いくら銘柄を厳選しても、投資のリスクを無視しては成功しない

今回も、長期の国際分散投資を今から開始するという方からのご質問です。やはり商品選びを第一に考えてしまった、もっとも肝心な「リスク」という部分が抜け落ちてしまっています。投資で成功するかどうかは、リターンではなくてひとえにリスク管理なのです。


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老後の備えとしての長期投資で、積立投資を考えています

2018年2月:ゆえさま(男性・40代)からのご連絡

堀田さまはじめまして「ゆえ」と申します。昨年、所要で銀行に行った時にイデコを知り「節税になるなら…」とそのまま銀行でイデコと積み立てニーサを申し込みました、それから自分なりに投資について調べ始めて堀田様のサイトに出会いました。

堀田様が「銀行・証券会社の店頭で投資信託を買うべからず!」と申された様に口座の開設が決まると資産運用にと、担当者は手数料の高いアクティブファンド(グローバルロボティクス)や保険証券等を勧めてきました。




しかし「インデックス投資の始め方」に習い担当者に「自分はノーロードでインデックス投資をしたい!」と説明した所、驚く事にその後担当者から全く連絡が来なくなりました。(それまでは月に2回ほど連絡がありましたが…)

当初、担当者は「確かにネット証券より手数料は高いですが、直に会ってお客様の資産運用のアドバイスをしっかり出来ます!」と言っていただけにちょっと裏切られた気持ちになりました。(積み立てニーサも年明けに決めるはずでしたが未だに連絡がないので口座は未使用です)。銀行もビジネスですから、カモにならない客は相手にしないのですね(笑)。

それで決心して自分でしっかり運用していく、無駄の無いより良い投資をしようと思い2月にマネックス証券で口座を開いて、銀行からのイデコとニーサの変更を申請中です。まだ確定ではないですが次のようにマネックスで始めたいと思います。

●イデコ
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス 40%
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス 40%
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)20%

●積み立てニーサ
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)11000円
ひふみプラス        22000円 


インデックスが基本ですがひふみの優れた運用はコストを補って余りあると思いニーサに入れました。で、これからが本題なのですが…、資金面でまだ余力が有るので追加で投資を考えております。

目的は老後の備えとしての長期投資で、私なりに現状の景気や相場を見て、一度に投資するより積立投資で考えております。

もちろん長期ならば再び起こりうる可能性の有るリーマン・ショック級の暴落リスクも覚悟して(途中で諦めること無く)投資を続けたいと思います。

質問ですが、長期の積み立てはコスト面から考えて上記同様の「eMAXIS Slim」の国内株式・先進国株式・新興国株式・国内債券・先進国債券を積み立て、年1、2回リバランスで投資額を変えて運用したいと思いますが、この場合は 「eMAXIS Slim」よりも何らかのリスクなどを考慮して、別のファンド、例えば「ニッセイ・インデックス」や「たわらノーロード」等の類似に投資したほうが良いのでしょうか?

またはリバランスに自信がなので、マネックス証券で開いた強みを活かし「ロボアドバイザー」を使って運用するの方が有効なのでしょうか? ご教授お願いします。



ご回答:個別ファンドのリスクよりも、質問者様のリスクの方がよほど怖いです

この度はご質問をいただきまして、ありがとうございました。銀行の担当者の対応、本当にイラつきますよね。仕事のためとはいえ、彼らのやり方は露骨なので、嫌になってきます。

幸いなことにマネックス証券を利用されるとの事ですが、お便りを拝見しますと、大きな問題点があるのに気が付きます。その点について記しますので、どうぞご覧くださいませ。


まず、ポートフォリオとアセットアロケーションの違いを知ろう

ちょうどこの回答をする前日、今回と全く同じような内容の回答をさせて頂きましたので、それを読んで頂ければ、今回のご質問の問題点が分かると思います。以下となります。

参考ポートフォリオとアセットアロケーションは違います


要は、ゆえ様は投資先を決めているのではなくて、単に投資したい商品を決めているだけであって、これでは投資の成功はおぼつかないという事になります。



リスク許容度を全く考慮していない状態だと思います

そして、今回の問題点を指摘するならば、アセットアロケーションではなくて商品選びから入ってしまった事による、リスク完全無視の状態が非常に怖いという事です

ゆえ様は、頂いたご質問から判断するならば、おそらく投資についてはかなりの初心者であると思います。その初心者が、ほぼ株式オンリーの資産配分で、今後20年30年と投資で生き残っていけるとは到底思えません。

