ダイワ印伯中・国家基盤関連株ファンド(未来のデッサン)の評価など

今回は、お父様が残してくれた遺産としての投資信託をどう処分するか、という質問になります。遺産など残せない人もたくさんおられる(と思う)中、それを残してくれたことに感謝をしつつ、引き継いだ人に合わせて、それをどうしていくべきか、しっかりと考えたいですね。

遺産として引き継いだ投資信託


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未来のデッサンについてお聞きしたいと思います

2017年4月:ねこプリン様(女性・年代不明)からのご質問

初めまして。貴殿のサイトを偶然拝見させて頂きました。

2年前に余裕資金で投資をしていた父を亡くし、投資の相続は全て母になりました。母は投資は全て父に任せていたため、運用することが出来ずに放置しております。

証券会社も複数に渡っており、まだ名義書き換え出来ていないものもあります。父の投資信託の意向は全く把握しておらず、そのままにしていて負債を抱えたら非常に困る状態です。

未だに父の名義のままで保有している投資信託があり、その中で大和証券で保有している「未来のデッサン」についてお聞きしたいと思います。

当初から分配金が全くないまま推移しており、信託報酬も高く、投資としてはマイナスに転じています。このまま満期まで保有していて良いものなのか、ある程度で見切りをつけて損切りしたほうが良いのか、ご教示願えたら幸いです。よろしくお願い致します。



 


ご回答:「責任をもって投資できない」投資は、決してやってはならない

「未来のデッサン」は、典型的な「ボッタクリ投資信託」です

ねこプリン様、お便りいただきまして、ありがとうございました。資産を継承する形になってからおよそ2年余り、ようやくそういった気持ちになってきたところなのかもしれませんね。

今回は十分にその心情を理解しつつも、ごくごく一般的なご回答をいたします。耳障りな点があると思いますが、ねこプリン様お一人にというよりは、世の中全体に回答している側面が強いと思っていただいて、何卒ご容赦くださいませ。

ダイワ印伯中・国家基盤関連株ファンド(未来のデッサン)


さて、ご質問の「ダイワ印伯中・国家基盤関連株ファンド(未来のデッサン)」に関しての回答から、差し上げましょうか。

ファンド名に「印伯中」と記されている通り、このファンドはインド・ブラジル・中国の3か国に均等割合で集中投資するものです。基本的な情報は、次の通りです。


信託報酬(税抜):年率1.68%信託財産留保額は無し)
決算:年2回(毎年1月28日および7月28日)。過去、無分配で運用しています。
信託期間:平成22年1月29日~平成32年1月28日
資産配分比率:インド、ブラジル、中国の、インフラ関連企業の株式に均等割合で投資。ダイワ印伯中・国家基盤関連株ファンド(未来のデッサン)の資産配分


どこまで運用報告書や目論見書をお読みになって、勉強されたのかは分かりませんが、信託報酬が高いという点は、その通りですね。

おすすめのインデックスファンドのページを見ていただく通り、現在は0.5%未満のコストのものが普通に買える時代ですから、それを考えると、異様に高いコストになります。

信託期間は10年間なので、もしもこのファンドに10年間投資していたら、累計で何と16.8%もの多額の費用が元本からそぎ落とされる事になり、投資家にとっては著しく不利です。逆に証券会社は無リスクでこの分を手に入れることができますから、美味しい投資信託です。

本ファンドはアクティブファンドなので、仮に高いコストを支払っていたとしても、運用目標に対して超過リターンを得ていれば、まあ目くじら立てる必要はありません。おすすめアクティブファンドのページには、そんな数少ないファンドが一覧でご覧いただけます。

ところがダイワ印伯中・国家基盤関連株ファンド(未来のデッサン)は、そもそも運用目標であるベンチマークが存在しません。これって、そのファンドが優秀なのかダメなのか、投資家が全く判断できないという点で、失格ファンドと言えます。

ベンチマークが無いのは、いい加減な運用成績を見せたくないからだと邪推したくなります。今回のファンドはインド・ブラジル・中国に投資するものですから、その3か国の株式市場の合成ベンチマークを作るべきですが、そんな事はしていません。

