つみたてNISAの銘柄選び・・・でもその前にやるべきことが

つみたてNISAの銘柄選びについて 、これから投資をしていこうという人からご連絡がありました。しっかりと勉強をされておられますが、あともう1歩2歩、というところです。このペースで行けば、きちんとした投資家に成長できるのではないかと思います。


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つみたてNISAの存在を知り、初めることにしました

2019年5月:ムー様(女性・20代)よりのご質問

はじめまして。20代後半、主婦の者です。数年前に結婚し、主人が会社で企業型の確定拠出年金をしていることを知り、初めて投資に興味を持ちました。個人でもこういうの出来ないのかな、と思っていたところ、つみたてNISAの存在を知り、初めることにしました。

早い段階でこちらのサイトを知り、色々と読んで勉強させて頂きました。今現在は、楽天証券に口座開設の申請をしている段階です。

そして、本来なら次はアセットアロケーションを決める段階ですが、すみません、先に銘柄選び(ファンドを探す)に走ってしまいました。順番が前後したのですが、銘柄選びをほとんど終えました。(アセットアロケーションも、後で組むつもりです) 

そこで、(堀田さんの教えを守らず先に銘柄選びをしておいてこんなことをお願いする悪い奴なんですが…) 今回はその銘柄選びの中の私の頭の中の流れを一体ここに記載して自分の頭の中を整理すると共に、私が銘柄選びに関して間違って理解している部分、勘違いしているところなどがないか、見ていただけないかと思いメールした次第です





<銘柄選びをした時の私の頭の中の流れ>

とにかくコストを抑えたいな。

つみたてNISAはリバランスがやりにくいから、バランスファンドにして勝手にリバランスしてくれてメンテナンス不要なのがいい。

じゃあ、どういう内訳のバランスファンドがいいだろう?

全世界の経済規模に応じて勝手に資産分配してくれる、全世界株式インデックスファンドにしよう。(初心者向けみたいだし)

株式と債券がセットになっているバランスファンドと、株式オンリーのファンドがある。株式と債券セットのバランスファンドを選ぶが、株式のみのバランスファンドを選ぶか、はたまた株式のみのバランスファンドに個別にコストの低い債券のファンドを付け足すか、それはアセットアロケーションを組んでみて後で考えよう。

全世界株式のファンドには、比率がGDP比率のものと、時価総額比率のものがあるみたいだ。

GDP比率の場合、株式の割合は約10:60:30 (ロマンがある)
時価総額比率の場合、株式の割合は約10:80:10 (現実的)

時価総額比率の全世界株式のファンドで低コストの、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)にしよう。

さて、これに債券のファンドを付け足すかどうか。つみたてNISAの場合は株式オンリーでいけ、という人が大半だけど、堀田さんの言うようにブレーキについても考えておくべきか。アセットアロケーションを組んで、もし債券も何%か付け足すなら低コストのeMAXISシリーズからだな。



この一連の流れですが、投資信託全くの初心者の私はここまで理解するのに大変な時間を要しました…。(←インデックス投資とつみたてNISAの違いすら分かってなかった奴なので。) とっとと銘柄を決めて、早く始めてしまいたい…。でもつみたてNISAの銘柄選びは、途中で売買しにくいからほぼ一発勝負。真剣に選ばないと…。




ご回答:うすうす感じていらっしゃる通りアセットアロケーションでリスク管理を

ムー様、お便りいただきましてありがとうございます。分からないなりに、よくぞそこまで調べて、今の状態までたどり着いたなと、感心してしまいました。

もしも相場が常に順風満帆であれば、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を買っているだけでも特に何も問題無いかもしれません。

しかし、相場はおおよそ10年前後に1回程度、とんでもないクラッシュに見舞われて、信じられない大暴落が発生します。目立ったところでは、2000年のITバブル崩壊、そして2008年のリーマンショックが途轍もない大暴落でした。

