3つの低コストのJ-REITインデックスファンドの基準価額について知りたい

今回は、3つのJ-REITインデックスファンドの基準価額の差異について質問を受けて回答案を書いている中、三井住友・DC日本リートインデックスファンドのベンチマークとの大幅な乖離の問題に気が付きましたので、それも大きく取り上げて回答を差し上げます。


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同一ベンチマークなのに差が生じるのは何が原因なのでしょうか?

2018年1月:ZEP1100様(男性・40代)からのご連絡

はじめまして。2014年にNISA制度が始まり、ロールオーバー含め10年間と中期的な投資となる為、今までの現物株取引からNISAで運用する投資信託を選定する際に勉強させて頂きました。

インデックスファンドではベンチマーク(配当込み)とのトラッキングエラーが少ない程、優秀との事で、日本REITのインデックスファンドの購入検討しております。 候補としては以下の3つのファンドです。(信託報酬は税込み表示)

<購入・換金手数料なし> ニッセイJリートインデックスファンド:信託報酬0.27%
たわらノーロード 国内リート:信託報酬0.27%
三井住友・DC日本リートインデックスファンド:信託報酬0.2808%




一番直近で販売された③の設定日である、2016年9月23日~2018年1月5日の基準価額差を比較すると、 ①-485円 ②-350円 ③-586円 と、同一のベンチマークを基準としているのに差が生じるのは何が原因として考えられるのでしょか?(運用コスト、純資産総額・・・)

確かに③は信託報酬が①、②と比較し0.01%高いですが、基準価額が200円開く程、運用コストが足を引っ張っているのでしょうか? すみませんが、宜しくお願い致します。




ご回答:三井住友・DC日本リートインデックスファンドの乖離が明らかに変

まず、基準価額の差は、金額ではなくて率で見て下さい

ご質問ありがとうございます。なるほど、J-REITインデックスファンドの購入を検討されていらっしゃるのですね。選定されたファンドはどれも非常にコストが低くて、候補になります。

今回、基準価額の変動についてのご質問ですので、改めて3つのファンドの過去1年の基準価額の比較チャートを出してみました。結果はこのようになりました。

低コストのJ-REITインデックスファンドの基準価額


オレンジ線と赤線はほぼピッタリと重なっているのに対して、緑線の三井住友・DC日本リートインデックスファンドだけが下方に乖離している形であり、「おや?変だな」と感じました。

それぞれ東証REIT指数(配当込み)をベンチマークとするインデックスファンドですから、この現象はイレギュラーなことだと思います。

なお、ZEP1100様のご質問のように、基準価額の変動を金額で表すと、下記のようになります。3つのファンドとも、元々の基準価額が異なりますから、変動する金額もテンでバラバラになりますよね。

しかし、これを率で表すと、上記の線が重なっている2つのインデックスファンドの変動率は全く同一である事が分かります。三井住友だけが、それよりもマイナスの結果となっています。

ファンド 2017/1/11
基準価額
2018/1/11
基準価額
増減
(金額)
増減
(率)
<購入・換金手数料なし> ニッセイJリートインデックスファンド 15382円 14649円 -733円 95.2%
たわらノーロード 国内リート 10961円 10431円 -530円 95.2%
三井住友・DC日本リートインデックスファンド 10122円 9561円 -561円 94.5%


三井住友・DC日本リートインデックスファンドは乖離が酷くてダメ

それにしてもインデックスファンドどうしでここまで差が開くのは解せないなと思って、ちょっと調べてみました。まずは月報から、組み入れ比率を見てみます。

というのも、たわらと三井住友は先物を組み入れることがあるからで、これが基準価額に影響を及ぼしているのかもしれないなと。ただし直近で見る限り、三井住友は先物を組み入れておらず、あまり影響ないのかなと。毎月の数字を追いかけないとあまり意味ないですが。

J-REITインデックスファンドの組み入れ比率


ですので、運用報告書に記載がないか、調べてみました。ベンチマークとの差異を説明する部分を見ると、3者とも信託報酬の分だけ乖離が生じていると書かれていてそれは当然の事ですから特に問題は無いとして、三井住友だけが、「マザーファンドの売買時にかかる信託財産留保金の影響」という一文が書かれていました。

●<購入・換金手数料なし> ニッセイJリートインデックスファンド

<購入・換金手数料なし> ニッセイJリートインデックスファンドのベンチマークとの乖離


●たわらノーロード 国内リート

たわらノーロード 国内リートのベンチマークとの乖離


●三井住友・DC日本リートインデックスファンド

三井住友・DC日本リートインデックスファンドのベンチマークとの乖離


となると、信託財産留保金は一時的に発生するものではなく、毎回発生するものですから、もしかしたらこれは今後も同様の傾向となって基準価額に影響を及ぼすものかもしれません。

三井住友・DC日本リートインデックスファンドを買うとしたら、これは今後2年3年と経過を見てから、判断したほうが良さそうです。

しかし、であるならば三井住友・DC日本リートインデックスファンドと同じマザーファンドで運用しているSMT J-REITインデックス・オープンも同様に、ニッセイのファンドに対して乖離を起こしているに違いないと思ってチェックした比較がこちらです。




過去3年間、両者は全く同一の運用成績です。「全く乖離など起こしていないじゃないか」と思って、念のため上記に、三井住友のファンドのグラフを入れてみたのが、下記です。

なるほど、比較は1年になってしまいますが、三井住友・DC日本リートインデックスファンドだけが、明確に乖離を発生させているのが分かりました。




となると、マザーファンドの信託財産留保金の問題というのは、マザーファンドが悪いのではなくて、やはりベビーファンドである三井住友・DC日本リートインデックスファンドに、何らかの問題が生じていると思ったほうが良さそうです。

実質コストについては、三井住友・DC日本リートインデックスファンドで過去1年間の運用報告書がまだ出ていない状況なので、はっきりしません。半年間のものは出ていますが、やはりここはもう半年分の報告書が出てから比較しないと、何とも言えないでしょう。

以上より、J-REITインデックスファンドを購入する場合、ニッセイかたわらのどちらかにするのがベターでしょう。三井住友・DC日本リートインデックスファンドを購入したいなと思った場合でも、今後さらに1年は運用実績を追って、様子見としましょう。

ファンドの運用開始後1年の実績で発生したベンチマークとの乖離が改善されて、なおかつそれが運用報告書できちんと報告がなされた場合にのみ、購入してもOKとなります。

少なくとも運用報告書や月報で、投資家が理解できるように「説明」がなされないと、とても信用する事ができません。だって、そうでしょう。仮に1000万円を買っていたら、ニッセイならば1年後に952.3万円になるのに対して、三井住友だと944.6万円なのですから。

その額、なんと7.7万円の差になります。わずか0.77%のリターンの差異なんて少ないのではないかと感じるでしょうが、投資金額が大きくなると、非常に大きなリターンの差となって「機会損失」が広がってしまうのです。

従来、三井住友のファンドをインデックスファンドのおすすめの1つとしていましたが、今回の問題が有りますので、本日以降、おすすめから外したいと思います。良い機会を与えてくれたZEP1100様に感謝ですね。

コストだけで言うと、2017年の夏場より登場したSmart-i Jリートインデックス(信託報酬0.17%)が一番低いです。しかし、純資産残高がまだ3000万円にも満たず、運用が安定してこない可能性もありますので、やはり1年は様子見にしたほうが良いでしょう。





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