ロボット戦略世界分散ファンド(愛称:資産の番人)・・・久しぶりに見た猛烈高コストの投資信託、投資に適しているかは微妙

ファンド設定後、順調に資産を伸ばし200億円に到達、その後、販売側の金融機関から飽きられたのか、純資産が150億円程度で推移しているアクティブファンドロボット戦略世界分散ファンド(愛称:資産の番人)について評価解説してみましょう。

ロボット戦略世界分散ファンド(愛称:資産の番人)


コンピューターが売買の判断を下すので、一見すると素晴らしい運用成績を残せそうな雰囲気に見えますが、現実的には自然体で世界に分散投資できる投資信託に投資しておけば良いのではないか、と言うような運用成績です。

信託期間も5年間しか無く、長期投資で資金を増やすには不向きですし、かといって投機的な短期売買で資金を大きく増やせるのかも不透明であり、唯一、猛烈の高すぎるコストだけは確定しているといった投資信託ですね。


(2019年8月25日追加)・・・本ページの情報の更新を希望される方は、Q&Aページより管理人までお知らせください。すぐに対応したいと思います。



 


ロボット戦略世界分散ファンド(愛称:資産の番人)の基本的な情報

このファンドの基本情報

項目 内容
購入手数料 3.0%(ノーロードではありません)
販売先 SBI証券楽天証券イオン銀行フィデリティ証券のほか、地方の証券会社や銀行で買い付けができます。
信託報酬 年率2.12%+成功報酬(税抜)
信託財産留保額 なし
運用期間 2021年8月23日まで(2016年9月30日設定)
ファンド運用方式 ファンドオブファンズ形式
決算 2月、8月の各22日
運用会社 T&Dアセットマネジメント株式会社
為替ヘッジ ドル円において事実上あり


このファンドのポートフォリオ

2019年7月31日現在、以下の通りとなっています。投資の素人的な人には、かなり分かりにくいと感じるはずです。

ロボット戦略世界分散ファンド(愛称:資産の番人)のポートフォリオ



ロボット戦略世界分散ファンド(愛称:資産の番人)、管理人の感想と評価

著しく高コストな投資信託

まず真っ先に気にしなくてはならない点は、ロボット戦略世界分散ファンド(愛称:資産の番人)のコストが余りにも高すぎるという点です。購入時の手数料として3%、そして毎年の信託報酬は驚きの2%越え(2.12%)です。

しかも、成功報酬として「日本円クラス(ヘッジ付)の成功報酬計上前の純資産総額がハイ・ウォーター・マークを上回った場合、その超過部分に対して15%」が必要との事で、数ある投資信託の中でもコストの塊と言って良いでしょう。

以下、投信資料館で確認すると、国内外に投資するタイプの投資信託のうち、内外資産複合タイプの信託報酬の平均は1.07%との事で、その2倍ものお金を取っているファンドです。
https://www.toushin.com/faq/cost-faq/houshu_average/


投資信託の場合、コストが高いとリターンが高くなるのではなく、非常に多くのケースでは逆にリターンを削る方向にダイレクトに働きます。したがって、高コストの投資信託は、それだけで大いに注意を要するのです。

ロボット戦略世界分散ファンドもそのような投資信託でであり、しかも信託報酬が近年まれに見るほど高く、おまけに利益の一部を成功報酬として徴収すると言っているので、「超絶な好成績」を叩き出さないと、全く割に合わない投資になる可能性が高いでしょう。

なお、先述した「ハイ・ウォーター・マーク」となる純資産総額がいったいいくらになるのか、目論見書や月報を見てもよく分かりません。こういう点も、実に困りますね。店頭でこのファンドを推奨する営業担当など、どう説明しているのでしょうか。



絶対収益追求型を主張する、運用を測定できない投資信託

さて、ロボット戦略世界分散ファンド(愛称:資産の番人)は世界中の株や債券や通貨などに分散投資をしながらも絶対収益を目指すなどとしています。

しかし、本当に運用の腕前が優れているのかそうでないのか、本ファンドはベンチマークや参考指数の無いアクティブファンドですから、全くよく分かりません。

ロボット戦略世界分散ファンド(愛称:資産の番人)のベンチマークと参考指数


一般に、投資信託はベンチマークを判断基準にして、それを上回れば優秀で下回ればダメファンドとされます。(アクティブファンドの場合です。)

ベンチマークがマイナス30%の暴落をしたとして、それに対してマイナス28%の暴落にとどまったら、それはそれで優秀なファンドとして評価されます。

しかし、投資家からすると、暴落を食らうこと自体がトンデモナイ事であり、暴落するならショートしてでも利益に変えろと要求する人もいます。そんなニーズに合わせて作られるのが、どんな相場でも一定の利益が出ることを目標としたヘッジファンドです。

ただ、それが非常に曲者であり、では一体、良い悪いの判断をどうすれば良いのでしょうか?