また、たった3か国に集中投資するわけですから、せめて新興国株全体に分散投資をした場合よりも高いリターンを得ていないと、全く意味の無いことになります。集中投資するぶんハイリスクになるのに、リターンが低かったら無意味です。

では、果たしてその結果はどうなっているのか。MSCIエマージング・マーケット・インデックスをベンチマークとする、新興国株式インデックスファンド、「eMAXIS 新興国株式インデックス(信託報酬0.6%)」あたりと比べてみましょうか。

ダイワ印伯中・国家基盤関連株ファンド(未来のデッサン)と、eMAXIS新興国株式インデックスとのリターン比較


結果は、期間が長くなるほど未来のデッサンの運用成績のダメさ加減が目立ちます。コストを倍以上取っておきながらインデックスファンドに大負けするのですから、まさにこのような商品の事を、世の中では「ボッタクリ」と表現します

(ちなみにこの投資信託は合法のものですのでボッタクリと言っていますが、もしも非合法の商品ならば、これは「詐欺」と表現します。)

なお、分配金が無いとおっしゃっていますが、投資家の投資スタイルや投資方針によって、分配金を受け取るか、あるいは無しのものを選ぶかが決まります。分配金が無いことが問題なわけではありません。

(この手のボッタクリ投資信託の場合、分配金が出るタイプは、より「ボッタクリ度」が高くなります。無分配を続けているファンドであることは、不幸中の幸いと言えましょう。)

お父様がどのような目的でダイワ印伯中・国家基盤関連株ファンド(未来のデッサン)なる投資信託を購入したのかは全く想像付きませんが、普通に考えると、持っていてはならない投資信託と言えます。


何もせずに投資で利益を得たいという考えは、虫が良すぎます

別の観点からも、ダイワ印伯中・国家基盤関連株ファンド(未来のデッサン)を保有しているのは変だな、という事を書きます。

ねこプリン様は、この投資信託の終わりの事を「満期」と表現しています。しかし、満期などという言葉は、生命保険のように元本確保型商品の場合に限って使う言葉であって、投資信託は全くそれとは別になりますので、注意しましょう。

今回のダイワ印伯中・国家基盤関連株ファンド(未来のデッサン)の運用期間は、平成32年1月28日までです。満期ではなくて、信託期間と言います。

信託期間は、投資家にとってメリットがあると判断された場合は延長される事もありますし、逆に純資産が著しく減った場合は、突然打ち切られ、繰り上げ償還される事もあります。

つまり、「満期」などはいつ到来するか分かりませんから、「それを待って解約すればよいのか?」という質問自体が成り立ちません。

投資の止め時


投資している商品の「止め時」は、いくつかの考え方がありましょうが、今回のケースでは、「そもそも投資している意味が皆無になった」事例であり、さらには後継者に投資の知識がゼロなのであれば、損得抜きで直ちに投資から撤収するのが適切でしょう

当サイト管理人がやっているような不動産投資の場合は、無知な後継者が不動産を引き継いだ場合、相対取引の不動産物件は著しく不利な価格に叩かれて売却せざるを得なくなるのに対して、投資信託のような金融商品は市場価格が公平ですから、引き継いだ人が資産の整理整頓をするのに、大変やりやすい仕組みであり、ラッキーだったと思うべきでしょう。

売却するコツは、とにかく損得抜きで売ることに限ります。そもそも引き継いだ人にとっては、何もなかったところから財産が出てくるわけで、それだけで極めて「お得」であり、プラスのリターンだと考えることができます。

それを、「いつ売れば損しないか?」「いつ売れば一番儲かるか?」と考えてしまうのが、投資における大失敗への近道であり、不勉強な投資家ほど、この過ちを犯します。

投資で常に考えなくてはならないのは、リスク管理の点です。投資で増やすには時間を要しますが、無くなるときはあっという間です。もしも北朝鮮戦争でも起きたら、いったいどうするつもりなのでしょうか。

今後も投資を続けたいのであれば、いったんすべての投資を手じまって話をゼロベースにして、そこからまずは一にも二にも投資の勉強をしていただいて、相当程度理解を深めたのちに、再度小額から試してみることをお勧めします。

せっかくお父様が残してくれたありがたい遺産を、後継者が傷つけてはなりません。遺産が減らないような対処をしたうえで、今後の事をじっくりと考えてみてはいかがでしょうか





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