当サイト管理人は2007年から投資を始めていますので、実体験として知っているのは、2008年のリーマンショックです。以下、2008年のところをご覧頂きたいです。日本株はマイナス42%ほど、先進国株はマイナス55%、新興国株に至ってはマイナス65%です。

ピンと来ないかもしれませんが、もしもeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を100万円分保有していたとしたら、1年間で55万円ほど損失を抱えて、時価としては45万円にまで減ってしまうという事です。

これがリアルに実社会で発生する時には、マスコミの報道は連日お先真っ暗のようになりますし、実際に倒産する会社も多数出てきて、生き延びている企業も給与が大幅にカットされたり一時帰休させられたり、収入面での不安も著しく高まります。




毎日の暮らしさえも不安におののくような状況の中、そこに更に追い打ちをかけるような投資のマイナスを見ると、吐き気すら催してくる可能性が大です。当時の投資仲間も、いきなり音信不通になる事もザラにありました。

ITバブル崩壊の時も凄かったのではないかと想像します。下記、2000年~2002年にかけて、例えば先進国株は毎年のようにマイナス23%、マイナス19%、マイナス22%となり、合計でマイナス64%です。ペンペン草も生えないような、悲惨な光景だったはずです。

1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年
1位 先進国株
36%
新興国株
64%
新興債券
14%
海外リート
5%
商品
23%
新興国株
52%
2位 先進債券
15%
日本株
58%
海外リート
14%
日本債券
3%
先進債券
20%
海外リート
30%
3位 日本債券
1%
先進国株
27%
商品
12%
新興債券
1%
新興債券
13%
先進国株
27%
4位 バランス
▲4%
新興債券
24%
日本債券
2%
先進債券
▲1%
日本債券
3%
新興債券
26%
5位 日本株
▲8%
バランス
19%
先進債券
2%
新興国株
▲5%
バランス
1%
日本株
24%
6位 新興債券
▲12%
商品
7%
バランス
▲4%
バランス
▲6%
海外リート
1%
バランス
20%
7位 海外リート
▲16%
日本債券
5%
先進国株
▲23%
商品
▲16%
新興国株
▲8%
先進債券
15%
8位 商品
▲17%
先進債券
▲4%
日本株
▲26%
先進国株
▲19%
日本株
▲18%
商品
9%
9位 新興国株
▲28%
海外リート
▲12%
新興国株
▲32%
日本株
▲20%
先進国株
▲22%
日本債券
▲1%


要は、このような状況が定期的に発生するのが世界の相場の流れである事を、十分に認識して頂きたいのです。

それほどまでの大暴落とは言わなくても、例えば2011年の東日本大震災の時の相場の状況も、かなり酷いものでした。2015年のチャイナショックの時も、好調な相場しか知らない投資家たちに、大きな動揺が走っています。

何も起きない時の相場ではもちろん株式オンリーが良いに決まっています。でも、ひとたび相場の世界に台風でも襲来した時に、ムー様はアクセル全開でその中に突進しますでしょうか? きちんと、ブレーキを踏んで嵐が通り過ぎるのを待つと思うのです。

再び2008年の部分をご覧下さい。あらゆる資産クラスが激しく暴落する中、唯一、安全資産と言われていて、普段は儲からない資産クラスの代名詞のような日本の国内債券のみが、プラスのリターンを計上しています。

もしもムー様のアセットアロケーションのうち、5割が安全資産で占められていたとしたら、55万円の損失は27.5万円にまで抑えられます。国内債券で利益が1万円出ていた勘定ですから、資産全体ではマイナスは26.5万円になった事になりますね。

100万円でピンと来なければ、10倍の1000万円ならばどうでしょうか。それがリーマンショックで450万円に減ってしまったら、立ち上がれないほどの衝撃を受けると思います。

