楽天インデックスバランスファンドを買う際の為替ヘッジ付き海外債券

今回は、既に投資を行って数年経過している人からのご質問です。楽天投信から新規に登場するバランスファンドを買い付けする場合に、ポートフォリオに含まれる為替ヘッジ付き海外債券のリスクとリターンをどうとらえるかと言う問題に、頭を悩ませているようです。


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為替ヘッジ付き先進国債券のリスク・リターンの情報が不足して困っております

投稿者:ヘッカーさま(年代不明・男性)2018年7月

いつも楽しく拝見しております。すでに数年間インデックス投資を実行しているものですが、新たに設定される楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型)が気になっています。

これまでは自分のリスク許容度を考えて世界経済インデックスファンドを中心に据えていましたが、ランニングコストを考えて上記ファンドからの乗り換えを検討しています。

その一方でご存知の通り楽天・インデックス・バランス・ファンドは株式の地域比率の違いに加えて債券部分に為替ヘッジがある点で世界経済インデックスファンドと大きく異なります。

そこで改めて楽天・インデックス・バランス・ファンドのリスクとリターンを「ファンドの海」を利用して算出しようと考えました。しかしながら、算出に必要な為替ヘッジ付きの先進国を中心とする債券のリスク・リターンの情報が不足しており少々困っております。

為替ヘッジ付き海外債券の取り扱い


世界経済インデックスファンドと比較すれば楽天・インデックス・バランス・ファンドは新興国比率が低い分、さらに為替ヘッジが効いている分、リスクもリターンもより低減すると予想はできますがやはり気になります(個人的にはいくつかのデータからファンド全体でリターン4.0%でリスク10.0%程度と考えています)。

どうかお力添えを頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。



ご回答:楽天投信から納得の出来る説明があるまで、買う必要はない

この度はご質問をいただきまして、ありがとうございます。今回の件は、実は私も細かい部分は分かりません。

為替ヘッジ付きのファンドは、海外債券であれ海外株式であれ、リスクとリターンの値がどうなるのか分かりにくいというのは、利用するうえでのデメリットの一つになりますね。

ただ、債券については為替による影響を取り除くと、理屈上は国内債券と同程度のリターンになると考えられます。果たして過去の数字がそうなっているのかどうか、以下の3つのファンドを使ってチェックしてみます。

インデックスファンド海外債券(ヘッジあり)
インデックスファンド海外債券(ヘッジなし)
SMT国内債券インデックス・オープン


こう見ると、3年のグラフの動きなどは、ほぼ国内債券と同じ程度にあるなと確認できます。10年で見ると、トータルリターンは国内債券よりも良好で、リスク(標準偏差)などもその分、若干高めになっている事が分かります。

為替ヘッジ付き海外債券とヘッジ無し海外債券、及び国内債券クラスのリスクとリターンの比較


面白いのは、ヘッジ無しの海外債券のリターンが、ヘッジ付き海外債券よりも劣っている点です。標準偏差の数値は明らかに高いですね。

海外債券クラスの期待リターンは為替ヘッジを付けなくても国内債券と同程度だと言われるのが、たまたまこの10年という測定期間に限定されますが、「やはりそんなものなのだな」と再認識させられます。

その割には海外債券クラス(ヘッジ無し)の標準偏差の数値は国内債券よりも顕著に高く、人によっては「リスクの割にはリターンが低い」と嫌う人がいるのも頷けます。

今回、楽天・インデックス・バランス・ファンドの運用が開始されるにあたり、海外債券クラスにヘッジ付きを活用しているのは、上記のようなリスクとリターンの関係を念頭に置いたものなのかも知れませんね。