ロボット戦略世界分散ファンド(愛称:資産の番人)の運用評価の方法


絶対収益追求型のヘッジファンドはこの点が非常にあいまいです。ベンチマークを提示するのがファンドの性質上、合わないのであれば、それに代わる運用目標をきちんと提示すべきです。

このファンドを運用している内部の関係者は、ご自身の給料の査定が必要でしょう。「数値的によく分からないけれども頑張ったからお金を払う」なんてことは、絶対にやっていない筈です。だったら、その査定に必要な数値でも公表して頂きたいものです。

いずれにせよ、そういった数値目標が分からないようなアクティブファンドは買ってはならないというのが、当サイトのスタンスです。百歩譲って、ご自身で他の何かと比較検討が出来るようなものでないと、ご自身の投資が非常に曖昧なものになってしまいます。



直近1年の運用成績は非常に良好だが・・・

当サイト管理人が今まで絶対収益追求型ファンドを色々と見てきた中で言えるのは、結局のところ、それらは単に著しく低リスク(=金融の世界では低リターン)であるというだけなのですが、本ファンドはどのようなリスクリターン特性を持っているのでしょうか。

それを分かりやすく見るために、世界分散の代表的なバランスファンドであるセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドと敢えて比べてみる事で、本ファンドの性格がより理解しやすくなります。

基本的に、比較はベンチマークが同じものどうして行うものです。しかし、ベンチマークが無いのですから、同じ「世界分散ファンド」どうしを見比べてみて、個人投資家として投資するに足るようなリターンなのかを判断するしかありません。

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの詳細はリンク先を見て頂くとして、単純なインデックスファンドのそれに対して圧倒的に成果を出していないと、ロボット戦略世界分散ファンドに投資する意味がありません。

以下、ロボット戦略世界分散ファンド(愛称:資産の番人)とセゾンバンガードとの、3年近いリターンの比較結果は、以下の通りです。

直近1年ほどでロボット戦略世界分散ファンド(愛称:資産の番人)のリターンが急上昇して、わずかにセゾンバンガードのそれを上回っています。

ロボット戦略世界分散ファンド(愛称:資産の番人)と国際分散投資できるインデックスファンドとのリターン比較


とは言え、ロボット戦略世界分散ファンドの購入手数料の3%を考慮するとセゾンバンガードのほうがまだ上ですし、直近1年よりも前の2年間ほどはボロ負けに近い状態でしたから、私から見ると、成績が良好というよりは安定しないという見方になります

今回、3年余りの運用成績を見て感じたのは、絶対収益追求型ファンドにしては、このファンドに限っては、リスクが低いのではなく、意外と価格変動が大きく、高リスクなのかもしれないなという点でしょうか。

であれば、直近1年間の基準価額の急上昇も頷けます。ただし、その価格変動がどうして発生したのか、月報や運用報告書を見てもサッパリ理解できないところが大いに問題だと言えます。この点は、次の項にも示します。


 


本ファンドの価格変動は理解しにくい

ロボット戦略世界分散ファンドは、市場の上昇だけでなく下落局面でも収益を追求するといった、非常に難易度の高い事をやろうとする投資信託です。

絶対収益を追求するために、「コンピューター運用の魅力フィンテックを用いた次世代型超分散ポートフォリオを構築する」と資料に書かれており、AHLパートナーズLLPの英知を集めて、以下のような資産クラスに分散投資をするようです。

ロボット戦略世界分散ファンド(愛称:資産の番人)の投資先


絶対収益の実現のために、相場が上昇トレンド(株価が上昇を続ける状態)の時には資産を買って利益を狙い、下落トレンド(株価が下落を続ける状態)の時には、空売りで利益を追求します。下記の売買イメージ図が、分かりやすいです。

ロングとショートで利益を取る手法


ところが、相場と言うのは「そうは問屋が卸さない」のが現実であり、残念ながらこの順張りトレードは、すべての状況に対して万能ではありません。つまり思ったような成績を出せなくて利益を手にする事ができない事が頻繁にあります。

例えば、赤く丸を付けたような下記のように方向感のない相場展開(レンジ相場と言います)になった場合、利益どころか損失を出しやすくなります。相場の大半はレンジ相場ですから、この図はその損失を出しやすい相場を少なく感じさせるような誤魔化しを感じますね。

トレンドが出た時しか利益を出せないというのは、レンジ相場においてはこれまでに得た利益の多くを吹き飛ばす可能性がとても高い事を意味します。従って、本当に長期で資産を増やせるのか、とても不安なのです。

ロング・ショート戦略で損失がでるパターン


「実際のところどうなんだろう?」と思って、日本を含む先進国と新興国に広く分散投資できる世界の株価指数であるMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み)と比較したチャートが、以下の図です。

