お金の「タダ乗り」になりますから、そうは問屋が卸しません。金利の高い分、為替変動によってプラスマイナスゼロの状態に調整され、理屈上は日本の国債や先進国債券に投資しているのと、長期的にはリターンは大きく変わらないものと考えられます。

参考南アフリカ・ランド建て債券に関する相談


長期的にリターンが大して変わらないにもかかわらず、日ごろの値動き(リスク)は株式投資並みに大きな変動があります。下記、それぞれの債券インデックスファンドの過去3年間のチャートをご覧ください。

SMT国内債券インデックス・オープン
SMTグローバル債券インデックス・オープン
SMT新興国債券インデックス・オープン




3年スパンは長期投資から見るとほんの短い期間には過ぎませんが、結果的に国内債券に投資するのと大差がない(というか逆にリターンが少ない)結果になっています。その割に、新興国債券の価格の振れ幅が大きい点も、見ておく必要があります。

一般的に、リスクなど不用意に取る必要はありませんから、インデックス投資においては、新興国債券クラスの組み入れは特段の必要性は無いかな、と考えています。

もっとも、リスク耐性の強い人であれば、価格変動の大きな資産クラスこそ、積み立て投資の効果が得やすい(下落した時に口数を大幅に増やせる)と考えて、あえてリスクの高い新興国債券を組み入れるという選択肢もあるでしょう。

いずれにせよ、多少の組み入れをしてもしなくても、そうそう資産全体に及ぼす影響は小さいので、投資家の好みの問題もありますから、納得される範囲で対応すれば良いです。


NISA枠での投資について

NISAについては、毎年、現行のNISAか積み立てNISAか、どちらの仕組みを使うのか選べるようになるとの事ですので、であれば複利効果を得るには極力早い段階で投資を始めるのが良い訳ですから、現行のNISAから投資を開始するほうが良いですね。

また、早く始めることで、投資における日々の価格変動がどのようなものなのかの理解も、早くに得られます。

どうせタイミングを読まないインデックス投資なので、「早く始めて高値掴み」とか「早く始めないと相場の底を逃す」とか関係は無く、「思い立ったが吉日」なのです。

積み立てならば積み立てNISAのほうが良いというのは、制度として積み立てNISAのほうが中途半端ではない、という点にあります。

利益が出た時の非課税期間が、現行のNISAでは5年間なのに対し、積み立てNISAは20年ですから、これだけ時間をかければ、まずほとんどのケースで利益は出るだろう、との考えになります。

参考モーニングスターのiDeCoセミナー出席体験談にこの辺りの話が出ます


5年では、相場のタイミングによっては利益を出すのが難しいので、節税メリットを活かせないケースも出てくるでしょうから、だったら積み立てNISAのほうが良いよね、となります。

ただし、私たちとしては老後の資産形成などが主目的なので、5年スパンで利益が出ようが出まいが、そんな短い期間で投資が終わるわけではありません。

現行NISAで投資を始めて、非課税期間が終了しても保有を続けて、老後に高い確率で利益が出た時に取り崩しを行う訳ですから、その視点で見ると、積み立てNISAを待って積み立て投資を始めるというのは、あまり意味があるとは言えない、という事になります。

なお、住宅や教育資金目的で投資する場合、5年~10年程度では、必ずしも利益が出て「ハッピーな取り崩し」が出来るとは限りませんので、その点は注意してください。




投資は貯金とは異なり、元本を大きく割るリスクもあります。だからこそリターンも有るのですが、ちょうど住宅資金を取り崩そうという時にリーマンショック級の大暴落に見舞われたら、元本は半分程度になる可能性だって十分にあります。(もっと待てば回復するでしょうが)

今のように数年にわたって相場が絶好調の時に、初めて投資の門をくぐる人は、「投資をやれば大概が儲かる」と過信している人も多数いらっしゃるように思えます。

投資の世界は5年~10年スパンで、「自分の人生も終わったな」と思えるほどの大暴落が繰り返し発生するような世界です。

インデックス投資は大暴落でも相場から逃げない投資法なので、ある意味「荒波の被害を最も被る」投資法でもあります。(荒波を潜り抜ければ、その後は利益を享受できると信じるからこそ、投資をやめないのですね)

したがって個人的には、住宅資金や学資目当てに、投資を「全面的に信用する」という事だけは、避けたほうが無難ではないかと、この点は少し心配していることだけは、申し上げておきたいと思います。





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