長期投資の投資信託は、銘柄ではなくてアセットアロケーションで選ぶ

今回のお話は、慣れてしまえばこんなモンはちっとも難しくもなんともないのですが、初心者から見ると恐ろしく難解に感じるお話しです。でも大丈夫、ほとんどの投資家が、最初は同じ間違いをしていたのですから! では、じっくりとお読みください。

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今までは銘柄で選んでいたので、バランスを取って分散させました

2017年9月:りんご様(女性・30代)からのご質問

いつもこちらで勉強させていただいております。2年前よりNISA、去年よりiDeCoも活用して投信の積み立てをしてきました。

最近になり、アセットアロケーションという言葉を知りました。今までは銘柄で選んでいて、バランスが悪く、かなり危険なアセットアロケーションを取っていたと、こちらで勉強させていただき、反省をいたしました。




これまで積み立ててきたバランス型の投信を中心に以下のようなアロケーションを考えてみました。いずれも楽天証券さんです。

●iDeco:23000円

資産形成の達人 44%
たわら先進国株 20%
たわら国内株 36%


●NISA:42000円

eMAXIS slimバランス 30160円
eMAXIS slim新興国株 9750円
eMAXIS slim先進国債券 1105円
eMAXIS slim国内債券 1105円
iFree新興国債券インデ 2210円


ここで質問があります。資産形成の達人はアクティブファンドなのでインデックスのアセットアロケーションには含めない方が良いのでしょうか。信託報酬が高めなので1万まで、またこの投信は先進国が多めだったので、このようなバランスにしました。

あとeMAXISバランスはこれまでずっと積み立ててきたので(途中からeMAXISslimバランスの方に乗り換え)、こちらのファンドを中心にと思ったのですが、結局たくさんの投信に投資することになり、分散させすぎではないか、ちゃんと増えるのかなと不安になっております。

またこれまでバランスを考慮していなかったため、国内の個別株をもっていることもあり、現在アンバランスな状態です。

スポット購入でバランスを正していくつもりなのですが、購入していく予定の投信託をたくさん一度に購入してリバランスしたほうが良いのか、それとも時間を掛けて少しずつリバランス取っていくのでも良いのか、アドバイスをいただきたいと思います。

お時間あるときに、ご返答いただけたら幸いです。



ご回答:勘違いがあり、アセットアロケーションを最初から見直しましょう

アセットアロケーションとは、「銘柄をどのくらい買うか」ではありません

ご質問、ありがとうございます。2年前から積み立て投資を開始されて、なおかつ月間の積立金額が6万5000円にもなるとは!凄いですね!! りんご様は、かなり家計管理に長けていらっしゃるとお見受けしました。普通は、そんな事はできません。素晴らしい。

今回のご質問は、早くに気が付いて良かったと思います。というのも、まだアセットアロケーションに関して勘違いされておられるからです。

例えば、iDeCo口座で積み立てしている3つの投資信託。たわら先進国株は先進国だけに投資して、たわら国内株は日本株だけに投資するものですから、ここは特に勘違いはしないとして、問題は資産形成の達人ファンドです。

資産形成の達人ファンドの中身を、良くご覧になってから投資されていらっしゃいますでしょうか? まず、こちらで中身をご覧ください。(⇒セゾン資産形成の達人ファンドの評価

このファンドそのものは、アセットアロケーションでもなんでもありません。単なる銘柄になります。そうではなくて、このファンドに投資すると、そのお金はどんな資産にどのくらいの割合で投資される事になるのか、そこがポイントです。

アセットアロケーションは、どの銘柄を何割保有するという事では、全くありませんので、注意してください。NISA口座におけるeMAXIS slimバランスも、同様です。


アセットアロケーションは、「資産クラスごとの配分比率」です

ではアセットアロケーションとは何かと言えば、資産クラスごとの配分比率の事です。詳しくは、アセットアロケーションの作り方のページをご覧ください。この通りにやっていけば、アセットアロケーションを構築することができます。

日本株、先進国株、新興国株、日本債券、先進国債券、新興国債券、日本REIT、外国REITの8つの資産クラスに分けて、それらに何割の割合で投資をするのか決めることが、アセットアロケーションです。