仮に月5万円の積み立て投資を行ったとして、20年で1200万円の投資元本となります。株式オンリーですから、期待リターンが5%と仮定して、複利効果までを考慮に入れると、超絶ザックリな計算として、単純計算で2000万円超の資産となる可能性があります。


楽天証券のシミュレーションツール利用)


この時に、リーマンショック級の大暴落がやってきた場合、果たしてゆえ様は相場から逃げ出さないで踏みとどまる事ができるのでしょうか?

リーマンショック級の大暴落では、株式は40%~60%もの下落を記録しました。2000万円あったとしたら、それがあれよあれよというまに一気に1000万円になってしまう訳で、こんなことが目の前で発生したら、普通の人は到底耐えられるものではありません。

つまり、今現在のゆえ様の資産配分内容だと、大暴落を一手に引き受けて死に体になるのが目に見えている状況なのです。

今のように相場が絶好調の時は、全ての人はリスクなど顧みずに、リターンの事しか考えません。自分がいかに利益を出すか、そればかりを考える欲望の塊になる訳です。

長期投資は、全く別の視点がないと生きていけません。それこそが、リスクなのです。というか、短期のトレードにおいても、リスク管理が最も大事です。成功している人は一様に、リターンなどよりもはるかにリスクに敏感になります。

ちなみに、リスクの話をすると、「暴落にめげないように頑張ります」という答えをする人がたまにいらっしゃいますが、そういう人こそ確実にめげます。リスク許容度は、最悪の事態を数字に出して、そしてそれを受け入れる事ができるかどうかの確認作業なのです。

決して今のまま買い付けを始めるような事はせず、まずは、アセットアロケーションの決め方のページを読んで頂けませんでしょうか。本当にご自身に合った資産配分比率を決める事こそ、もっとも大事な事なのです。

アセットアロケーションを作るにあたり、以下の2つのページも極めて参考になりますので、これらも必ず読んでください。特に二番目は、リスクの把握を簡単に行う方法になりますので、分かりやすいと思います。

投資信託のリスクとリターンを具体的にチェック(細かくチェックします)
10代の若き女性から投資のリスク許容度の質問が来た(簡便的にチェックします)


ちなみに、2月に入って世界的に株式市場が急落しましたが、(それでもこんなのは暴落とは言えません)、この時に株式ファンドは5%~10%程度の下落をしたのに対して、普段はリターンなど無いに等しい国内債券が、唯一プラスリターンとなっていました。

相場に衝撃が走ると、常に国内債券や為替ヘッジ付きの外国債券のような安全資産だけが、価格の下落を免れます。この効果こそが、リスク管理の具体的な事例なのです。




(TOPIXや日経平均などが最も下落していますよね・笑。ちなみに、ひふみプラスなどは中小型株の比率が高いため、更に下落幅が酷かったりします。みなさん、ひふみのリターンばかり気にしていて、下落時のリスクについては不問のようです。)

つみたてNISAは基本的に株式ファンドのみになりますが、イデコで債券ファンドも上手に組み合わせることで、リスクをしっかりと意識した、ちょっとの金融ショックでもへっちゃらなアセットアロケーションを作ってみていただければと思います。



eMAXIS Slimのみを買い付ける事について

これについては、eMAXIS Slimシリーズを運用している会社(三菱UFJ国際投信)が倒産したとしても、顧客の資産は全額きちんと守られますので、何の心配もありません。

仮想通貨のコインチェックのような、自分のお金が引き出せなくなったり、どこかに消えてなくなりそうになったり、そのような事は全くありません。

それに、三菱UFJが倒れるようなことがあったら、リーマンショックを上回る金融危機が起きているはずですから、もっと他の弱小企業の運用会社の方がよほど怖いです。

eMAXIS Slimシリーズはマザーファンドの純資産残高も非常に多いので、運用も大変に安定しています。何ら心配は不要かと思います。それでも何か心配という事があるのでしたら、適当に運用会社をバラせば良いかと思います。