でも、しっかりとリスク管理していた場合、1000万円が785万円に減るくらいのダメージで済みます。これならば、嵐をやり過ごせるはずです。

つまり、これがリスク許容度をしっかりとイメージするという事であり、ご自身のリスク許容度を反映させたアセットアロケーションを最初に作っておく事の必要性なのです。

アセットアロケーションを作ると、おおよそどの程度のリターンとリスクになるのかが可視化されます。投資が、「目に見える状態」になるのです。




つみたてNISAのみで当面の積み立て投資を実行する場合は、債券も含めたバランスファンドを選んだほうが良いと思います。

また、つみたてNISAだけでなく、iDeCoや一般の証券口座も含めて投資をする場合は、つみたてNISAやiDeCo口座に株式ファンドを割り当てて、一方では通常の証券口座においては、安全資産への投資を忘れないでほしいと思います。

長く相場と付き合っていく際には、儲けがどのくらいになるのか捕らぬ狸の皮算用をするのではなく、損失が発生した時にそれに耐えられるのか、という視点が最重要です。

現在インデックス投資で、あるいは現物株投資でも不動産投資でも外貨FXを使っての投機でも何でも構いませんが、長期で相場に居続ける人は皆、リスク管理がしっかりとしており、結果として大きな財産を築いています。

債券を入れると期待リターンが下がるように思うかもしれませんが、実はリスクが下がって期待リターンは思ったよりも下がりません。だったら債券への投資もしっかりと考えておいた方が良いでしょう。

期待リターン云々よりも、今後20年30年と複利で資産を増やしていくような、そんなイメージの方が大切ではないかと思います。

「つみたてNISAの場合は株式オンリーでいけ」という人については、先ほども書いた通り、他の口座で安全資産への投資を行っている場合のセリフである可能性が高いです。

あるいは、好調な相場しか知らない人が、完全に調子に乗って言っている可能性もありますから、この点は間違えないようにしましょう。


追記:ご質問者さまからお便りをいただきました(^^♪

先日つみたてNISAのファンド選びに関する相談をさせて頂いたムーです。お礼のメールです。初心者でも理解しやすいよう、細かく噛み砕いた説明とアドバイスを頂き、本当にありがとうございました。

リスクについて、いかに無防備だったかをひしひしと感じました。

つみたてNISAに関する様々なサイトや書籍では、あまりにも多くの投資家さんたちが「株式オンリーにするべき」と言っていたので、その方向でばかり考えていました。

しかし堀田さんのおっしゃるように、そのような人達は「他の口座できちんと安全資産への投資も行っている」んだろうなと思いました。

私の場合はつみたてNISA以外の投資をする予定はないので、それならばつみたてNISAの中にきちんと安全資産(債券)への投資も組み入れて、リスク管理をしないといけないんだなと思いました。

最悪の場合を想定して、単純な計算で、もしつみたてNISAで毎月上限一杯で投資を続けて20年後に計800万円の投資、運用が上手くいっていて200万円の含み益が出ていて資産が1000万円になっていたとして…。

もうすぐ運用が終わる、という年にドカーンとリーマンショック級のものがやってきたら、投資が株オンリーだった場合は資産が450万になる可能性がある…ということですね。積み立てた総額を大幅に下回りますね。恐ろしすぎです。

自分のリスク許容度をきちんとイメージし、それを反映させたアセットアロケーションを組んで、債券もきちんと入れたいと思います。本当にありがとうございました。



補足的に、再度のご回答

ムー様、こんにちは。お返事、ありがとうございました。1点だけ、1000万円が450万円になってしまう事の補足です。

取り崩しのタイミングで大暴落が来ても、資産を一気に取り崩すのではなく、積み立て投資の逆をやる事になりますので、少しずつ取り崩しを行うだけの事になります。10年20年といった年月をかけながら取り崩しますので、特に大暴落自体が怖いという事にはならないのです。

リスク許容度を考えていた場合は、「あー、来た来た」と思うだけで、淡々とやり過ごす事が出来るはずであり、それがリスク許容度と向き合った投資の強みになります。以上、補足でございました。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。





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