バランスファンドを保有しているのであれば、その中に上記の資産クラスが所定の割合で含まれますので、それを分解して、個別の資産クラスのファンドと合算する必要があります。

eMAXIS slimバランスを買った上で、いくら追加でeMAXIS slim新興国株やら、eMAXIS slim先進国債券やら、eMAXIS slim国内債券やら、iFree新興国債券インデやらを買ったところで、分散化が進んでいる訳ではありません。


なおかつ全ての投資信託を合算して、アセットアロケーションとなります

なおかつ、iDeCoのアセットアロケーションとNISAのアセットアロケーションが別々という事はあり得ません。1人1つのアセットアロケーションになる事が基本ですから、iDeCoとNISAを合算して、先進国株式は何割、日本株式は何割、と決めなくてはなりません。

個別株で保有している日本株も、アセットアロケーションに含めます。資産クラスは、文字通り日本株式です。これらの作業をやらないと、リスクが全く分からなくなります。

アセットアロケーションがきちんと出来上がると、その資産配分比率でおおよそ将来はどの程度、お金が増える可能性が有るのか、または暴落でどの程度の資金の減少が有り得るのか、数字で認識できるようになります。

「今までは銘柄で選んでいて、かなり危険なアセットアロケーションに」と書いておられますが、何を根拠に危険だと判断したのでしょうか。

私がパッと見で、りんごさまの性格も家族構成も貯蓄の有無なども、一切の情報を存じ上げない中で勝手に感想を書かせていただくと、今の「アセットアロケーション」とおっしゃられている資産配分比率も、十二分に「危険」だと思います。


(例えるならば、こんな感じでです。エンジンだけでブレーキの無い乗り物。・・・NISAではなくてNASAですね。)


補足ですが、投資においてはリスクとは「危険」ではありません。投資では「リスク=価格のばらつきの大きさ」の事を言います。価格変動が大きいものを、「リスクが高い」と称します。その意味からすると、りんごさまの保有しているファンドの大半は、リスクが高いものばかりという事になります。

もう1点補足。リバランスは、アセットアロケーションが出来て、初めてリバランスを実行することができます。現在の(アセットアロケーションではなくて)単なる複数銘柄群を整理整頓して、理想の資産配分比率が出来上がってから1年~数年後の作業になります。


どれだけ儲かるのかではなくて、最悪のリスクを想定して考えよう

最近は世界的に景気が絶好調ですから、投資をすれば誰でも儲かるという風潮が随分と強くなっており、私からするとその風潮こそが、極めて「危険」だなと感じます。

リーマンショック級の大暴落がやってきた場合、日本株や先進国株などは半値になりますし、新興国株は半値以下の6割もの元本が失われます。(⇒投資信託とは何か?のページの下の方の表の、2008年の数値を確認してみてください)

普通の人は、命の次に大切なお金が一気に半値レベルになって吹き飛んだら、精神的動揺は半端なものではなく、日常生活など平常心では送れなくなります。仮に1000万円あったら、目の前でみるみるうちに半分に減るのですから、メンタルがやられます・苦笑。

そして、最もやってはいけない、「高い時に買って安い時に売る」という、愚かな中にも愚かすぎる行動を取って、金融市場から逃げ出す事になります。(積み立て投資は、暴落を乗り越えると利益が乗るのですが、ほとんどの人はそれに耐えられないのです。)

りんごさん、今後、10年20年と積み立てているうちに、絶対に必ず、「こんなはずではなかった」と心底恐怖するくらいの暴落は起きます。

私たちがやらなくてはならないのは、その暴落の時にどのくらい一時的に資金が減るのか、つまりその「変動の大きさ=リスク」を「見える化」してやることです。この事こそが、投資の肝になります。

おおよそのリスクを計算したら、その数字を前にしてそっと目を閉じて、「最悪の暴落が起こったら私はそれをやり過ごす事ができるのか」と極力イメージして頂いて、大丈夫そうだなと感じたら投資をして、無理そうかなと思ったら安全資産の割合を増やしてリスクを減らす方向で、再度、資産配分比率を見直してみてください。