リバランスは全く難しくない

初心者の方が共通して言うのが、「リバランスが難しそう」という事です。確かにアセットアロケーションに並んで、とっつきにくさの最たるもののような気がします。インデックス投資を敬遠する理由の1つにもなっていると思います。

が、テーブルの上でウンウン考えるのではなくて、実際にやってみると、これほど拍子抜けするほど簡単なものはありません。ただ単に、当初の資産運用比率に戻すだけですから、全て個別のファンドでポートフォリオを組んでいる人ほど、超簡単になります。

当初よりも比率の高くなった資産クラスの積み立てを一時停止して(あるいは少量売却して)、比率の下がった資産クラスの買い付けを増額すれば(あるいはスポットで買い付けすれば)、一兆上がりです。慣れたら数分でオシマイになります。

また、リバランスなどは3年~5年に1回やれば十分なので、積み立てを開始したら数年は放置していれば良いだけですから、本当に気にする必要はないのです。

なお、リバランスが難しい場合、ロボアドバイザーに頼るのは賛成しかねます。なぜならロボアドバイザーを利用すると、年間1%程度のコストが余計にかかるからです

これでは何のために超低コストの、それこそ信託報酬が0.2%以下程度の投資信託を選んだのか、意味がなくなってしまいます。ロボアドバイザーを使う場合、イデコやつみたてNISA口座が使えないというのも大きなデメリットです。

という事で、今回の私からのアドバイスは以上になります。インデックス投資は一度アセットアロケーションを決めてしまえば、他の投資法よりもはるかに簡単です。面倒がらずに、ぜひ一度アセットアロケーションでウンウンと唸ってみて頂ければと思います(^^♪


 


追加のご質問:イデコやニーサ口座にリターンの高いファンドを充てたい


堀田様回答ありがとうございます。リスク管理についてのご教授感謝しております。

質問に気を取られて、肝心の私自身のアセットアロケーションとポートフォリオについての説明が抜け落ちていました。(ここが肝心なのに…書き忘れていましたm(_ _)m)

決して株式オンリーの投資をするつもりは有りません。追加の投資に債券を入れる予定です。(イデコ、ニーサは税優遇がある分のリターンに欲が駆られ、株式オンリーにしてしまいました)

当初、資産の約30%(最大でも50%)を投資信託に当てようと考えていましたが、積み立てに変更したので預金は使わず、月の収入から約10万円程(イデコ23000円ニーサ33000円含める)を積み立てる事にしました。

現状、1000万以上の貯蓄が有り、住宅ローン等の借金も無いので無理なく投資できます。当初、私が考えたポートフォリオは大まかですが…

国内株式 30%
国内債券 20%
先進株式 15%
先進債券 20%
新興国株式15%



追加投資は国内、先進国債券を各20000円・先進国、新興国株式を各5000円程を積み立てる予定です。

また質問ですが、上記の様な投資する場合に、イデコ、ニーサの「非課税制度」にリターンの高い株式を当てて、債券等を通常投資(税優遇なし)は有りでしょうか?

堀田様の仰る通り投資は初心者なので厳しいご教授お願いします。



再度のご回答:全く問題はありません

なるほど、アセットアロケーションを組んでのご質問でしたか。アセットアロケーションがハッキリしているのとそうではないのとでは、全くお返事が異なります。今回はご自身に合った資産配分比率となっているようで、とりあえずは胸をなでおろしました。

ご質問の件、イデコやニーサのような非課税口座にリターンの高い株式を当てて、債券等を通常の証券口座にするのは、順当な判断です。税制優遇も、リターンが出ていなければ絵に描いた餅ですからね。

あとはひたすら投資をし続けるのみが、課題となりますね。いつか必ずやって来る大暴落の時には投資など嫌になる筈ですが、そういう時こそ継続するのが最善の道になります。

あらゆる投資は、嫌になった時に止めてしまうと「負け」になります。それはインデックス投資だけではありません。今後の継続と成功をお祈りしています。





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