ウェルスナビの損失の拡大を契機として、本来考えるべき事を考える

今回は、当サイトにしては珍しく、ウェルスナビの話題です。投資の勉強をした事が無い人は、ロボアドバイザーは魅力的に映るかもしれませんね。しかし、当サイト管理人としてはおススメする気にもなれませんし、機会任せにする前に、やるべき事があるのではないかというお話しになります。


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ウェルスナビの積み立てに迷いが生じてきました

2019年6月:MK様(男性・40代)よりのご質問

管理人様の記事を拝読していると、少しは投資信託に回したほうが政界経済の発展を享受でき、中でもバンガード・グローバルバランスファンドをお勧めされておりました。

私は、ロボアドバイザーのウェルスナビを昨年11月から月2万円の積立でやっておりますが、管理人様の記事を拝読いたしまして、バンガードとどちらがいいか迷いが生じてしまいました。今の選択肢としては

1.バンガードとウェルスナビの両方を積み立てる
2.バンガードのみにする
3.引き続きウェルスナビのみにする



が考えられます。 信託報酬の手数料なども考えると、どれが一番いいでしょうか? バンガードもここ1年のリターンは4.76%ですが、10年だと7.68%で浮き沈みが激しいみたいですね(途中はリーマンの影響ですかね)。一時の浮き沈みに一喜一憂しないのが積立投資でしたね。

ウェルスナビの損失


ウェルスナビは最もハイリスク・ハイリターンを臨むコースを選択しています。添付のスクリーンショットのとおり、米国株、米国債に多く投資しており、次いで日欧株となっています。 去年11月から始めてから、投資額を下回る運用が続いているので、心配になってきました。

ウェルスナビでの資産配分




ご回答:どちらが良いかではなく、ご自身にあう資産配分比率を考えましょう

MK様、お便りいただきましてありがとうございます。別メールによると、今までMK様は投資の経験が全く無いようであり、「何となく儲かりそう」という雰囲気から、いきなり超ハイリスクなアセットアロケーションの下で投資にエントリーしている状況のようです。

今回、ウェルスナビとセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドのどちらが良いのかという二者択一の視点で考えておられますが、投資というのはそういうものでは全くありませんので、「どちらが良いか」という視点は忘れましょう。

今回、まず真っ先に考えるべきは、MK様のリスク許容度です。5月末時点でマイナス4%強の元本割れとなった時点で「心配」を感じてしまう様であれば、完全にリスクの取り過ぎです。

ここ何年も、世界経済は絶好調の好景気が続いており、株に投資すればよほどの愚か者でない限りは誰でも必ずと言って良いほど利益を出す事ができる相場が続いてきました。MK様も、その延長線上で「儲かりそうだ」と考えて投資をやってみたのだと思われます。

しかし、儲かる時には誰でも儲かるのに対して、ひとたび相場が牙を剥いた瞬間、すなわち、いつか必ず絶対にやってくる何らかの要因による相場の大暴落に、きちんと生き残る投資家は非常に少ないのです。

投資をやる際には、大暴落にいかにして生き残るか、すなわち、自分のリスク許容度の範囲内で投資をする事の重要性にこそ、目を向けて頂きたく思います。

たったの4%で心配になっている今の超ハイリスクな資産配分比率は、こちらのページで見て頂くと驚くように、例えばリーマンショックのような超弩級の暴落に巻き込まれると、平気でマイナス50%の世界に突入します。(2008年の部分を見て下さい)

2011年は、東日本大震災によって日本への資産クラスが大きくマイナスになっただけでなく、民主党政権の円高容認などによって、海外の資産クラスまで軒並み大幅なマイナスです。2015年もチャイナショックが発生して、新興国株式を中心として大きなマイナスが発生しています。

MK様の資産配分を確認してみると、以下の通りになって、安全資産である日本の債券クラスが入っていないため、相場が急落するとそのまま「被弾」して、資産が目減りするのも当然であるといった内容になります。

資産クラス 比率 特記
先進国株式 62% 日本を含む
新興国株式 9%
先進国債券 15% 米国債券のみ
9%
不動産 5%
現金 0%


ただ、MK様の場合、相当程度の定期預金を確保されていらっしゃると思います。日本の債券は値下がりリスクが著しく低い半面、期待されるリターンもほとんど無く、保有する事で分散効果を期待するだけの資産クラスです。

(要は、資産全体の防御のための資産クラスであり、車で例えるとブレーキのようなものです。ブレーキの無い車がいかに危険なものなのかは、感覚として分かると思います。)

多くの投資家は日本債券インデックスファンドに投資するのではなく、個人向け国債(変動10年)や高金利定期預金で日本債券の代替えとしており、MK様も定期預金を日本債券クラスと考える事で、それも含めて、資産全体の増減を考えると良いと思います