その他、投資信託のコストについて

最後に、アセットアロケーションの話しと別になりますが、コストの話しを。今回、セゾン資産形成の達人ファンドの積み立てもしておられますよね。しかし、この投資信託のコストは高すぎると考えます。

アクティファンドとしてはお勧めしても良い優秀なものではありますが、iDeCoで今後20年以上も投資するとしたら、信託報酬1.35%はあまりにも高すぎます。

1.35%が20年累積すると、なんと27%ものコストが、りんごさまの投資元本を傷つけてしまいます(30年だったら4割もが、元本から削り取られていきます)。

「元本を割る方向に強力に働くコスト」を上回るリターンを、今後も20年30年と継続して上げられるのかどうか、まさに神のみぞ知る世界です。リスクなどはある程度計算できますが、アクティファンドが将来もリターンを出せるのかは、全く計算ができません。

したがって、セゾンのファンドにどうしても投資したいという「何らかの意味」が無いのであれば、長期投資にはコストを極限まで削減したファンドを選ぶのが基本になります。今後、アセットアロケーションを見直す際に、その点も考えて頂くと良いでしょう。

(何らかの意味とは、「理念に共感した」とか、「意味も無く純粋に好き」とかです。アクティファンドだからダメという事はありませんが、コストが多大なので、投資をするにしても一部にとどめておく事が無難だと考えます。)

もしもアセットアロケーションを作るのがどうしてもできない、あるいはめんどくさすぎると感じた場合は バランス型投資信託を1本ないしな2本程度選び、それを積み立てし続けるというのも手です。

参考アセットアロケーションの決め方の具体例必ずお読みください
参考投資信託のリスクとリターンを具体的にチェック必ずお読みください


インデックス投資の本も、最低1冊は、目を通しておいてください

今回回答させていただいている事は、本来は非常に簡単な事なのですが、本ページのように限られたスペースで説明するのは、けっこう難しいです。

この投資はインデックス投資と言われているやり方で、実は本ページでやっている事(つまり資産配分を決める事)を過ぎてしまえば、こんなに「楽」に資産が積みあがる方法は他にはほとんど無いに等しいので、慣れてしまえば超楽しいです。

積み立てている資産が値上がりして利益になれば大喜びですし、大暴落があればその時こそ着実に積み立てを実行して口数(くちすう)=買い付け量の事、をどんどん増やしていって、その後の価格の回復の時に損失が急減して利益が急回復してくるのを目にする事ができます。

要は、儲かっても損しても、どっちに転んでも美味しい投資なのがインデックス投資であり、それが分かると楽しい以外の言葉はありません。放置していても勝手に資産が増え、その間は好きな趣味でもやっていれば良い訳で、なおさら楽しい投資と言えます。

が、そんな楽しい投資のイロハは、最低でも本で読んで知識を頭に(ある程度)入れておいたほうが良いでしょう。貯金は勉強などしなくても誰でもできますが、投資はどんなものであれ、一定の勉強は必ず必要になります。


一番やさしい! 一番くわしい! はじめての「投資信託」入門


上記、竹川美奈子さんの初心者向けの本を、一度読まれる事をお勧めします。その上でアセットアロケーションなどを考えると、より理解が深まると思います。

参考投資信託のお勧めの本一覧



追記:お返事を頂きました

先日質問させていただいた者です。 お忙しい中、早速の回答ありがとうございました。投資に対する姿勢について、そして具体的、かつ丁寧なアドバイスをご教授いただきありがとうございました。正に自分が「このままで良いのだろうか」と不安だった点を指摘していただいたので目から鱗でした。

アセットアロケーションについて、勉強不足ゆえ説明不足でした。失礼いたしました。 私が考えたアセットアロケーションは

・先進国株 20%
・日本株 20%
・新興国株23%
・先進国債券7.5%
・日本株債券7.5%
・新興国債券9.2%
・先進国リート5.8%
・日本リート5.8%



です。インドネシアなどの東南アジア、トルコなどの新興国に旅した経験から、今後の成長を期待して、新興国を多めにしています。

銘柄選びではない資産配分


また、まだ30代だから株式多め、50代ぐらいから債券の割合を高めていけば良いかな、と安易に考えておりましたが、堀田様よりエンジンだけでブレーキのないロケットとの指摘いただいたので、勉強して再考してみようと思います。

