目先の生活資金(あるいは短期的な予定)を投資でねん出

今回は、サラッと書いてあるけれども意外と重大な問題になりかねない事例です。投資は基本的に余裕資金でやらなくてはなりません。積み立て投資も似たようなものです。


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引っ越しにより生活費が増えるのでつみたてnisaで足しにしたいと考えています

2018年3月:なおさま(女性・40代)からのご連絡

40歳代前半、パート勤務です。会社にDC制度がありますが、社員ではないので加入できず、個人型idecoを加入決定のファンド検討しています。

資産状況は今日現在、私が自由に使えるお金が80万あり、うち28万は3年後に購入予定の車椅子(予算40万)に向けて定期で寝かせます。ちなみに残りの12万は1年かけて積立て、1年後元金40万複利で2年間寝かせます。

個人型idecoに加え、つみたてnisaの加入すべきか、つみたてnisaでのファンド選びの参考をお願いします。

投資未経験ですが、個人でセミナーを見つけて勉強したり、FPや銀行員と話をしてみた結果、最低10年はリスクを取っていきたいです。

idecoは、楽天バンガード全米株式インデックスファンドに興味があり、アセットアロケーションをまず決めようを参考にエクセルで計算してみたらリスク19.4%、リターン6%でした。それは納得しています。




本題はここからなんですが、母が管理している私名義の預金の一部残高を見たところ、なんと80万未満でした。他の口座も同じくらいかもしれません。

さらに今の家は、家族所有で家賃維持費など私の負担はゼロですが、近い将来もったいないことに家族揃って家を出なければならず、思っていたより一桁少ないことに不安を覚えました。

ヨユーヨユー資金と思っていた預金が少ないのに加え、引っ越しにより生活費が増えるのでつみたてnisaで足しにしたいと考えています。

idecoのバンガードに加え、買い足すとしたらどのようなファンドがよろしいでしょうか。nisaのつみたて日本株式(日経)では、アセットアローケーションの数字は変わりませんでした。




ご回答:生活費が足りない分を投資で増やすという考え方は危険

この度はご質問をいただきましてありがとうございます。お便りを拝見しますと、自由に使えるお金の使い道の部分がよく分からないのでありますが、そこは本題とは別だと思いましたのでとりあえず無視しまして・笑、投資の部分をお答えしますね。




アセットアロケーションの理解が違っています

まず第一に、アセットアロケーションを作ったと思っていらっしゃるようですが、今回のものはアセットアロケーションでもなんでもありません

単に、iDeCo口座では楽天・全米株式インデックス・ファンドを買って、つみたてNISAではつみたて日本株式(日経平均)を買いますというだけです。

アセットアロケーションは、リスク資産だけではなくて債券などの安全資産も含めて、複数の資産クラスを組み合わせる事で(つまり国際分散投資)、リスクを抑えながらも一定のリターンを期待する資産配分の事を言います。

楽天・全米株式インデックス・ファンドだけを買うというのは、先進国の中でも米国だけに集中して投資をする事になります。

また、つみたて日本株式(日経平均)を追加したとしても、単に投資先を日本と米国の2か国にするというだけであり、アセットアロケーションとは言えません。

再度アセットアロケーションの決め方の該当記事を読んで頂いて、更には同じような質問記事も読んで頂きながら、アセットアロケーションの再検討をする事をお勧めします。


なぜ、分散投資をお勧めするのか

ところでなぜ、アセットアロケーションをきちんと作って下さいと申し上げるのかというと、投資の素人であるにも関わらず、リターンばかりを追い求めて、リスクの事などほとんどのケースで顧みられる事が無いのを危惧しているからです。

確かに楽天・全米株式インデックス・ファンドだけを買うと、期待リターンは6%を超えるような数字になるとは思います。しかしそれは、19.4%にもなるリスクを取った見返りだからこその数字である事は忘れてはなりません。

ごく普通に起こり得る事態として、「19.4%-6%=13.4%程度の元本割れは想定していますか?」という事なのです。

これは1標準偏差における数字なので、リスクはその倍の、2標準偏差として考える必要もありますから、そうなると(19.4×2)-6=32.4%程度のマイナスリターンの可能性も十分あり得るとして考えておきましょう。

この時、必死こいて貯めこんでいた1000万円がマイナス32%、金額だと680万円くらいまで資産が減る事になり、「これに耐えられるか?」と考える事が重要です。

これがリスク許容度であり、耐えられないと思ったらアセットアロケーションを構築することでリスクとリターンの関係をご自身の心地よいレベルまで緩和させる、つまり安全資産の割合を増やす事によってリスクを減らすことが大切なのです。

ただし、もしも「その程度のマイナスは全くヘッチャラだ」という事であれば、集中投資でもなんでもして頂いて構いません。


投資で必要資金をねん出したいと考える人が採る選択ではありません

今回は、アセットアロケーションの事を全くよく分かっておられないなという点だけでなく、もっと怖いなという部分がありますので、それも指摘しておきます。

それは、貯金が無いから投資で取り戻してやろうという考え方です。「生活費がかかるから投資で増やしておきたい」とお考えなので、まさにその考え方だと思います。投資で、近い将来にかかるお金を稼いでやろうなどとは、間違っても考えてはなりません。

人によっては株式や為替の短期トレードで大金を稼げる人がいるのは事実ですが、そのような人はそれ以前に数十万から数百万円単位の勉強代(相場で負けて失った金も含める)をかけている人たちであり、ポッと出の人が同じことをやるのは絶対に不可能です。