今回は4%強の資産の減少となっておりますが、定期預金も含めた場合には、恐らくその半分以下の減少幅になるのではないでしょうか。であれば、特に心配するような数字ではないような気がします。

もしもそれでも気分が悪いと感じるのであれば、間違いなくリスク許容度が低いと思いますので(リスク許容度が高いのが素晴らしくて低いのがダメという事は全くありません)、ウェルスナビの設定を低リスクに修正すると宜しいでしょう。あるいは、リスク資産への積立額を減額すれば、資産全体のマイナス幅が減少します。

この時、絶対に考えなくてはならないのが、ご自身のアセットアロケーションが適切かどうかの再確認です。

アセットアロケーションなどを教える金融機関は皆無なので、「そんな話しは初めて聞いた」と感じるかもしれませんが、これをしっかりと考えるからこそ、いつか到来する大暴落を生き残れる可能性が格段に高まると考えてください。

長期の国際分散投資をするにあたって、まずは以下の本を最低限必ず読んで学んでいただいてから、アセットアロケーションを考えましょう。(以下の順番で読んでください)


改訂版 一番やさしい! 一番くわしい! はじめての「投資信託」入門


お金は寝かせて増やしなさい


なぜ投資のプロはサルに負けるのか?― あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方


アセットアロケーションについては、まずはインデックス投資の始め方のページを読んで頂いて、そののちに、アセットアロケーションの決め方のページをご覧下さい。

そして、以下の通り過去の質問への回答ページを参考にして頂いて、しっかりと読んで確実に理解をして、自分にふさわしいと思われる資産配分を割り出してください。

アセットアロケーションの決め方の具体例(2016年8月)←必ずお読みください
投資信託のリスクとリターンを具体的にチェック(2017年1月)←必ずお読みください
10代の若き女性から投資のリスク許容度の質問が(2018年1月)←必ずお読みください


バランスファンドを買う場合は、ご自身が算出したアセットアロケーションのリスクやリターンの数値に近いかどうかで判断します。セゾンバンガードが近いなと思ったら買えば良いですし、ウェルスナビの配分比率が近いと思ったらウェルスナビでも良いです。

あるいは、ノーロード(手数料無料)のバランスファンドのページにはいくつものファンドが有りますので、信託報酬が低くて、ご自身のアセットアロケーションに近いものを選択すると良いでしょう。

なお、信託報酬のようなコストは極限まで低い方が、その分、投資家のリターンを増やしますので、その意味からはコストが高いウェルスナビは全くお勧めできません。

「手数料は1%のみ」などと低コストを謳い文句にしているものの、こんなものは「信託報酬が1%」と同じ意味になって、今どき低コストのバランスファンドが僅か0.14%の信託報酬のものがある時代(eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)です)、1%は高すぎていけません。

例えばウェルスナビで資産配分の提案を受け、ご自身でそれが相応しいアセットアロケーションかどうか確認をして、実際の運用はSBI証券で各資産クラスごとに個別のファンドを積み立て購入すれば良いだけではないでしょうか。

あるいは、コアになるバランスファンドを1つ積み立てて、個別のファンドを1~3本程度追加して、アセットアロケーションの微調整をすれば良いでしょう。

以上が、今回のご質問に対する回答になります。そして最後に、「貯金は不勉強でもできるのに対して、投資は勉強しない人はできない」ともお伝えしたいと思います。何となくやって儲かるのであれば、世の中、こんなに楽な事はありません。

しかし、下手に投資をして大金を失った人は山ほどいるのです。本を読んでまでやる気にはならない、あるいはこのページで取り上げた参考ページを熟読する気にもなれない、または理解できない場合は、投資をするのは不適切ですから、早急に投資の世界から足を洗う事もお勧めしておきます。



追記:ご質問さまからお返事を頂きました(^^♪

ご多忙のところ、詳細なご回答頂きまして、ありがとうございます。堀田さまのご指摘のとおり、元本保証の定期預金などは十分にあります。これを日本債券と考えると、ウエルスナビの減少幅は気にするほどでもないと思います。

しかし自分の性格上、評価額の上がり下がりが気になってしまい、リスクを下げるべき かと思います。それでも、ウエルスナビの手数料を考えると、解約を考えています。

堀田さまの記事を拝読してアセットアロケーションの大事さは認識しました。 自分では、組み立てる根気も頭も無いので、専ら定期預金が向いていると思います。

あとは、節税対策として個人型確定拠出年金の楽天証券のバンガード・グローバルバランス ファンドを積み立てようと思います。 ご指南ありがとうございました。





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