老後に向けて5年間で20%の資金を投資で増やしたいとする件について

今まで、株主優待目当てに株を買っただけの人が、老後に向けて5年間で20%もの資金を増やす事ができるのかどうか、そんなご質問をいただきました。今まで数々の相談を受けてきた身としては、老後が近づいたタイミング、あるいは退職金を受け取ってからいきなり投資を始めた人が上手く行ったのを見た事が無いという意味で、嫌な予感がしてきますね。

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定年までの資産運用のアドバイスをお願いします

2018年12月:トムトムジェリー様(女性・60代)よりのご質問

ご相談とアドバイスをお願いします。目的は定年までの資産運用です。定年までの5年をベースに考え、20%位のUPです。一角千金を夢見てる訳ではないです。補足情報として: 子供なし。車無し。相方共に親の扶養・相続無し。住宅ローンは定年前、2020年完済予定。

相方はお金、預貯金等は無頓着。(貯金無し)あるだけ使うタイプ。定年後の将来設計も無し。投資などは毛嫌い。 当然、財布は別。個人管理です。お互いに中小企業・中途入社の為、退職金も期待は出来ません。

依って、退職後の生活資金は私の預貯金のみになる為、その間(5年)に増やせないかと思案しています。貯金900万の内訳(生活費の100万円は別):  

・500万 郵貯定額預金  
・100万 みずほ積立定期  
・300万 三菱


他に株保有(手数料が倍位違うので、購入時の価格で使い分け)600万位です。

SBI証券(NISA口座有り)  
カブドットコム証券


これは2016年に始めたばかりです。きっかけは高島屋の株主優待(10%割引カード)に欲しかったので。他には銀行の付き合い(以前、経理職)で、堀田様のおっしゃるボッタクリレベルの金融商品有り。

あとはがん保険(死亡保険付き)の約款が古く見直したいのですが、窓口に行くとバカ高い金額を提示されます。年齢的に仕方ないですが。(これは追々で構いませんが、3月に相方が60歳になるので何とかしなければと思っています)この情報で宜しくお願い致します。



老後のお金を貯める


ご回答:リターンの事しか考えない投資は、止めておいたほうが無難かもしれない

トムトムジェリー様、ご質問ありがとうございます。これから投資をやるとしたら、5年間で20%のアップを目指したいという事ですね。

補足事項として書かれている通り、お子様はいらっしゃらず、親御さんの扶養などもなく、間もなく住宅ローンも無くなるという事で、大きな資金需要が無いようなので、家計としてはかなりスリム化が実現できており、変な不安感に囚われにくいのが非常に良いですね。

だとしたら、貯金900万円と株の保有600万円で、十分である可能性もあります。老後の厚生年金が毎月どのていど支給されるのかを確認して、預貯金(将来的には株の現金化も含む)の取り崩しでやっていけるかどうか、明らかにしておくと良いと思います。

投資に関していえば、5年で20%というのは楽観的過ぎるという印象があります。ここ数年の世界的な景気の絶好調さに支えられて、米国株を中心にして、株価も大変に上昇しました。

米国株の過去10年のチャート


米国株は、過去10年では2.5倍になりましたし、5年間でも1.6倍ほどの高い伸びを実現していますから、リーマンショックやその前のITバブル崩壊などを知らない人から見たら、株などは永遠に右肩上がりなのかと思ってしまうほどだと思います。

しかし、投資をするときに真っ先に考えなくてはならないのは、リターンよりもリスクです。リスクとは、損益がプラスになるかもしれないしマイナスになるかもしれない、その振れ幅の事を言います。

トムトムジェリー様も、投資は元本保証ではなく、場合によっては大きく元本割れをする可能性も低くはない事を承知で、投資をしようとしておられるのでしょうか?

