(パッと見)、一括投資と積み立て投資のご質問だが・・・

いつ資金を投入すれば良いのかは、おそらく永遠のテーマでしょうね。今回も、300万円の余裕資金を確保した方から、投資タイミングに関してのご相談ですが、実は資産配分の問題に、大きくかかわってくる深~~い、ご質問なのです。


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300万円の投資資金をNISA口座で一括投資するか、あるいは積み立て投資するか

2015年7月:RH様(女性・年代不明)よりのご質問

投資信託を始めようとしている初心者です。

投資資金を300万で考えている場合、NISAを利用して年間100万づつ3年間で投資し、その後長期で保有するのか、(一気に投資するのが漠然と心配なのと投資信託は10年は積立て続けたほうが良いように聞いたので)月々2万5千円程度をドルコスト平均法で10年間積み立てて、その後長期で保有するのではどちらの方がいいのでしょうか?

最初からある程度資金がある場合は、月々少額で積み立てる必要はないのでしょうか? ちなみに考えているアセットアロケーションポートフォリオは、

ニッセイ日経225インデックスファンド:20%
SMTグローバル株式インデックスオープン:20%
eMAXIS新興国株式インデックスファンド:20%
MHAM物価連動国債ファンド:10%
ニッセイ外国債券インデックスファンド:10%
野村インデックスファンド新興国債券 為替ヘッジ型:10%
ニッセイグローバルリートインデックスファンド:5%
ニッセイJリートインデックスファンド:5%


です。現在個人国債を100万円保有しており、これに40万をTOPIX連動型上場投信信託VTに60万投資する事も検討しています。

この場合、残り100万を上記の割合にの割合で投資したいと考えているのですが、この内容について変更した方がいい点など堀田様からのアドバイスがありましたらお聞きしたいのですがいかがでしょうか?



 


ご回答1:ETFを買う場合と買わない場合で、アセットアロケーションが違います

RHさま、凄いですね! 投信の初心者だという事ですが、ETFまでしっかりチェックなさっていて、ビックリしました。しかも、すでに投資に回せる余裕資金までをきっちりと確保されておられるという事で、その堅実さは投資や貯蓄において大きな武器ですね。

さてところで、一見、アセットアロケーションを考えられているようには見えますが、実は少々勘違いをなさっていると思われます。

複数のインデックスファンドを用いて、300万円をNISA口座で運用したいというご希望の際のアセットアロケーションは、エクセルツールを用いると次のようになります。

投資信託のみでのアセットアロケーション


これに対して、NISA口座以外でETFを購入予定であり、さらには無リスク資産ではあるけれども日本債券クラスにカウントできる、個人向け国債が100万円あるとの事ですね。

アセットアロケーションには本来、保有するあらゆる資産を含めるのが本筋です。特に、ペーパー資産はすべて網羅するようにしてください。上記も含めたのが、下記です。

ETFと個人向け国債を含めたアセットアロケーション


ご覧になっていただくとお分かりの通り、安全資産(無リスク資産含む)の割合が1割近く増えたことによって年率リスクが15.1%から12.5%に減少しました。という事は、

・期待リターン:6.28%プラスマイナス15.1%の値動きが、
・期待リターン:5.71%プラスマイナス12.5%に変わった、



という事になります。1標準偏差(68.3%の確率)においては、最大損失が▲8.82%⇒▲6.79%に変わるという事で、マイルドな値動きになります。

500万円を投入すると、前者は最悪で455.9万円に減少、後者は466.05万円に減少する事態に備える事ができるか、という事です。(あくまでも7割弱の確率)

これらを見ると「な~んだ、どっちも耐えられる」と思うかもしれませんけれども、あくまで年率リスクです。3年連続で加減いっぱい下落する可能性もあるので、それを考えると、

・前者:379万円に減少
・後者:404.9万円に減少



となります。もちろん、これでも7割の可能性の数字ですから、95%強の確率である2標準偏差まで考えると、年率リスクはさらに上記の数字よりも20%程度大きくなりますので、1年で前者は約▲28%くらい(355万円に減少)、後者は▲27%くらい(366万円に減少)です。

これが3年間続くともっと大きな差になるので、こういう数字を見て、どちらが自分にとっては安心できるのかを判断する必要があります。あるいは、両方とも怖いと感じた場合は、さらに安全資産の割合を増やす必要があります。