(けれど私自身の性格が正にそれ(ブレーキのないロケット)なので笑ってしまいました。結婚出産し今は夫と娘が私のブレーキです)

セゾンの資産形成の達人ファンドは投資先が頻繁に変わる、また手数料が高いので、インデックスの積み立てと別に考えた方が良いのか、と疑問に思い質問させていただきました。

しかし、堀田様より「20年で27%、30年で40%がコストで消える」という具体的な数字を示していただき、私がやりたい積み立て投資とは違うとハッキリしました。信託報酬が高いなと思いつつ、インデックスを上回るなら、と買い続けてきましたが少し見直してみようと思います。

また「どれだけ儲かる」ではなく、「大暴落時に資金の減り具合にどのくらい耐えられるか」という視点が自分の中で曖昧だったと分かりました。

「分散=負けないために」と考えていましたが、「分散=精神的に耐えられるリスクに抑えるために」なのですね。 20代後半は貯金に励み、定期預金にまとまったお金が貯まったので、30代に入り今度は投資にチャレンジだ!とりあえずやってみよう!と仕事と子育ての合間に、ネットの情報を頼りに、手探りでこれまでやってきました。

しかし、それが偏った情報を頼りにやっていたことだと、「本を読んで勉強してください」と堀田様よりご指摘いただき、反省いたしました。本当に勉強不足でした。具体的にオススメの本も提示していただいたので、早速読んで、活かしたいと思います。

本当に今回は思い切って投稿して良かったです。得たものは想像以上でした。本当にありがとうございました。また冒頭で「よくやりくりしている」とお褒めの言葉をいただき、嬉しかったです。

節約にやりくりに、貯金、投資と、自分で自分と家族の為にやってはいるものの、やはり根気が要るものなので、「よくやっている」と堀田様からの意外な言葉に肩の力が抜け、素直に嬉しく、また夢に向かって頑張ろう、と励みになりました。

この度は本当にありがとうございました。勉強します。



りんごさま、ご丁寧なお返事、恐縮でございます。

旅をしたご経験からアセットアロケーションに新興国を一定程度入れるというのは、良い事だと思います。無味乾燥になりがちな投資です、少しはロマンがあっても良いですからね。

株式への投資比率に関しては、30代から50代に移り変わる中で、少しずつ(あるいは定期的に)資産配分比率を変化させる計画がきちんとあるならば、現状のリスクが高めの資産配分でも問題はないと思います。

ただし、「リスクが高め=今暴落が襲ってきたら一時的に半値になる事は覚悟しておく」という事ですから、将来的には半値になったものが戻るにしても、それはどうしても嫌だと感じるのであれば、安全資産の比率を高めたほうが良いでしょう。

(あるいは、アセットアロケーションはこのままにしておいて、これとは別に用意する無リスク資産=現金の比率を高めておくという手もあります。家庭内の資産トータルで、暴落への耐性を高めてやります。)

分散投資と言うのは、リスクを低減させるためにあります。もちろんそれによって、いわゆる株式投資に成功した人のように、一挙に大きな資金を手にする事を放棄する事でもあります。

ただし、分散投資をする事で不用意なリスクを減らす事は出来ますが、元本割れしないという意味ではありません。したがって、そういう意味での「負けない」という事ではありません。

ブレの大きさ=リスクですから、大きすぎるブレが無いようにコントロールするのが、分散投資の肝なのです。そして、コントロールできる=精神的にも安心、となる筈です。(コントロールできても、暴落は阻止できないので、そこは間違わないようにして下さい)

投資の成功


それにしても、ここまで考えることができたら、投資は7割8割程度、成功したも同然だと思います。あとは継続する事ができるか、ひたすらそこが大事です。

最初にご連絡をいただいた時も「よくやっている」とすぐさま感じましたけれども、想像以上です。りんごさまのような方がいらっしゃると、ご家族は本当に幸せだと思います。これからもぜひ、投資を通じて更に人生が楽しくなると良いなあと思いました(^^♪





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