となると、インデックス投資や配当金を目的とする投資など、堅実にコツコツと、最低でも10年以上の長い時間をかけて、資産を増やしてゆくやり方しかあり得ません。

今回のケースでは、積み立て投資をしながらも、当面は生活が安定すると思われるレベル、例としては生活費の1年~2年分程度の貯金を貯めてから、本格的に投資金額を増やしていく方が良いと思います。


以上をまとめますと・・・

という事で、今回のご質問でお答えする内容をまとめますと、次の通りでしょうか。

・ご自身のリスク許容度をイメージして、それに沿ったアセットアロケーションの構築
・リスク資産だけではなくて、安全資産への投資も考えよう
・アセットアロケーションが出来上がってから、商品選びをしましょう
・20年30年かけて、資産を大きくしていきましょう
・それにも増して、まずは生活資金の貯蓄を優先しましょう



以上になります。アセットアロケーションができれば、「何の商品がお勧めですか?」というような質問はほとんど無くなる筈です。

そして一度それを構築してしまうと、あとは大暴落が起ころうが怖い事は無く、淡々と資産の積み上げができるようになります。むしろ暴落があったほうが沢山の資産を仕込めることになりますので、それを喜ばしく思ったりする事もあるほどです・笑。


どうしてもアセットアロケーションを作れない場合は・・・

ところで、どうしてもアセットアロケーションを作れない人というもいらっしゃるかもしれません。その場合は、一度積み立て始めたら終わるまで絶対にそれを止めないと誓約頂いて・笑、iDeCoでもつみたてNISAでも、バランスファンドを延々と、最後まで投資し続けるという事でも良いかもしれません。

これについては、インデックス投資アドバイザーのカン・チュンドさんの電子ブックをぜひご覧ください。


ラクして増やそう!バラつみ投資 やさしい投資の答えはバランスファンド?つみたて!


以上、今後のなお様の投資の成功をお祈りいたしております。


 


追記:ご質問者様から、お返事を頂きました

早速の回答ありがとうございました。本来なら、家族会議を開いて家族の全資産を明らかにして生活資金は足りないか、足りないならどうするのかまで話し合うほうが先ですが、もっと家計を助けたい思いだけで質問してしまいました。

何でもオープンに話せる親子関係なら良かったですが、改めて生活資金を投資で稼ぐことは大変危険と指摘していただいてありがとうございます。

生活資金として障害基礎年金を全額家に入れていますし、もっとという思いがあるなら私の給料を何千円でも渡したほうがいいですね。

生活資金のことは何も心配いらない前提での話ですが、回答を読んでも気持ちに変わりはありません。

投資未経験と書きましたが、遊びのつもりでじぶん銀行の外貨自動積立をやっています。
アプリを眺めているときに偶然見つけて始めてみました。気に入ったのはレートとスケジュールを設定すると、私が仕事をしてても勝手に買い付けてくれるところです。

米ドル110円より円高で毎日1000円買っていますが、円高で割っています。平均単価も日々下がり108円台に突入しました。TTBが平均単価未満なので割ってること、300ドルで600円前後の損失を払い戻さなければ確定ではないこと、今の時期にドル量を増やすことで、平均単価よりTTBが円安にふれると利益額も増えることも知っています。

「そんなにアメリカにこだわるか?」と言われそうですが、豪ドルを同じ方法で買い付け、1万円分買ったところで数ヶ月で86円の利益を回収たこともあります。完全なビギナーズラックですが、86円の利息を得るために定期でいくら必要なのか考えると、その利益を短期間に少ない元本で出たのはハイリスクハイリターンだと分かりました。

話をidecoに戻すと、本日会社から帰宅すると楽天証券より申し込み書が届いてました。家でも何度か口にしてましたし、母は反対はしませんでした。(ただ、私が死んだときを心配してて「一時金ってどれくらい?」って言われて)

私は第二号なので掛け金が一番低いはず、32%ダウンもそんなにダメージはないし、掛け金が低いからこそ分散ではなくリスクを取りたいという気持ちです。ブラックマンデーだのブルーマンデーだのなんだかんだ言ってもアメリカはやっぱりアメリカですからね~。

3年前、火災保険で助かったとはいえ自宅が火事になり、半年間施設で生活した人生のリーマンショックを味わった私にはどうってことないです。人生と同じですね。そもそも、障害者ってだけで人よりリスク背負ってる気がしますが・・・




再度のご回答:ご意志が決まっておられるのですね

なお様、お返事いただきましてありがとうございました。

なるほど、30%台の資産のマイナスについて大きなリスクだと思っていないという事であれば、きっちりとリスクについてのイメージが既になされているのかもしれません。

途中、豪ドルの預金の部分については意味が分からないところはありますが・苦笑、そこは本題には影響しませんので置いておきまして、既にご意志が決まっておられるのであれば、投資は自由な行為ですから、ご自身のやりたいようにやるのが良いと思います。

プライベートでシンドイ事があると、お金の面で投資のリスク許容度が高まるというのは、私も人生いろいろありましたので、けっこう同意いたしますね・笑。リアルな生活に比べると、しょせん投資などたかが知れているという面は確かにあります。

将来、投資で資金が圧倒的に増えたというご報告、あるいはとんでもない暴落に巻き込まれて酷い目に合ったというご報告でも結構ですので、リスクを取った結果がどのようになったのか、またお知らせ頂ければと思います。





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