為替ヘッジを付ける事で、楽天・インデックス・バランス・ファンド全体のリターンを落とさずに、リスクだけが顕著に下がる事になるのかもしれません。

ただし、為替ヘッジを付けると、その分のヘッジコストがかかる事は承知しておかなくてはなりません。為替ヘッジコストは、主として金利差によって決まります。

少し前までは日米ともに異様に低金利で、ヘッジコストがほとんどかからない状態でしたが、最近は米国が利上げ基調にあり、コストがじわじわと上昇しています。また、それが顕著に進んだ場合には、予想外の金利差によってヘッジコストがかなり発生する可能性があります。

・・・と、為替ヘッジについては、だいたいその程度の説明がなされることが多く、大きく外すわけではないので、その程度の認識でいれば一般的には支障は無いでしょう。

ところが、楽天・インデックス・バランス・ファンドのように、ご自身が投資するファンドで、しかもそのポートフォリオの半分が為替ヘッジ付きとなり、なおかつそれを一生涯積み立て投資していこうという場合には、もっと正確に理解しておく必要が出てきます。

当サイト管理人は、為替ヘッジについて細かい部分を調べた事が無いので、本件についてのネット上の良記事として、以下を読んで頂くのがよろしいかと思います。

⇒為替ヘッジにかかる為替ヘッジコスト 金利差だけでは決まらないコストの仕組み
http://longinv.blog103.fc2.com/blog-entry-2215.html


これによると、金利差だけではなく、通貨の需給関係でも為替ヘッジコストは変動するという事であり、だとしたらリーマンショックのような事があると通貨の需給が大きく変動するために、想定外の大きなコストが発生する可能性も承知しておく必要があるでしょう。

為替ヘッジコストについてのレポートも出ていますので、あわせて目を通していただければと思います。米国の金利上昇を受け、コストは上昇傾向にあります。

http://www.daiwa-am.co.jp/system/files/report/report_%E3%82%BF%E3%
82%A4%E3%83%A0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%9D%
E3%83%BC%E3%83%88_20180718_88889.pdf



ヘッジコストはリターンを削りますので、想定したリターンが出ないという事も考えられます。金利差がどのくらいになるのか予測は不可能ですから、そもそも為替ヘッジがある場合の期待リターンやリスクの計算も、事実上は出来ない事になります。

従って、過去10年の数字を使って「えいや!」と大雑把に出すことぐらいしかできませんので、その点も承知しておく必要があります。

既に貼り付けた図をもう一度見て頂きたいのですが、10年で見ると国内債券よりもリスクもリターンもやや高めに出ています。一方で、直近3年で見てみると、国内債券よりもリスクが大きいのにリターンが劣るという結果になっています。

現在のところ、「長期に見て行くと結局は山や谷がありながら国内債券と同程度のリターンに落ち着くが、多少はリスクも大きいのだな」という程度に見ておくしか無いようです。

国内債券と非常に相関性が高いのは事実でしょうから、だったら余計なコストが基準価額に織り込まれるようなヘッジ付き海外債券ではなくて、国内債券クラスを利用しても良さそうに思ったりもします。

以上を見ていると、楽天バンガードファンドシリーズを運用する楽天投信投資顧問から、きちんとした説明が必要な場面にあるなと言う印象を持ちますね。

別に慌てて楽天・インデックス・バランス・ファンドを買い付ける必要などどこにも無いのですから、運用が開始されて最低でも1年、できれば3年程度の運用報告書をチェックしたうえで、ご自身が納得できるのであれば、買い付ける方向でも良いのではないでしょうか。

なお、世界経済インデックスファンドと楽天のバランスファンドでは、資産配分比率が大きく異なります。今回の切り替えにおいては、そもそものアセットアロケーションが自分に最適なのかどうかの再チェックのほうが、為替ヘッジの問題よりも大きいと思います。

また、よく分からないバランスファンドを買うのではなくて、eMAXIS Slimインデックスシリーズの中から、個別のファンドを組み合わせてポートフォリオを構築するほうが、はるかに納得できる商品内容になりますし、低コスト化によるリターンの向上も期待できますので、そのほうがよろしいかとも思います。





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