以下に示した1~4の数字を付けたような株価の急落局面において、上手くショートが効いて基準価額が逆に上昇している事が分かります。

ただ、2017年に継続して上昇トレンドの大相場だったタイミングで、基準価額がわずか10%しか上昇していないのを見ると、「買い建てで利益が出る」としている説明とは異なりますね。

ロボット戦略世界分散ファンド(愛称:資産の番人)と世界株式との傾向の違い


通貨にも投資していますので、主要な投資先のドル円相場でも比較してみます。以下の通り、ドル円の価格変動と逆相関の値動きになっている事が見て取れます。

ロボット戦略世界分散ファンド(愛称:資産の番人)とドル円相場との値動きの違い


これら2つのチャートから何となく分かる事は、下げ相場には強いけれども、上昇相場には逆にかなり弱いという点でしょうか。

という事は、上昇相場が続く、あるいはこれから到来すると予測する人は、素直に株式がポートフォリオの中心となるようなファンドをセレクトすれば良いでしょう。

逆に、これから下落がやってくるという予測をする人にとっては、下落と逆相関の動きを取るような本ファンドに投資する意味はありそうです。

ただし、繰り返し書きますが、下落に強そうだといっても、実際にはどの程度の下落に留まるようなものなのか、運用目標が示されておりませんから、ご自身の投資に有効なのかがイマイチ判断が付かないと思います。

また、運用期間が設定から5年間しか無いという点も、長く投資をしようという人にとっては不都合でしょう。長期投資を志向する場合には、不向きなファンドです。絶対収益を追求したいという人がいたとして、5年間だけ投資をしたいニーズが有るのか、イマイチ理解に苦しみますね。

というか、そもそもアクティブファンドなどは過去の運用成績をしっかりと見て、その値動きが自分として納得できるのかどうかが投資判断の大きな部分を占めると思います。

今回のような複雑な仕組みの投資信託が長きにわたって機能しているのかを確認してから出ないと、とてもではありませんが買いの判断など出来ません。5年間経過して、本当に下落に強いのかどうかの仮説を検証している間に運用終了では、全く意味が有りません。

また、極度に下落を怖がるようなリスク許容度の低い人は、基本的には安全資産の国内債券だったり、一部は為替ヘッジ付きの外国債券などを十分に含んで、その上で株や債券に十分に分散されたポートフォリオを維持していれば、長期的には全くもってそれで十分です。

どうしても本ファンドを試してみたいという人がいるとしたら、今後は下げ相場が来るだろうなという相場観がしっかりとある人が、リスクヘッジのために利用するというのが、このファンドの現実的な利用方法かもしれませんね。

とは言え、下げ相場が予測できるならば自力で大金持ちになれますから、結局のところは本ファンドをタイミングよく利用する事は困難に近いと思います。そんなアクティブな投資が上手く行かないからこそインデックス投資が有効なわけです。



グローバル3倍3分法ファンドに似ている

ところで、直近1年間の運用成績があまりにも良好なのを見ていたところ、「ん?どこかでこの形を見た事があるな」と感じました。しばらくして思い出したのは、昨今きわめて大人気なグローバル3倍3分法ファンドです。

ロボット戦略世界分散ファンドとグローバル3倍3分法ファンドの基準価額の値動きの比較


余りにも値動きが似ています。そういえば、本ファンドもグローバル3倍3分法ファンドもレバレッジをかけて運用されている点が同じです。

ロボット戦略世界分散ファンドは、プラスマイナスゼロとなっている通貨を除くと、株や債券に対して289%の投資比率です。一方、グローバル3倍3分法ファンドも、株と不動産と債券に対して、296%の投資比率です。両方ともに、3倍のレバレッジがかかっています。

ファンド名 資産配分比率
ロボット戦略世界分散ファンド ロボット戦略世界分散ファンドの資産配分比率
グローバル3倍3分法ファンド グローバル3倍3分法ファンドの資産配分比率


ロボット戦略世界分散ファンドはグローバル3倍3分法ファンドと異なり、一部にショートを使う事が示されていますので、チャートを細かく見ると部分的に逆相関しているところが多々見られますが、資産配分比率を見ると非常に似通っているように見えます。

可能性としては、たまたま相場の環境が似たような基準価額の変動を及ぼす事になっただけだとは思いますが、面白いので、ときおり両者の価格動向のチェックをしてみたいなと思いました。

長期に渡って似たような挙動を示すのであれば、猛烈にコストの高いロボット戦略世界分散ファンドなど全く不要であり、購入手数料が無料で信託報酬もわずか0.44%で済む、グローバル3倍3分法ファンドで代替え可能だという事になります。

また、そうだとするならば、今「グローバル3倍3分法ファンドが凄い!」とか言われているのは一時的なものであって、相場の状況によってそのうちに基準価額の上昇が落ち着いたり、既に示したようにセゾンバンガードを大きく下回る成績になる事もあるのかもしれません。


 


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