投資信託と個別株取引の両方を行いたい
日本株の個別株投資をなさっている投資家さんからの、ご相談です。個別株での投資を継続しながら、投資信託による長期分散投資を行う事の是非についてです。
日本株の現物株をやりつつ、投資信託で分散投資したい
●2015年2月:ふくちゃん様(男性・年代不明)よりのご質問 はじめまして、いつも貴ホームページを拝見させていただいています。 数年前より国内株式に投資をしておりましたが、分散投資をする必要を感じ、貴ホームページを参考にして投資信託を購入しました。 資産配分は以下の通りです。 ・国内株(個別株):45% ・海外株(eMAXIS全世界株式インデックス):15% ・国内債券(日本債券インデックスe):22.5% ・海外債券(<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド):7.5% ・国内REIT(<購入・換金手数料なし> ニッセイJリートインデックスファンド):5% ・海外REIT(<購入・換金手数料なし>ニッセイグローバルリートインデックスファンド):5% 投資に楽しみを見出したいため、国内個別株への投資は続けたいと考えています(ある程度の銘柄数を保持したいため国内株の比率が高くなっています)。 現在の資産配分のアンバランスさは感じており、資産が順調に増加していくと仮定して10年後を目途に、資産配分を以下のように変更していきたいと考えております。 ・国内株:30% ・海外株:20% ・国内債券:30% ・海外債券:10% ・国内REIT :5% ・海外REIT:5% 資産配分を変更することの可否その他についてアドバイスをいただけたら幸いです。 |
ご回答:投資は自由の大海原。全く問題ありません。
投資ほど自由なものは、この世には無い
ふくちゃんさま、ご質問をいただきありがとうございます。数年前からの日本株取引という事は、今は乗りに乗った状態で、相当なリターンを叩き出しているのではないでしょうか?
個別株の売買の醍醐味は、まさにどこで買ってどこで売るかです。エントリーするタイミングは人それぞれで、ファンダメンタルズだけを見る人、テクニカルだけを見る人、もう色んな人がいて、実に面白いですね。
共通しているのは、どこで入ろうがどこで出ようが、休もうが働こうが、一切誰にも文句を言われる事なく自由に相場に参加して、出た結果に100%自分で責任を取る世界だという事です。
日本の個別株だけで投資するのも良いですし、分散投資の概念を取り入れて、日本株以外を低コストのインデックスファンドで運用するのも、全く問題ありません。
資産全体で、アセットアロケーションを確認してみる
さて、ふくちゃんさまの現在のアセットアロケーションと、10年後のものを比較してみましょう。下記、アセットアロケーションのツールを使って判定したのが、下記です。
このようにして見てみると、今も10年後も、リスクとリターンの関係がそんなに大きく変わるわけではないのが分かります。
ポートフォリオが効率的かどうかを、念のためマネックス証券のマネックスビジョンで確認してみます。
面白いのは、10年後のほうがほとんどリターンが変わらないのにもかかわらず、リスクが低くなって、有効フロンティア線上にピッタリ位置するようになるという事です。
(黄色い星印は、マネックスビジョンが示す、積極型ポートフォリオの例です。リスクは16%となるようです)
ただ、どちらにしても大枠で問題ないようです。10年後のほうがより分散が効いてきて、効率的な資産運用が出来るようだと、ご認識ください。
個別株取引を取り入れる最大のデメリットは、個別株の売却
以上を見てみると、特に何の問題も無いように感じられます。が、ここで落とし穴が有ります。
それは、バイアンドホールドの姿勢で、基本的に保有している投資信託を売却しないインデックス投資の世界と、利が十分に乗ったと判断したら売却することも十分に有り得る個別株投資の世界は、全く異なるという事です。
(もちろん配当金や株主優待目当ての投資もありますが、株式投資の主流はやはり、売買益を狙う事にあると思いますので、ふくちゃんさまも同様という前提です)
もしもふくちゃんさまが、個別株部分もバイアンドホールドだという事ならば、上記のアセットアロケーションを定期的にリバランスして維持していくだけで、当初想定したリスクとリターンの関係のまま、資産運用を自動操縦してゆくことができます。
ですが、運用年度によって、日本株の大半を売却したり、あるいはその逆で、相場が低迷している時に大きく仕込むことがあるようなら、上記でチェックした資産の比率は大きく乱れます。
個別株売買では利益確定がとても重要ですから、インデックス投資部分とは別の考え方をしていただいて、上記のアセットアロケーションはフルインベストメントした時のおおよその数値だと考えて、柔軟に取り組まれると良いのではないかと思います。
複数の資産に分散を試みる時点で、個別株への集中を明らかに避けられる効果があるのですから、(リスク低減効果があるのですから)、それで十分ではないでしょうか。
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