アセットアロケーションの計算結果についてのご質問

投資信託をこれから購入しようかと考えている方からのご質問です。投資信託を銘柄選びからやってしまうという間違いが非常に多い中、実に正しいアプローチをされておられます。


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アセットアロケーションを計算してみた結果についてどう思いますか?

2015年8月:小梅のワルツ様(女性・40代)よりのご質問

堀田勝彦様 はじめてメールをさせて頂きます。 主人の給与形態が年俸制になった事を機に投資信託を始めてみようという事になり、こちらのサイトを教科書として利用させて頂いております。

主人も私も投資信託については全くの素人で分からないことだらけなのですが、先ずはアセットアロケーションを考える事から始めてみました。

アセットアロケーションを考えるにあたり使用したツールは【my INDEX】というサイトの【資産配分ツール 過去20年実績データ(1995年7月~2015年6月 円ベース】です。

【使用する証券会社】SBIネット証券 
【投資額】 主人は月10万円 私は月1万円を予定

【配分比率】
 ・日本株式5%
 ・先進国株10%
 ・新興国株5%
 ・日本債券40%
 ・先進国債券20%
 ・新興国債券15%
 ・日本REIT5%

で組んでみました。 計算の結果

 ・平均リターン 6.8%  
 ・リスク7.9% 
 ・シャープレシオ0.87

ということでした。 この配分比率と計算結果を見た堀田様のご意見アドバイス、注意点等を頂けたらと思います



 


ご回答:ほぼほぼ問題無いというレベルの仕上がりとなっていますね!

2015年8月13日追記有り

小梅のワルツさま、お問い合わせいただき、ありがとうございます。拝見いたしまして、初心者の方がここまで間違えずにしっかりとアセットアロケーションをお考えになられたという事に、まず驚きました。

アセットアロケーションの計算


結論から書かせていただきますと、ほとんど問題ございません。ご家族でよく話し合われた結果だろうなと推測できる、立派なアセットアロケーションだと思います。



新興国債券の割合だけ、少々高いかなと思うくらいです

さて今回の計算結果を拝見しまして1点だけ、やや新興国債券の割合が、今回のアセットアロケーションでは突出して高いかな、という感想を持ちました

確かに債券は、日本、先進国、新興国で過去のリターンは異なりますが、実は期待リターンとして考えた場合、理論上は同一になります。これは債券の利回りがいくら高くなっても、その分を長期的に、為替レートが調整してしまうからです。

(たとえば「南アフリカ債券が高金利だから5年満期のものを買っておこう」と思ったとしても、5年が経過すると、金利差が付いた分が為替レートの変動で帳消しになる方向に働く)

このように債券クラスは日本に投資しようが海外に投資しようが、期待リターンに違いは無いにもかかわらず、為替リスクは多分に受け入れなくてはなりませんから、であればリスクを抑えるアセットアロケーションにおいては、新興国債券のような資産クラスは、少なめに保有するほうが理に適っています。

一般的にアセットアロケーション計算ツールでは、外国債券クラスの期待リターンを高い値に設定していることもあって(単純に過去のリターンをそのまま当てはめただけ)、つい新興国も高めにしてしまいがちですが、その点は割り引いて考えると良いでしょう。

ただし、期待リターンが変わらないならば、外国債券など保有せずに全て日本国債で良いのかというと、現実的には何とも言えないところです。

外国債券と日本債券ではやはり値動きが異なる事から、一定の分散効果はあると考えるわけで、どこか自分なりに折り合いの付くような数字、まあこの程度が心地よいかな、というような値にしてやるくらいで良いかと思います。

(というか、こんな細かい事を考え出すと、一生かかってもアセットアロケーションを組めなくなります。機関投資家と投資マニア以外の一般の方々にとっては、どうでも良いような話であるとも言えます)

今回のケースも、新興国債券の比率を15%から5%にして、代わりに先進国債券を30%にしてあげても数字は変動しますが(リターンが少なく計算される)、実態的には期待リターンはそこまで変わらないのではないかと思います。

そもそも債券クラスは、株式クラスの価格変動リスクを抑えるために保有するのですから、新興国債券のように、株式並みに価格変動をするものをアセットアロケーションに加えるのであれば、素直に期待リターンが高い、株式クラスの比率を高めるべきでしょう。



資産を守る事を最重点に考えられた、素晴らしいアセットアロケーション

ここ最近、世界的に相場が非常に好調で、ここ10年では一番の、絶好調な相場環境ではないかと思います。このような好景気には、誰よりも投資で儲けたいとか、人に負けてはいられないとか、とにかく人間の欲望がむき出しになる人が多いです。

しかし、これが典型的な投資の罠であって、投資には良い時と悪い時が必ずあります。悪い時に相場から撤退しない人こそ、長期的に「勝利」してゆくものです。一時的に勝手も、絶不調の相場で退場させられたのでは、全く意味がありません。

そういう意味で、今の相場に一切惑わされずに、ご夫婦のリスク許容度をしっかりと話し合われて、非常に守備的なアセットアロケーションを算出なさった点は、他の個人投資家も大いに見習うべき姿勢だと感じます。