個人的にはどっちでもOKなような気がしますけれども、こればかりは1人1人感じ方が全く異なるので、どうかお金が増えるよりも減る恐怖の方をイメージしていただいて、アセットアロケーションを本当の意味で確定させましょう



ご回答2:一括投資と積み立て投資は、どちらも期待リターンは同じ

一括投資と積み立て投資のどちらが良いのかは、時折質問が来ます。これについての回答は、下記ページに記してございますので、どうぞ全てに目を通して頂ければと思います。

投資信託の積み立てと一括購入はどちらが有利か?
余剰資金をすべて投資に回しても良いのか?
手持ちの500万円で投資信託をどのように買うか
ドルコスト平均法は気休めなのか詐欺なのか?
月1回積み立てと2回積み立てはどちらが有利か?


回答1の項で、お金が減少することに関しての恐怖心がどの程度なのか、問いかけさせていただきましたが、一括投資と積み立て投資についても、同じような考え方です。

100万円ずつ投資しても、40%の確率で最悪の事態の方向に振れる可能性が有るのですから、資金投入後にそうなった場合でも平静でいられるのかを考えるのです。

期待リターンだけ考えると、100万円を1月1日に投入しても12月31日に投入しても、あるいは2740円ずつ365日に分割して投入しても、全く変わりません。

ですので回答としては、「怖いと思わない範囲で、お好きなように買うと良いです」となります。インデックス投資の始め方に記したとおり、インデックス投資ではタイミングを読むことを放棄します。いつ買うかどうかは、本質的には問題ではないのです。



余裕資産を保有していると、真のアセットアロケーションが曖昧になる

さてところで、ここからは少々難易度が高いというのか、(めんどくさいと言っても良いかな)、そんな話です。

先に、アセットアロケーションとはあらゆる資産、特にペーパー資産(金融資産)は必ず入れるように書きましたよね。無リスク資産の個人向け国債も入れるのであれば、本来は現金も入れなければならないという事になるのではないでしょうか?

先ほどのエクセルツールには短期金融資産を入力できないので、ここではマネックスビジョンを使って、短期金融資産込みのアセットアロケーションを記してみます。

まずは、1年目にNISA口座で100万円を投入して、残り200万円を現金で持っていた時です。(本来は生活資金もカウントしなくてはいけませんが、ここでは話を分かりやすくするためにそれは無視しています)

短期金融資産込のアセットアロケーション


で、下記は300万円全てをNISA口座に投入した後のアセットアロケーションです。見ての通り、短期金融資産がゼロになって、大幅にリスクリターンの関係が変わっています。(図の下のほう、有効フロンティア線上の白い丸の位置が変わっていますよね)

短期金融資産が無い時のアセットアロケーション


上記の黄色い☆マークは、マネックス証券がハイリスク型でもローリスク型でもない中間型で、年間リスク11%のアセットアロケーションです。

短期金融資産の有無で、とんでもなくリスクリターンの関係が変化します。これって、アセットアロケーションを考える上でどうなんだろう?と思いを巡らせるのも、人によっては必要かもしれません。

例えば300万円の資金を、時間を分散せずに投資することには躊躇しないが(NISA口座だけでは足りなくなるので、一般口座も利用することになる)、アセットアロケーションが現金の有無でモヤモヤした状態になるのが性格上嫌だという人は、ここで示した考え方のほうがしっくりくるかもしれませんね。

なお、本件に関しては正解は有りませんので、現金を含めるか含めないかはどちらでも良いです。常に余裕資金が生まれやすい人は、現金を含めたアセットアロケーションを考えて頂いて、会社員のように家計の収支が一定で、あまり余裕資金の変動が無い人は、無視しちゃっても良いのかなと思います


という事で、以上になりますが、ご理解いただけたでしょうか? あまり複雑に考えすぎると、シンプル・イズ・ベストなインデックス運用がストレスになりますので、最後はエイヤと決めるくらいで十分です。

運用を始めてから、想定外の気づきなどもあります(思った以上にリスク許容度が低い性格だと思い知るとか)。ですので、大枠をざっくり決めてから、細かい事はゆくゆく決めていくくらいで良いと思います。

⇒参考:有名人のアセットアロケーション(ビックリするくらい各人各様です)






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