今回の件では、5年で2割もの資金を簡単に増やせるのであれば、当サイト管理人も含めて、日本中の全員がそれを目指す事でしょう。しかし実際には、2割増やせる可能性もあるのと同様、2割減る可能性もありますから、気軽には手を出せないのです。

そして、何に投資をして2割増やしたいのかも重要です。まさか、「2割増える銘柄を教えて下さい」と言うのであれば、一切の回答は出来ません。もしも世の中に、そういった銘柄を喜んで教える人がいるとしたら、その人は詐欺師である可能性も高いでしょう。

「2割増える投資信託を教えて下さい」と、大手の証券会社や銀行の窓口に相談に行かれたら、超高コストボッタクリファンドを買わされる事になり、営業担当者は超大喜びすると思います。(そういう人からのお嘆きの相談を多数、受けてきました。)

参考野村証券でNISA口座を開くとこんな商品を推奨されるという事例


投資と言っても、手段は多岐にわたります。トムトムジェリー様が保有されているような現物株式であっても、比較的短期間に売買を繰り返す手法や、小型株を中心に高いリターンを期待するやり方、あるいは配当金目当てに長期間保有するやり方など、様々です。

株ではなくて、為替の世界でさやを抜いてゆく投資手法もあります。チャートを読む能力が無いとどうにもならない事が多いため、多くの勉強が必要でしょう。

不動産に投資するという世界もあります。この場合、年齢的に銀行融資は使いにくいと思いますから、小さな物件を買って月数万円の賃料収入を目指す事になろうかと思いますが、物件の買い方をしっかりと学ぶ必要があります。

つまり、5年で2割と言うのは、「言うが易し行うが難し」の典型的な事例なのです。

しかも、今回は下手に投資に手を出して資金を減らす事になってしまっては、老後の蓄えが著しく減少する事に直結しますから、普通に考えると、余計に投資に手を出してはならない事例です。

投資をするとしたら、ご自身に合った投資手法が何かを勉強して、そしてその投資手法で「お試し」的に小額の投資を1年程度やってみて、「勝てる」と判断した場合に、追加で資金を投入するというくらいではないでしょうか。

もちろん、その間にリーマンショック並みの金融大津波が襲ってきたら、投資資金は半分以下に減りますから、そいういったリスクについてもよく学ぶようにして下さい。

当サイトはインデックス投資と呼ばれるやり方で、10年単位の長期投資で複利の力を使ってジワジワと増やす手法になります。20年とか30年単位で積み立て投資を行う手法であり、年利で2%とか3%程度にしかなりません。

「5年で15%は行くのか?」と考えるのは早計で、市場にトラブルが無かったら、その程度の伸びが期待できるというだけのものです。短期的にはリーマンショックのような大暴落などを何度も乗り越えてゆく、まさに山あり谷ありの人生のような辛い投資になります。

でも、特殊な技能などは全く必要ではなく、会社員が老後の資産形成をするのに、これほど最適なやり方は無いだろうなと思える手法でもあります。

60歳と言っても、これから80歳になるまでにまだ20年もある訳です。だったら「本当の老後」に向けて、たとえばつみたてNISAを使ったインデックス投資を行う事は容易でしょう。

ご興味があればインデックス投資の始め方のページを読んで頂いて、リスクをコントロールしながらリターンを期待する投資手法を学んでみて下さい。

当然、「こんなまだるっこしい投資などやっていられるか!」と感じる場合は、インデックス投資はご自身に合わない可能性も高いです。その時は、くれぐれもリスク管理をしっかりとして頂きながら、もっとハイリスクハイリターンな投資を目指すと良いでしょう。

(余談ですが、世の中で投資に失敗した人のほとんど全ての人は、投資自体がダメなのではなくて、資金管理が無茶苦茶だったからです。特に短期間でリターンを求める投資手法の最大の肝は、手法ではなくて資金管理になります。ピンとこないでしょうが。)

と、以上まで長々と書いてまいりましたが、貯金と違って一定程度のかなりの勉強を必要とする投資に今から下手に首を突っ込むよりも、素直に退職後も働いてお金を手にするのが一番ではないかと感じました。

働いてお金を貯めるという選択肢


65歳で定年を迎えた後に、健康で働けるうちに、体力的にしんどさの無いアルバイトをする事で賃金を手にする事ができます。日本は当面、かなりの人手不足社会が到来しますから、働き口にはそんなに困らないのではないでしょうか。

無謀な投資をするよりも、比較にならないくらいに安全確実ですから、個人的には「働く」という選択肢を検討されてもよろしいかと思います。

稼いだ後のお金は、当サイトの姉妹サイトである定期預金の鬼を見て頂いて、金利の高い銀行に次々と預け替える戦略で、安全確実に増やしてゆく事をお勧めします。

なお、がん保険に関しては、現在加入されている医療保険や死亡保険ではダメなのでしょうか? どうしてわざわざコストをかけてまでがん保険に加入しなくてはならないのか、その点もしっかりと見極めたほうが良いのではないかと思います。





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