資産を守るポートフォリオ


現状のアセットアロケーションで年間リターン6.8%、年率リスク7.9%という事は、約7割の確率で年間の収益が+14.7%から-1.1%の間に収まるという事になります。

これは一見して「投資の恐怖」を極力回避しようとする意志を感じますし、ほぼプラス側だけに振れるような値動きで、実に美味くコントロールされているなと感じます。

投資家がコントロールできるのは、このようなリスクとリターンの関係、そしてコストのみです。今後はご自身の構築したアセットアロケーションを現実のものとするべく、個別商品でコストを極限まで削った、最適なポートフォリオをお考えになると良いでしょう。

インデックスファンドのおすすめのページも参考にして頂きながら、長期にわたってお付き合いできるアセットアロケーションの完成を期待しております!

⇒参考:有名人のアセットアロケーション(ビックリするくらい各人各様です)



2015年8月13日追記マイインデックスの問題点を踏まえて修正!

本ページの記載ですが、「マイインデックスのアセットアロケーション分析を使ってしまっては問題があるのでは?」とのご指摘を頂きました。

確かにおっしゃる通りで、その問題点があるから当サイトはアセットアロケーションの計算にマイインデックスを使わないわけで、そういう意味からすると矛盾が生じるので、別途以下の通り計算しなおしてみましたので、参考になさって下さい。



マイインデックスの問題点

アセットアロケーションを計算するにあたり、初心者の方にとってマイインデックスほど使いやすく、サクサク計算して資産配分がしっかり決まる気分になるツールはありません。

しかし1つだけ、マイインデックスには重大な欠陥があります。それは、期待リターンを過去の実績をもとに算出している点です。

あのサイトは過去20年の実績をそのまま期待リターンの数値にしているようですが、過去の実績と期待リターンは別物なので、使うわけにはいかないのです。

実例として、例えば先進国債券の期待リターンを7.4%としていますが、これではまるで株式投資のリターンになってしまっており、こういう数字をそのまま使う事は非現実的です。

それにこのサイトでは、期待リターンの数字が毎月変動します。これはすなわち、期待リターンの数字などは、過去のどの部分を抽出するかで変化してしまうことを現しているようなものですから、そういう意味でもそのまま使う事はできません。

今回は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の数字や国家公務員共済組合連合会(KKR)の数字を使い、さらにインデックス投資では著名な山崎元さんの提示した数字、REITなどについては過去に野村證券が提示した数字などを利用して、「まあこんなものかな」というようなデータにて再計算してみました。



再計算したアセットアロケーションのの期待リターンとリスクについて

という事で、ツールにて再計算した結果が下記になります。マイインデックスの数字とは、大きく異なりました。リスクが高くなって、リターンが大きく減少しています。特に期待リターンは、安全資産の割合が高い場合はこんなものです。




参考までに、マネックス証券のマネックスビジョンを使って、上記のリスク・リターンがまあまあ妥当かどうかを確認してみたのが下記です。




星印はマネックスビジョンが「安定運用型」と称しているポートフォリオの位置で、リスクは7%との事です。これよりも小梅のワルツさまのほう(白い丸の位置)が、リスクの高い部分に位置づけられており、計算結果と同様なので、まあ合っているのではないかと思います。



計算結果が異なると、将来設計まで大きく変化するので要注意

さて今回再計算してみた結果、期待リターンが6.8%から3.99%に大きく減少しています。もしも毎月、予定通り11万円を積み立て投資した場合、20年後に資産がどの程度増えているのか、複利計算してみましょう。

期待リターン 20年後の資産 投資元本
再計算後 3.99% 40,833,030円 26,400,000円
当初の計算 6.8% 56,547,205円 26,400,000円
差異 - 15,714,175円 -



見て頂くと分かる通り、ちょっとした数字の操作によって、1500万円以上の差異が発生します。もしもマイインデックスの数字を鵜呑みにすると、20年30年後に、「こんなつもりではなかったんだけど」という事態が生じかねませんね。

という事で、再計算した結果をお伝えいたしました。この数字を見て頂いて、これでは足りないという事であれば、もう少々リスクを取って期待リターンを高めてやる必要があります。

なお、期待リターンとリスクの数字に正解は無いとも言えますので、このあたりの計算に強い不安を感じる場合は、専門家に相談すると良いかと思います。

当サイトで紹介している、インデックス投資アドバイザーのカン・チュンドさんに相談されるとよろしいかと思います。(相談の模様は、下記ページを参考にして下さい) 

なお、ファイナンシャルプランナーといっても千差万別・海千山千です。間違っても、保険屋さんにだけは相談しないほうが良いでしょうね。インデックスファンドが売れても彼らの収入はちっとも増えないですけど、保険が売れるとガッツリ儲かる構図ですから。

カン・チュンドさんの個別コンサルティング体験談

続き・今回の回答を受けての再質問
   アセットアロケーションの再検討とアクティブファンド






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