投資するうえで、リスクとリターンのバランスが取れているのかどうか

今後、老後の資金作りのために積み立て投資を行っていきたいとお考えの、主婦の方からご質問をいただきました。リスクとリターンについてです。投資の初心者が考えがちな「気になる点」がありましたので、その部分をご指摘したいと思います。


投資信託質問コーナーへ
ご質問等は、コチラのお問い合わせフォームをご利用ください



 


老後のためにも蓄えをと思い、積立投信を始めることにしました

2017年11月:sakura様(女性・40代)からのご連絡

45歳、パート主婦です。子どもの教育費がMAXにかかる中、少しずつでも老後のためにも蓄えをと思い、積立投信を始めることにしました。 扶養控除内のパートなのでidecoではなくつみたてNISAを始める予定です。 様々なアセットアロケーションを組み立て、結果

eMAXIM slim バランス(8資産)
ニッセイTOPIX型インデックスファンド
ニッセイ外国株インデックスファンド


で、リスクとリターンを算出しました。 コスト(slimバランスはまだ出ていないので、少し多目に見積り)0.33%、リスク13.78%、リターン6.02%となりました。

投資金額が少ないので積極的なプランにしてみましたが、このリターンに対してリスクは妥当でしょうか? 金額的に計算してみて、この程度なら受け入れられると思ったのですが、客観的に見たリターンとリスクのバランスが知りたいです。 よろしくお願いします。



ご回答:利益を上げる事よりも、リスクについてもっと注意を払いましょう

sakuraさま、ご質問ありがとうございます。これから国際分散投資に取り組むのだと思います。景気が良くなって株式相場が好調になると、投資した人と現金だけの人の格差は非常に大きくなりますから、投資すること自体は、非常に良いことだと思います。

ただ、今回sakuraさまがお考えになったアセットアロケーションは、増やす事だけに意識が向いていて、減る可能性を甘く見ておられるような気がいたします。

投資におけるリスクとは


リスクとリターンの数字が出たら、それをどのようにご自身の問題としてとらえてゆくのか、投資信託のリスクとリターンを具体的にチェックのページを再度ご覧いただいて、理解できるようにして欲しいなと思います。

そのページに書いたことを同じように本ページで書くと、以下のようになります。まず、リターン6.02%が「期待されるリターン」になります。毎年必ず6.02%の利益が出るという意味ではなく、長期的に馴らすと6.02%くらいになります。

一方のリスク、13.78%とは、1年あたりに利益がプラス13.78%~マイナス13.78%の範囲で、68.3%の確率(これを1標準偏差と言います)で収まる事を示します。

となると期待リターンが6.02%ですから、1年あたりでは68.3%の確率で、相場が良い時はプラス19.8%、悪い時はマイナス7.76%の範囲に収まるという意味になります。

という事は、例えば累計投資金額が年に1000万円あったとすると、1年内にそのお金が190万円増えて1190万円を上限として、下限は約78万円減少して922万円になる可能性があるという事で、心理的にこの78万円の減少に一時的に耐えられるかが、リスク許容度になります。

ただ、1標準偏差程度のブレは投資ではよくあることで、本当にリスク許容度と向き合うには、2標準偏差(確率95.4%)で起こりうるブレを知っておくことが必要です。

2標準偏差の数字を出すには、13.78%のリスクを2倍にしてやればOKで、リスク27.56%になります。期待リターンは6.02%のままにしておきます。

この場合1年あたりで、上限プラス21.54%~下限マイナス27.56%の範囲でぶれるという事になり、金額で言うと1000万円が上限1215万円~下限724万円の範囲に収まる事になります。

ここで想像力を働かせて、1000万円が1年で約276万も減って724万円になるのは到底耐えられないと思うならば、リスク許容度が高すぎなので、リスクを落としてやる必要があります。

何が言いたいのかというと、期待されるリターンは倍にならないのに、予想される損失はそれを大幅に超過して発生する可能性があるという事です

2標準偏差でのリスクを考慮してはおりますが、リーマンショックの時などはそれさえもはるかに超過して、株式は約5割、更に新興国株は6割超もの下落となりました。

となると将来的に大暴落は絶対必ず起こりますから、リーマンクラスの衝撃があっても積み立てを中止して相場から逃げ出す事の無いようにアセットアロケーションを組むべきです。2標準偏差のマイナスが2年連続で発生するくらいに考えておきましょう。

この時にsakuraさまがその状況に耐えられるかどうかを、自分の心とよく向き合って頂いて、再度検討される方がよろしいのではないかと思います。

アセットアロケーションには正解というものは無くて、ご自身のリスクに対する感受性だったり、ご主人がいらっしゃる人ならばその収入、あるいは家計の貯蓄高、今後の資金の使い道などなど、総合的に考えて決めるものです。

従って、回答する私はsakuraさまのリスクとリターンのバランスを客観的に見る事は不可能であり、唯一言えるとしたら、「投資が恐らく初体験にもかかわらず、リスクがかなり高めなのではないでしょうか?」という事になります。

積み立て投資と同程度の現金も貯めるようにして、リーマン級のショックで一時的に投資した分のお金が半分程度の含み損失を抱えても、家計全体ではその衝撃が25%程度に(あるいはそれ以下)に収まるようにしたほうが良いのではないかと思います。

最近は、リーマンショックやITバブル崩壊を経験したことのない、投資の新参者がたくさんいらっしゃって、ずいぶんと威勢のいい事をブログなどに書いておられるのを目にしますが、そのようなお調子者の言う事はほとんど無視して・笑、ひたすらリスクの事を考えて、老後までにいかにして相場から撤退しないで生き残るか、それを意識しましょう。

投資の世界では結局、生き残った者、それが勝者なのです。楽天証券積立かんたんシミュレーションなどを使えば、今後複利でどの程度増やしていきたいのか、あるいは sakuraさまがどの程度のお金を必要とするのか、計算する事は可能です。

しかし、投資の世界では「まさか」が起こり得ますから、単なる夢物語で話を終わらせず、しっかりとリスクに向き合って計画を立てられることをお勧めします。





★この記事が参考になりましたら、ブックマークもしくはシェアをお願いいたします

ページトップへ戻る