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初心者が勘違いしがちな、投資信託の基準価額についてのお話し

基準価額は、株価と勘違いされる事が良くあります。それだけでなくて、基準価額という言葉そのものが難しそうですし、取っつきにくさを感じますよね。実際に基準価額について間違った理解をしている人も多いので、今回のご質問を通じて誤解を解いて頂けたらなと思います。


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将来的には同じ基準価額となるのでしょうか?

2018年2月:ATさま(男性・40代)からのご連絡

5年ほど前に銀行の窓口で勧められるがままに毎月分配型の投信を購入(幸いプラスで済みましたが)して以来、自分なりに勉強しながら投資をおこなっている者です。

現在、積み立てNISAemaxisslimバランス(8資産均等)を購入していますが、2月21日現在、emaxisバランスの基準価額が19,328円、slimバランスの基準価額がが10,450円となっています。

まったく同じ内容で運用されている両者は、将来的には同じ基準価額となるものなのでしょうか?


投資信託の基準価額


ご回答:株価とは異なる数字であり、以下、知っていただけたらと

基本的に、基準価額が安くてもお得でもなんでもありません

ATさま、ご質問頂きまして、ありがとうございます。なるほどつみたてNISAを利用され始めたのですね。恐らく今後、一度や二度は市場の大暴落に見舞われて悲惨な元本割れのタイミングもやって来ると思いますが、そういう時こそ資産を安値で仕入れる最高の時ですから、決して途中で放り出さないで、最後まで積み立てしましょうね。

さてところで、「安値」と書きましたが、emaxisバランス(8資産均等型)が2万円台、emaxis slimバランス(8資産均等型)が1万円台という事は、slimのほうが「安値」だからお買い得であり、slimをひたすら買うほうが得するのでしょうか?

答えはノーです。投資信託の基準価額は株価とは違って、価格が低いからお買い得、という訳ではありません。ここは基本中の基本ですから、間違えないようにしましょう。

この部分は銀行員でも平気で「今、基準価額がお安くなっていますから将来の値上がり期待があります、お得に買い付けできます。」のような事を言うので、実に困ったものです。

投資信託は設定された時に、必ず1万円ジャストの基準価額で始まります。

emaxisバランス(8資産均等型)の設定は2011年11月に1万円で運用が始まり、その後の市場の動向に合わせて2万円くらいの基準価額になりました。一方でemaxis slimバランス(8資産均等型)の設定は2017年11月に1万円で運用が開始されたばかりです。

そして肝心な事ですが、これら両社は表面的には2つのファンドであるものの、マザーファンド(下記)は全く同一であり、事実上、同じファンドだと言えます。

eMAXIS バランス(8資産均等型)の各マザーファンドと基本投資割合


となると、両者の運用成績は全く同一なので、一生かかっても基準価額の開きは同じままになります。(超細かく言えば、信託報酬の分だけごくわずかにemaxis slimのほうがリターンは良くなる筈で、数百年~数千年後には基準価額が同じくらいに縮まるかもしれません。)

ご家族に兄弟がいるとしたら、お兄さんの生まれた年が決まっていて、弟の生まれた年も決まっていて、それぞれその年から年齢を数え始めますよね。その年齢が一生かかっても同一にならないのと同じような事だと思ってください。

従って、全く同じ時間に両者に同じ金額を投資してみても、基準価額が異なるのに、ATさまの受け取るリターン(あるいは損失)は、全く同じになります。基準価額が安いからと言ってお得になる訳ではない、という理由が分かっていただけたでしょうか?


基準価額が下がって「お得」と言えるタイミングも有るには有る

上記の2つのファンドを比べて「どちらが安い」と言うのは全く無意味なのでありますが、例えば、どちらでも良いですが、ここではemaxisバランス(8資産均等型)にしましょうか、・・・このファンドが安くてお買い得だと見えるタイミングは、時にはあります。

下記はファンドの設定来の基準価額の推移です。一貫して右肩上がりの成長を続けていています。しかし時折、青枠で囲んだ部分のように、一時的に基準価額が2000円前後も「暴落」しているタイミングがあります。

基準価額が調整した時が買いタイミング


このような、世界的に経済状況が特に大きく変わったわけでもないのに、なぜか大きく価格が下がるタイミングは、「同じ商品なのに値段が安い」という事になりますから、明らかにお買い得なタイミングだと言えます。

この場合、「基準価額が安い方がお得」という表現が該当する事になりますね。

もちろんITバブルの崩壊やリーマンショックの時のように、景気の後退を伴った暴落は、途中で価格の下げが止まらずに、そのまま大暴落にまで至る事もあると思います。

従って、投資の素人がそのようなタイミングを計って投資する事は、まず無理だと思ってください。プロでも瀕死の重傷を負うのですから。

私たち素人は、幸いなことに積み立て投資が許されています。時間を味方に付けると、暴落相場のようなタイミングであってもコンスタントに購入しますから、結果として「お得」なタイミングにも買える訳です。積み立て投資は、実に良い仕組みです。


ベンチマークの異なるファンドを比べて、安い高いを言う事は全く無意味

今回は、emaxisバランスタイプの全く評価基準の同じファンド同士、すなわちベンチマーク(あるいは参考指数)が同一のファンドを比べています。

しかし、ベンチマークの異なるファンド同士を比べて、基準価額が安い高いを論じることほど、意味の無い事はありませんので、十分に注意してください。

例えば、emaxisバランス(8資産均等型)よりも、「セゾン資産形成の達人ファンドのほうが良いって聞きました」などと言って、この両者を比べるのは間違いです。

いちおう、両者の基準価額の過去3年間の推移をグラフに表してみます。これを見ると、「積み立てるならばセゾンの方が良さそうだ」、と思うかもしれませんね。でも、これは大きな間違いなのです。

異なるベンチマークのファンドの基準価額を比較してはならない事例


というのも、運用される指針が違いますから、比べようが無いのです。emaxiは8資産を均等の比率で組み合わせた数字をベンチマークとしているのに対し、セゾンはMSCIオールカントリー・ワールド・インデックス(配当込)を参考指数としています。

全く異なる指標を持ったもの同士で比較しても、意味がありませんよね。兄弟の例で言うと、数学が得意なお兄さんと国語の得意な弟を比べて、どちらが優秀かを比べようとしているようなものだと理解してください。

投資信託を勧める人、そしてそれを検討する人、共に、このような間違った比較であれが良いこれが悪いと言っている印象が強いです。混乱するだけだと思います。

付け加えると、リターンの高いものはその分だけリスクが高いです。上記のような見方でファンド選びをすると、暴落時には耐えきれなくなる人が続出しますので、その点も要注意です。間違ったファンド選びは、将来きっと後悔の種になると思いますので、気を付けましょう。


永久に基準価額が低いままのファンドも有るので要注意

最後に、待てど暮らせど永遠に基準価額が上がらないような投資信託もありますので、そのようなファンドの例を。例えば下記、毎月分配型投資信託のフィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの基準価額をご覧ください。

一方的に基準価額が下落する事例


1998年に1万円で始まり、今は何と、3500円ほどの「安値」水準にまで下落しています。なぜ下落しているかというと、投資先から配当金として入って来る収入以上を、分配金として放出しているからです。

典型的なタコ足分配のファンドであり、銀行などの店頭ではこのようなものも「基準価額が安いからお得です」と言って販売しています。

こんなファンドを買ってしまったら、ちょうど今のようによほど相場がよくないと上昇しません。通常は更に基準価額は下がる一方ですから、大いに注意が必要です。

このようなものは、「ロクに仕事もしないで家の中でブラブラしているようなダメ息子」、みたいなファンドになりますので、決して近づいてはなりません。

参考となる他の質問基準価格は高い安いどちらが良いのか?





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